殷鑑遠からず

憧 憬 の 轍

 

2022年5月15日 殷鑑遠からず

 

50年前の今日、終戦後27年間アメリカに統治されていた沖縄が日本に返還された。

 

復帰記念式典の壇上での屋良朝苗知事の言葉を今、改めて振り返る。

 

「沖縄復帰の日は、疑いもなくここに到来しました。しかし、沖縄県民のこれまでの要望と心情に照らして、復帰の内容を見ますと、必ずしも私どもの切なる願望が入れられたとは言えない事も事実であります」

 

沖縄にとって復帰とは何だったのか、同時に日本にとって何だったのか。

 

それは数多くの大災害からの「復興」の意味を問う事に似ている。

 

いや、「復興」の意味を問う事が「復帰」の意味を問う事に似ているのかもしれない。

 

誰もが納得する答えなど見つかるはずも無いがそれでも問い続ける。

 

これまでの50年を振り返り歴史を知る事も重要な事だが、その上でこれからの50年を考える事の方がさらに重要な事だと思う。

 

 

 

 

 

このスクーターをジャンクヤードから仕入れて、某設計屋ことサンK氏のためにサスペンションを重量運搬仕様にしたのは10年ほど前だったと思う。

 

重量運搬仕様と言っても彼の当時の体重を考慮したものだった。

 

そのHONDATactが帰って来た。

 

修理のために帰って来たのではなく、K氏の体調の問題から不要になったからだった。

 

見た目は難有りだがまだまだ走るので、スクラップにしてしまうにはもったいない。

 

何と言っても今となっては貴重な2ストロークのスクーターだ。

 

『🔰若葉マークのS』の副業には丁度良いので、先日ナンバーを返納したばかりだが再登録する事になった。 

 

このスクーターはこれまでに何度か整備のために作業場に帰って来たが、最後のトラブルは燃料ポンプと供給ラインの詰まりだった。

 

中間に付けたストレーナーを見れば状態は粗方把握出来るが、その度にシートを外さなければならない。

 

 

 

 

『🔰若葉マークのS』も最近は整備の真似事をする



 

 

 

このストレーナーを時々確認したいが・・・



 

 

 

5月4日の「春一番ツーリング」はトラブルの連続で同行者には迷惑かけっぱなしだった。

 

そのため大奮発したオイル、MOTUL 4Tの効果を確かめきれなかった。

 

ただ言えるのはクラッチが普通に使える状態になってからシフトレバーの感触が良くなった事と、燃費が上がった事だ。

 

135㎞走行後の給油量は約4.2ℓ、すなわち1ℓあたり約32㎞。これまで‘75 CB400Fourは1ℓあたり25~27㎞だったので、5㎞以上伸びた事になる。

 

これが偶然でなかったとすれば大奮発は大正解だったと言える。

 

シフトレバーの感触についてはあくまでも個人的なものだが燃料の消費量は数値で表すことが出来る。

 

日々暖かくなっているとは言っても前日との温度差が10℃近い。

 

風の冷たさに躊躇していると雨雲が小雨を置いて行く。

 

横浜町の菜の花畑まで行って見ようと思っていたがバイクを外に出す気になれない。

 

梅雨が始まる前にオイルひとつでエンジンがどれだけ変わるのか、自分なりに確かめてみたい。

 

 

5月も既に半ばを過ぎる。

 

憂鬱な梅雨の予感と晴れ渡る夏空への期待。短い夏が過ぎれば季節は秋、その後はまた雪が舞う事も知っている。

 

それでも夏が恋しいのは北国に生まれ育った者の性なのだろうか。

 

バイクもどんどん、ちむどんどん

憧 憬 の 轍

 

2022年5月8日 バイクもどんどん、ちむどんどん

 

最長で10日と言われた今年の大型連休が終わった。

 

3~4日前からニュースでは渋滞した高速道路の映像が映し出されている。

 

連休後半の北東北は比較的に好天に恵まれ、昨日は25℃以上まで気温が上がった地域もあった。

 

最終日の今日は20℃にも届かず、加えて風が冷たい。それでも暖かい日差しに気が和む。

 

 

 

エンジンの再始動に成功したW1だが、キャブレターの調整に関してはまだ課題が多い。

 

フロートによる油面高とエアスクリューだけで調整しなければならないが、同調についてはマニュアルにも書かれていない。

 

走らせてみなければ何も分からないと言う訳だ。

 

そのためにも電装系などを再確認した。まずは近々に手配する予定のバッテリー周辺から。

 

アース側(-側)の配線に巻かれていたビニルテープを剥がすと赤い配線が現れた。

 

配線図によればこの車両のアース側は黒色だ。さらに電源側(+側)は白色だがなぜか黒色の短い配線がつながれていた。

 

 

 

ここも配線の色がおかしい


                   

 

 

 

端子には緑青が出ていた



 

 

 

配線を少しでも配線図に従った色に戻しておかなければ、今後メンテナンスする際に余計な時間がかかる事になる。

 

さらに手を加えられた配線は容量を無視している事も多い。

 

メインハーネスの接続されている部分も確認しながら作り直した。

 

 

 

ヒューズホルダー以外は使いモノにならない


        

 

 

 

この程度を作り直すのは朝メシ前



 

 

 

これまでの経験から配線はギボシの接続部分をひとつでも減らした方が通電ロスが少ない。

 

メンテナンス時に切り離す必要のない部分に使われているギボシをハンダでつなぐのだが、オリジナルの配線図に無い配線を設ける場合は正確に記録しておかなければ後が怖い。

 

自分でやった事にも拘らず分からなくなってしまうからだ。

 

そして当初から気になっていたフラッシャーリレーはタイラップでぶら下げられた状態だった。

 

振動が大きいエンジンなのでゴムシートでホルダーを作ってみた。

 

 

 

リレーの設置場所が分からない・・・


              

 

 

 

とりあえずホルダーを作って納めた



 

 

 

灯火類の配線の導通を確認しながら思い出した事があった。

 

サイドスタンドが払った時にマフラーと干渉する。

 

車重から考えてセンタースタンドを使うのはメンテナンス時だけで、日常的に使うのはサイドスタンド、造りが堅牢なので角度は変わっていないが開き角を決める部分が摩耗している。

 

1㎜厚のゴムシートを挟んでみると丁度良い位置で収まるので、後日スタンドを溶接で肉盛りしようと考えている。

 

 

 

払う度にマフラーに当たる



                   

 

 

 

1㎜のゴムシートを挟んで丁度良くなった



 

 

 

そろそろ本格的に車検を受ける準備もしなければならない。

 

昭和59年7月11日の日付がある「登録事項等証明書」によれば、初年度登録は昭和42年(1967年)で最後の車検満了日は昭和51年(1976年)8月29日。

 

その後に登録を一時抹消したままだとすれば46年ぶりの車検、再登録と言う事になる。

 

おそらく検査は新規車検と同様に行われるだろう。

 

それは‘75 CB400Fourの時のような検査になり、必要な書類も継続車検に比べて多くが求められることが予想される。

 

 

 

 

NHKの「朝ドラ」には興味が無かった。

 

放映している時間帯にテレビを観ていられなかったからだ。

 

かつて長く暮らした北海道を舞台とした「マッサン」は、今も愛飲しているニッカウヰスキーの創業者=竹鶴政孝氏の事をドラマ化したものだったが、一度も観る事が無く終わった。

 

そして今回の「ちむどんどん」。舞台は沖縄。

 

毎回見ている訳ではないが、風景やセリフのイントネーションに懐かしさにも似た感情を覚える。

 

沖縄の友人達のような「うちなーぐち」でセリフ廻しが出来ないのは仕方ないとしても、このドラマが沖縄や米軍基地を抱える街の事を考える機会につながればいいと思った。

 

沖縄返還から50年。「薩摩世から大和世、そしてアメリカ世からまた大和世」。

 

翻弄された歴史は甘受される反面、ひとつの対立軸として色濃い影を生んでいる。

 

北海道では時代と共に本州を「内地」と言う人が少なくなっているが、沖縄でもそうなのだろうか。

 

どんなに沖縄を愛していても、所詮は自分が「ないちゃー」でしかない葛藤。

 

三線の音色が優しく響く。

立夏

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2022年5月5日 立夏

 

暦の上では夏が始まり、沖縄は梅雨入りした。

 

沖縄が梅雨明けする頃に北東北の梅雨が始まる。

 

ある意味、一年中で最も過ごしやすい季節だ。

 

この時期には同じく過ごしやすい初秋とは違った、季節が夏に向かう高揚感がある。

 

寒ければ寒いと、暑ければ暑いと言いながらも、雪の降る地域で暮らしている者には暑さに対する飢えにも似た感情がある。

 

 

昨日の5月4日は恒例の「春一番ツーリング」と夜は「春の安全祈願大祭・春の味覚てんぷら祭り」だった。

 

いつの頃からか「春一番ツーリング」の行先は野田村の苫屋が定番になってしまった。

 

三陸沿岸道路の整備に伴い道路事情は変わったが、小型の二輪車にとってはかえって走りにくくなった。

 

今回は海岸沿いに国道45号を南下するのではなく、久慈市山根から白石峠を越える事にした。

 

久々にツーリングに参加した『樵の巨匠』は、山菜取りか渓流釣りにでも行くような出で立ちでHONDA TLR200に乗って来たが、背負っているバックパックには異様な物が・・・。

 

 

 

山菜取りですか?


               

 

 

 

その頭蓋骨みたいなものは何?



 

 

このTLR200は2015年9月に苫屋の主人が「そろそろ手に負えなくなって来た・・・」と言うので預かった物だったが最終的に『樵の巨匠』がレストアする事になった。

 

今回のツーリングは7年ぶりのお里帰りでもあったが、皆が背中のガイコツ(?)が気になって仕方ない。

 

 

 

『樵の巨匠』と苫屋の主人



 

 

 

ガイコツの正体は民族楽器



 

 

 

この楽器の入手の経緯は『樵の巨匠』もはっきりした事が分からないらしい。

 

苫屋には幾つもの民族楽器があるので捨ててしまうよりも片隅に置いてもらおうと考えたのだった。

 

『特攻隊長』は「後ろを走れば祟りがありそうだ」と言ったが、あながち冗談では無かったかも知れない

 

自分にとって今回のツーリングは、大奮発して入れたMOTULのテストでもあった。

 

これまで使って来た安物の鉱物油との違いを体感したい。

 

走り出しは順調だったが20㎞も走らないうちにクラッチレバーに違和感を覚えた。

 

徐々にクラッチの切れが悪くなりワイヤーが切れてしまった。

 

スペアのワイヤーをシート下に常備していたのですぐに交換して再び走り出したのだったが、そのワイヤーも途中で切れてしまった。

 

目的地にさえ着いていないばかりか、帰るにしても約100㎞をどう走るのか? 

 

切れてしまったワイヤーは捨てる事になるので手持ちの工具を使い荒業で乗り切るしかなかった。

 

 

ショックでピントも合わない


          

 

 

「玉結び」で対処した



 

 

「緊急事態の対処方法をご披露しました」なんて言えるのは迷惑をかけながらも無事に帰って来られたからだ。

 

さらにブーツのベルトも切れていたなんて、祟りなのか呪いなのかを一手に引き受けてしまったのかも知れない。

 

応急処置とは言えクラッチが使えるようになった頃に気が付いたのはオイルの事だった。

 

走り始めは何も変わらないような気がしていた。

 

それどころかギヤの入りが悪いとさえ感じていた。

 

クラッチの切れが良くなった途端にこれまでよりも軽い操作で変速できるようになった。

 

クラッチワイヤーは注文してもこの週末には間に合わない。

 

市販のステンレスワイヤーで代用品を作った。

 

幸いにも週末の天気予報に雨のマークは無い。

 

 

 

ワイヤーの修理は完了


                                  

 

 

マスク忘れんじゃねぇぞ 罰金はここだ!



 

 

今年から明らかに自己責任の整備不良には罰金が課される事になったので、『戒めの部品』の賽銭箱に千円札を入れた。

 

 

 

 

国際的ハッカー集団Anonymousはロシア人の約一1億の電話番号や約2億のメールアドレスをハッキングにより所得し、ウェブサイトで公開した。

 

すなわち誰もがロシア人に発信出来る事になった。

 

電子的なデータがもたらす利便性とは裏腹に、新しい形の戦争が始まった。

 

そしてこれはひとつの始まりでしかない。

春雷を予感しながら

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2022年5月1日 春雷を予感しながら

 

昭和の日から始まる今年の連休は最大で10連休と言われる。

 

4月29日は未だに「昭和の日」よりも「天皇誕生日」の方が馴染みやすいと言えば昭和生まれの時代遅れと言われそうだが、元号が平成に変わり「みどりの日」になり、さらに「昭和の日」になった。

 

COVID-19関係の制限の無い連休は3年ぶり、浮足立つ気持ちとは裏腹に天気は冴えない。

 

 

 

 

 

4月を破り去ったカレンダーが5月8日の日曜日までに、これまでの懸念事項にひとつの結果をだせと言っているような気がした。

 

W1のエンジンを再始動するための作業は概ね順調だったが電装の配線とクラッチに悩んでいた。

 

クラッチはプレートを押すスプリング、プッシュロッドを押すアーム、そしてワイヤーの調整が上手く出来ていないだけだったが、配線に関しては正に暗中模索状態だった。

 

K2、W1、W1S、W1SAの4種類の配線図を元に電装系の確認をしたが、どの配線図とも完全に合致しない。

 

配線数は多くないので、色を無視して1本ずつテスターを使ってどこに、あるいは何につながっているのかを確かめる作業に時間を費やした。

 

フロントフォークの形状や「白バイ型」のスピードメーターだけでなく、配線にも手が加えられていた。

 

 

配線の色はまったくアテにならない


              

 

 

これは何のため?



 

 

「白バイ型」と呼ばれるスピードメーターには3つのポジションランプがあるがヘッドライト以外に4個の電球がある。

 

そのうちのひとつがスピードメーターの照明なのは間違いないが配線の色から判断出来なかった。

 

さらにハイビームを知らせるポジションランプの配線は不完全で、無関係な場所にあった二股の配線を利用してつないだ。

 

 

 

ニュートラルランプとハイビームのランプ


            

 

 

 

W1にもMOTUL



 

 

 

灯火類とイグニッションコイルの配線は別系統だがまったく無関係ではないので、灯火類も確認してから再始動を試みる事にした。

 

マニュアルに従って計量したオイルを入れ、ロッカーアームにオイルが供給された事を確認するために、スパークプラグを外した状態でキックレバーを踏む、踏む、踏む。

 

30回も踏めば・・・、と思っていたが100回近く踏んでやっとロッカーアームシャフトから滲み出るオイルを確認できた。

 

新しいプラグを入れて再始動のために再びキック、キック、キック。圧縮のかかったキックレバーは別物のように重い。

 

勢いよくクランクを回すために全体重をかけて。

 

 

エンジン始動! 白煙はすぐに治まった


           

 

 

始動後にタンクやシートも付けてみた



 

 

タンクを載せずに再始動を試みたのは思いもしない事が起きるかもしれない不安からだった。

 

オーバーフローするまでフロートチャンバーにガソリンを満たしただけでもエンジンの始動は確認出来る。

 

フロートチャンバーが空になるまでエンジンが止まらなければ再始動は成功と言えると思った。

 

キャブレターのエアスクリューの戻しはマニュアルに従って3/4。

 

タコメーターが無いばかりでなく音で判断出来るほど静かなエンジンではない。

 

今後は電磁式のタコメーターを仮設し、キャブレターの吸気圧も測りながら作業を進めるつもりだ。

 

車検に向けた準備も残っているが実走に一歩近づいた。

 

 

 

昼食をとりながら3日後の「春一番ツーリング」の事を考えていると『編集長』から電話があって、タイヤ交換に苦戦している『JAZZのタケ』が作業場に来ると言う。

 

JAZZと言えば「ジャミフレンズ」の『JAZZのタカ(自称)』がお馴染みだが『JAZZのタケ』は「ジャミフレンズ」のメンバーではない。

 

装着時にタイヤレバーでチューブを傷付けてしまったらしい。

 

ビードクリームを塗っていれば彼の体格ならタイヤレバーは必要ない程度のタイヤだった。

 

そして次々にいつものメンバーが集まり賑やかなタイヤ交換作業が始まった。

 

 

『特攻隊長』がお手本を・・・


                  

 

 

ビードクリームを使えば簡単だよ



 

 

近所の公園の桜にも葉が目立っている。

 

春の遅い北東北も新緑の季節だ。

 

天気予報によれば明日からまた徐々に気温が上がるようだし、次の週末まで雨のマークは無い。

 

いよいよ待ちに待った季節が始まる。

 

何度でも蘇るさ それが人々の夢だから=『天空の城ラピュタ』より

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2022年4月24日 何度でも蘇るさ それが人々の夢だから=『天空の城ラピュタ』より

 

桜前線は既に津軽海峡を越えた。

 

北東北ではまだ満開と言えない地域もあるが、季節は確実に夏に近づいている。

 

もうすぐ訪れる梅雨の事を考えると気が重くなるばかりだが、今は花の風情を楽しんでいたいと思う。

 

 

 

 

今年は 5月4日に決まった「春一番ツーリング・春の味覚天ぷら祭り」は、別名「春の安全祈願大祭」とも言われる作業場の恒例行事だ。

 

「大祭」と言っても宗教的な意味合いは皆無で、とにかく怪我や事故に無縁で過ごせる事を願う・・・、まぁ、早い話が夜は飲み会な訳だ。

 

それまでにW1を実走は出来ないまでもエンジンを再始動させたい。

 

とりあえず残る作業はクランクケースの両サイドカバーを取り付け、オイルを入れる事だ。

 

納得とまでは言えないが、せいぜい妥協できる程度までバフ磨きを繰り返す。

 

ビスはすべてクロームメッキの物を用意した。

 

 

 

このあたりをもう少し・・・


                     

 

 

やっぱりクロームメッキはきれいだ



 

 

W1に使うオイルだがマニュアルの記載はエンジンオイルとギヤオイルが「SAE#30モービル油」、クラッチオイルが「スピンドル油又はSAE#10モービル油」となっている。

 

W1の時代にはシングルグレードが主流だったと考えれば納得できるが、スピンドル油に関しては、いわゆる機械油、種類が多すぎてよく分からなかった。

 

 

実は‘75 CB400Fourに使うオイルにも長い間悩んで来た。

 

安物のオイルを早めに交換しても熱ダレ対策にはならない事を知ったので、今回は大奮発してMOTULを使ってみる事にした。

 

1ℓあたり3,000円以上もする高性能オイルはもちろんMUTULだけでないが、用意したのは半化学合成のMOTUL 4T 5100 15w-50。

 

MOTULであれば全合成の300Vや7100とか、さらに高性能なオイルもあるが、まずはHONDA S9 10W-40と同じくらいの価格のものから試してみようと思った。

 

‘75 CB400Fourのエンジンオイルは全量交換で3.5ℓとされているが、これまでの経験から4ℓ用意しておかなければ安心できない。

 

軽自動車より多いってか・・・。

 

 

大奮発だったMOTUL


                     

 

 

フィルターもOリングも交換



 

 

使うオイルひとつで問題が解決するのなら、それこそが高価なものの価値と言うべき事になる。

 

高温かつ高回転下での油膜保持性能が価格に反映していると考えれば簡単な事だが、結果が出るのはもう少し先になる。

 

エンジンを始動してみて心なしか音が違っているような気がした。

 

 

W1にも同じオイルを使う事にした。

 

クラッチにはSEA#10がマニュアルで指定されているので、10w‐50を選べばエンジンオイルにもミッションオイルにもクラッチオイルにも使える。

 

作業はクランクケースのカバーを取り付けてマフラーも。

 

後はオイルを入れるばかりだ。

 

エンジン再始動までもう少しだが、キャブレターの実油面がエンジンの調子に大きく影響する話が気にかかっている。

 

 

やっとエンジンらしくなった


                   

 

 

これでオイルが入れられる



 

 

古いエンジンに高性能オイルを使うと滲みや漏れの原因になると言う話はこれまでに何度も聞いて来た。

 

金型の精度だけでなく、ガスケットやオイルシールの材質が細かな分子構造に対応していないとか・・・云々・・・。

 

レストアにあたって消耗部品に関しては「当時もの」と言われる古い純正部品に拘らない。

 

少しでも新しい物の方が良いと思っているからだ。

 

今やアスベストを使ったガスケットは作られていないし、パンク修理の必需品のゴム糊にもトルエンは使われていない。

 

古い時代に作られた機械に新しい技術で作られたものを使う事については意見が分かれるところかもしれないが、所詮は消耗部品だ。

 

 

マフラーもエキパイもクリアランスが厳しい


          

 

 

これでキャブレターに手が付けられる



   

 

朝からの快晴に加えて気温も上がり、こんな日にバイクに乗らなければバチが当たりそうだがオイル交換を終えた‘75 CB400Fourはバッテリを充電中。

 

その他にも「春一番ツーリング」に向けて準備しなければならない事もある。

 

W1も再始動に向けて作業を一段落させたかったので、キャブレターの油面を実油面で測って見る事にした。

 

フロートチャンバーにドレンボルトがあれば水パイプの要領で簡単に出来るが、このMIKUNI VM28には無い。

 

そこで透明なガラスの容器をフロートチャンバーに見立てて、フロートを浮かせた状態を測ってみた。

 

キャブレター本体には約1.5㎜の縁が付いているので規定油面から1.5㎜差し引けばいい事になる。

 

油面高についてマニュアルには27.5㎜±1.0㎜とされているが、専門店やW1に長く乗っている人たちの話を総合すれば28~29㎜程度が最も調子がいいと言う。

 

 

油面は思い切って29.0㎜に


                 

 

 

アクセルとチョークのワイヤーをつなぐ



 

 

CB400Four 一応モーターは回るけど、比重が・・・


    

 

 

次は電装関係の総点検



 

 

プラグにアースを取ってキックレバーを踏み、スパークは確認できたが心なしか弱いような気もする。

 

それも気になるが以前インターネットで見つけた北米モデルの配線図には無い色の配線がある。

 

KAWASAKI K2、W1、W1Sの3車種の配線図を改めて探し出して比較してみる必要がありそうだ。

 

 

 

オイルの事を考えていた時に思い出したのは、もう40年も前の事だった。

 

「高価なものが高価な理由を自分なりに考えてみなさい」と教えて下さった恩師がいた。

 

その時は酒の話で、普段飲んでいるウイスキーを1本買える金で1杯しか飲めないウイスキーを、高価な理由を考えながら飲んでみなさいと言われた。

 

今、その言葉の意味を理解出来ているかどうかについては、残念ながら疑問符が付く。

 

 

 

最低気温と最高気温の差が大きい。

 

近所の公園の桜にも葉が目立ち始めた。

 

はらはらと散る花びらは何度見ても美しい。

 

こうして今年も春が過ぎて行くが、春も逝くと言うべきかもしれない。

 

 

穀雨を待つ

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2022年4月19日 穀雨を待つ

 

開花予想の通りに近所の公園の桜も咲き、日ごとに花の数が増えている。

 

梶井基次郎の「櫻の樹の下には」を思い出してしまうのは花びらの色のせいではない。

 

今朝、冷たいベンチから見上げた桜は美しく風に揺れていた。

 

こんな日本中のどこにでもある風景を、西の彼方の戦地にも届けたいと思った。

 

 

 

 

 

 

 

14日にクリックポスト(要するに〒)で発送された新しいクラッチスプリングが届いたのは18日(月曜日)の夕刻だった。

 

共に神奈川県から16日に発送された猫のマークの宅配便は17日の昼過ぎに届いていたのに。

 

 

自由長は約45.0㎜ 古いスプリングと比較


        

 

 

押しながら回す 結構力がいる作業



 

 

これまでに幾つかのクラッチに手を付けた事があったが、スプリングを押さえるナットがワイヤリングされたものは無かった。

 

さらに整備マニュアルには締め付けトルクについての記載が無い。

 

解体時、このナットは目一杯まで締められていたが、強いトルクはかかっていなかった。

 

このボルトとナットはスプリングを固定するだけでなく、プレートを押し付ける力を調整するためにある事に気が付いた。

 

パーツリストにはφ8㎜の鉄線と記載されているが、φ1.2㎜のステンレス線を用意した。

 

 

 

ナットにはワイヤリングのための穴が開けられている


    

 

 

 

ステンレス線でワイヤリングの準備



 

 

クラッチワイヤーとアームだけで調整するクラッチに比べて、さらに調整幅があるとも言える。

 

これはまさに温故知新、そして目から鱗だった。

 

何もかにもがクソ重たいと思っていたW1だが、このエンジンにまたひとつ勉強させて貰った。

 

クランクシャフトにクラッチを直結したり、カムシャフトの延長上にコンタクトブレーカーを設けたりすればコンパクトでもっと軽いエンジンになると思うのだが、頑なにそれを拒絶していたのかも知れない。

 

この360度クランクのバーチカルツインに拘る人の気持ちが少しだけ分かったような気がした。

 

 

 

今年こそ久しぶりに夜桜が見たい。

 

はらはらと花びらが散る路をそぞろ歩きしたいなぁ。

一進一退

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2022年4月17日 一進一退

 

気温の変化が激しい。

 

週の初めに30℃近かった最高気温が僅か数日で4℃まで下がった。

 

最低気温が氷点下まで下がる事は無かったが雪の気配さえ感じた。

 

そしてまた暖かくなった。

 

以前、桜が咲いてから雪が降った事があった。

 

雪と言うよりは霙に近い雪だったが、冬と春とが同居しているような光景が美しく思えた事を思い出す。

 

相変わらず猛威を振るうCOVID-19のために以前のような花見もままならない。

 

それでも桜が咲くだけで人の気持ちは明るくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

先週に引き続きW1の電装系の確認作業。

 

イグニッションコイルの二次側の抵抗値についてはまだよく分からないままだが、ポイントの状態を確認するためコンタクトブレーカーを開けた。

 

ポイントのギャップは0.4~0.5㎜。

 

ケースの中のコンデンサーも気になる。

 

以前、‘75 CB400Fourをレストアした時に、コンデンサーが使用限度を超えていた事に気付かず点火タイミングの調整が出来なかった経験があった。

 

電装部品が既に使いモノになっていない事を外見から知る事は難しい。

 

そして電装部品は何の前触れも無く突然に壊れる。

 

このコンデンサーの容量を測るためには特殊なテスターが必要だ。

 

『ギタリストT氏』こと『アキジン』がそのテスターを持っているので、彼の都合に合わせて容量を確認したいと思う。

 

その結果、標準値外と判断されたなら交換は必須だ。

 

 

 

 

コンデンサーは外見で判断できない


             

 

 

 

ギャップは0.4㎜で 位置的に調整しにくい



 

 

貼り付いたクラッチプレートを剥がし、こびり付いた汚れを落とした。

 

フリクションプレートは厚みが使用限度の3.25㎜以上あったが、スプリングは標準値44.3㎜、使用限度42.5㎜に対し42.0㎜だった。

 

即座に交換決定!しかしこの約2.0~2.5㎜が持つ意味の大きさを、この時点ではまだ本当に理解していなかった。

 

それはスプリングを押さえるナットに施されたワイヤリングの意味を知る事だった。

 

 

 

このワイヤリングが重要だった


                 

 

 

ハウジングも汚れを落として



 

 

 

完全一体化・・・じゃねぇべ?


                  

 

 

プレートは丁寧に剥がして状態を確認




 

 

ノギスの見方にもよるがほぼ42.0㎜




             

 

 

42.0㎜を下回る物もあった



 

 

スプリングの純正部品は既に廃版だったので社外品のスプリングを用意した。

 

国産の部品なので、「赤い旗」の国の製品に抱くような不信感は無い。

 

ところがこの週末までに届くはずが、夜になってもまだ届いていない。

 

スプリンクをセットしてクラッチの調整までするつもりだったが予定変更、サイドカバーのバフ磨きをする事にした。

 

昼食がてらに外に出てみると3日前の肌寒さが嘘のような陽気に4月も既に半ばを過ぎた事を実感した。

 

 

桜の蕾も綻びてもうすぐ満開になる


             

 

 

もう少し磨いてみるか・・・



 

 

なるべく見ないようにして来たのはスピードメーターだ。

 

MEGUERO K2の時代からのデザインで「白バイ型」とも言われるもの。

 

防水のためのシールも劣化して半分以上が失われている。

 

取り付け用のブラケットとメーター本体の間のクッションも完全に硬化していた。

 

純正部品は期待できないし、リプレイス部品があったとしても見つけるのは難しそうだ。

 

代用できそうな物も無さそうだし、造るしかないか? 

 

それにしてもメーター本体とブラケットがクッションを挟んで接着剤で一体化されているとは思っていなかった。

 

 

さぁ、これをどうする


                       

 

 

一種のスポンジだったようなクッション材



 

 

‘75 CB400Fourはこの7月に車検が切れる。

 

『樵の巨匠』のBMW1100Rも『編集長』のZephyrχも。

 

揃って車検場へ行く予定だがこのW1も連れて行きたい。

 

連休に予定している「春一番ツーリング」に向けて半年ぶりにCB400Fourのエンジンをかけてみた。

 

昨秋、燃料のストレーナーに溜まっていた錆の発生源をさがしてタンク内部をスコープで覗いて見たが、コーティングに綻びは見当たらなかった。

 

タンクキャップがアヤシイか・・・。

 

 

 

‘75 CB400Four 始動性に問題は無い


          

 

 

 

XL250R もしかして「オモラシ君3号」?



 

 

C92のタンクの塗装も補修したし、もうすぐW1のエンジンも一段落する。

 

再生してから10年になるCB400Fourもそろそろ大掛かりなメンテナンスが必要な時期だ。

 

さらに今や原型を留めていないXL250Rも整備し直して久しぶりに気ままなキャンプツーリングに行きたい。

 

そんな想いに駆られるのも春のせいだ。

 

 

 

今日は五行に由来する雑節のひとつ、土用だ。

 

土用の行事食としては「土用餅」や「土用蜆」、「土用卵」が知られているが最も有名なのが鰻だろう。

 

春の土用の丑には「い」、夏の土用の丑には「う」、秋の土用の丑には「ひ」の付く物を食べるのが良いとされる。

 

いわゆる「土用の喰い養生」だ。

 

今年、2022年の土用の丑の日は7月23日と8月4日。

 

幸いにも鰻も蜆も卵も新鮮なものが手に入る所で暮らしているが、「い」の付く食材に思い当たる物が無い。

 

とりあえず今夜は蜆汁と卵焼きでも喰らうとするか・・・。