諦めるもんか!

2019年10月27日

 

『三鉄』は岩手県三陸海岸に沿って走る第三セクター方式の鉄道の通称だ。

 

2011年の東日本大震災により壊滅的な被害を受けたが、今年3月に8年がかりで復旧を果たした。

 

にもかかわらず今回の台風のために再び途切れてしまった。

 

路線上にある普代村で記録した12時間雨量は385㎜。

 

400㎜を越えたと言う報道もあった。

 

まさに津波を思い起こさせる雨量は山津波(土石流)を起こし、トンネルに堆積した泥が線路を覆い尽してしまった。

 

様々な災害によって今や日本全国が「被災地」と言っても過言ではない。

 

遠くの被災地に思いを寄せる事も大事だが、まずは身近な所から。

 

 

 

 

 

カムシャフトがトンデモネェ事になっていたXL125のためにシリンダーヘッドとカムシャフトをUSAから入手した。

 

シリンダーヘッドは少々傷が目立つがまだまだ使える状態だったので一安心。

 

問題はカムシャフト。

 

ジャーナルの寸法が違う! 

 

1974/1975モデル用と言う事で、わざわざ安くは無い送料をかけてまで取り寄せたのに使えない。

 

 

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XL125K2用 カムギヤ側は約φ34㎜ 

 

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エンド部は約φ23㎜

 

 

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おそらくK0/K1用 カムギヤ側 約φ31㎜ 


        

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エンド部 約φ20㎜

 

 

フレームナンバーやエンジンの製造番号から「初期型」と思い込んでいた事がそもそもの間違いだったようだ。

 

HONDAのお客様相談に問い合わせたところ、この車両はK2に分類されると連絡があった。

 

発売当初の1973/1974年モデルは排気量が122ccでこれこそが「初期型」だ。

 

目の前にあるエンジンは124cc、1975年以降のモデルだ。

 

排気量2ccの違いはボアが0.5㎜拡大された事による。

 

どうやらUSAから入手したカムシャフトは排気量が122ccだった頃の物らしい。

 

さらに調べを進めてみるとシリンダーヘッドとカバーが一体で作られていたようだった。

 

ドクターXなら「私、失敗しないので」と言うのだろうが、ヘボなドクターは失敗だらけで恥じ入るばかり、それでもめげずに今度はイタリアから新品のデッドストックを取り寄せる事にした。

 

HONDA純正部品の古びた箱に貼られたラベルには間違いなく純正部品の品番が読み取れる。

 

今度こそ間違いない!・・・はずだ。

 

 

カムシャフトがイタリアから届き次第に組み込むためにUSAから来たシリンダーヘッドをサンドブラストし、耐熱塗装を施した。

 

オイルポンプの作動状態を確認するために、ヘッドカバー載せ、仮締め状態でクランクシャフトを回した。

 

シリンダーヘッドにオイルが供給されている事を確認出来てこれも一安心。

 

腰上を解体した状態で2基のエンジンが並んでいる。

 

どちらもカムシャフト関連の部品待ち。

 

 

 

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オイルポンプの作動試験 


                   

 

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CB92のエンジンと並んでXL125K2



 

 

このXL125K2の再生に着手した時、“部品取りになれば・・・”と一緒に譲り受けたエンジンがある。

 

後継モデルのXL125Sのエンジンだが細部がマイナーチェンジされ使えた部品はひとつも無かった。

 

そろそろスクラップとして処分しようかと考えていたが、エンジンハガー部分の寸法が同じ事に気が付いた。

 

以前からK2のフレームに載せられないかと話題になった事もあった。

 

K2のエンジンはカムシャフトが届くまで載せることが出来ないので、この機会に検証してみる事にした。

 

まずは腰上を解体し、速攻でクランクケースもパッカーンと。

 

基本的なレイアウトはK2と変わらないが、クランクケース右側後部の形状が僅かに違う。

 

またK2はシリンダーヘッドカバーにエンジンハガーが付いているが、XL125Sはシリンダーヘッド本体に付いている。

 

 

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クランクケース、パッカーン!

 

 

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エンジンハガーの違い、右がK2



 

125ccとは言えエンジンはそれなりの重量がある。

 

少しでも作業しやすくするためにクランクケース単体でK2のフレームに載せてみた。

 

ハガー部分の寸法は同じでもクランクケースの形状が少々違うため右側が干渉する。

 

フレームのハガー部分を少し削る作業は悩ましかったが、強度に影響するほど削った訳ではない。

 

日常的に使う事を前提にこのふたつのエンジンを比べると、後継のXL125Sの方が断然良いと言えるのは点火方式がCDIに変わっているばかりでなく、クラッチのリフタープレートやロッドがより頑丈に作られていることなど、K2での弱点が補われていると思うからだ。

 

 

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フレームを少しだけ削ったけど・・・


              

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載せることが出来た

 

 

 

市内の某所で旧車ミーティングが開催されているらしく、今日は路上で見かけるバイクやクルマに「昭和」の車両が多い。

 

そんな話をしていると一瞬、近所にいるハーレーかと思うような爆音が! 

 

「ハーレーじゃねぇ」と真っ先に言ったのは特攻隊長、その音は彼の本能に訴えるものがあったらしい。

 

現れたのは大魔神・O氏だった。

 

秘蔵のDUCATI 900ss。

 

車検を終え、ブルーのラインを入れた。

 

すでにバイクで走るには寒さを感じる季節だが路面が凍結していなければ問題ないくらい彼の熱量は高い。

 

 

 

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何度見ても溜息が出てしまう


                  

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キャブレターはDell‘Orto


 

東北地方の北のはずれでバイクに乗れる日はもう多くない。

 

これから冬に向かって、そして来年の春に向けて組み直す予定のエンジンが4基ある。

 

『スポカブ・ブラザース(弟)』のCB92、大魔神・O氏のXL125K2、同じくメインシャフトのオイルシールが抜けて走行不能なCS92、さらに自分のキャンプツーリング専用車・XL250R。

 

 

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静かに出番を待つCS92 


                   

 

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懐かしい秋の味覚が裏山から届いた

 

 

何やら忙しい冬の予感に浸っていると熟れたアケビが届いた。

 

今年も秋が終わろうとしている。