もう一度、いや、何度でも

 

憧 憬 の 轍

 

 

2020年6月7日 もう一度、いや、何度でも

 

晴れた日が続いている。

 

晴れているばかりでなく日中は汗ばむくらいだ。

 

やっと梅雨前の晴天続きかと思うと第二波が気がかりなCOVID-19の事なんか忘れそうになる。

 

こんな天気の週末は気ままに遠出したくなるが、

慢心が思わぬ綻びを産む。それを人は墓穴と言うのかも知れない。

 

 

 

 

 

『編集長』のZEPHYRχ。先週末に気持ち良くブン回して試走したのは自分だけで、

その後『編集長』が走らせた途端に不調に陥ってしまった。

 

『編集長』が乗る前にフュエルホースの取り回しを少々変えた事による燃料の供給系統のトラブルだと思った。

 

燃料コックを切り替え、

スターターボタンを押した時に聴いた音は尋常なものではなかった。

 

早速軽トラックを用意しての引き揚げ作業。

 

作業場でたむろしていたメンバーは強制参加だった。

 

クランクケースのカバーを開けクランクを手回ししてみるとセルモーターから聞こえる異音と共に引っ掛かりを感じた。

 

少しだけクランクを戻すとまたしても異音が出るがクランクは回る。

 

何が起こっているのか見当もつかないままスイングアームを持ち上げておいた。

 

 

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まずはセルモーター 


                      

 

 

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ギヤに欠けは無い



 

 

“異変”は翌日の1日(月曜日)に起こった。

 

空いた時間に作業場に入るとやたらガソリン臭い。

 

前日、SUZUKI TS90のタンクにガソリンを入れる際に『わらしべのKEN』が溢したのだろうと思ったがZEPHYRχの下に広がるガソリンの沼を見てしまった。

 

広がり続ける沼を見て咄嗟にキャブレターからのオーバーフローだと思ったがオイルパンやオイルエレメントのカバー周辺から漏れていた。

 

タンクにはほとんどガソリンが残っていなかったのでキャブレターからシリンダーを介してクランクケースに流れ込んだ事は間違いない。

 

そうだとすれば容量約4ℓのバットで足りるはずがない。

 

少し冷静になってドレンボルトを緩め、

手動ポンプと20ℓの携行缶を用意し吸い上げた。

 

結果、回収できたガソリンとオイルの混合物は10ℓに満たなかった。

 

エンジンオイルが約3ℓとすれば15ℓ程度になるはずだ。

 

まずはセルモーターを外してワンウェイクラッチやギヤ類を確認する事にした。

 

 

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セルモーターは解体して清掃


                 

 

 

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ブラシのダストで真っ黒



 

 

このバイクのタンクのコックにはOFFの位置が無い。

 

キャブレターからの負圧を感知しなければダイヤフラムが開かない構造だが、

ダイヤフラムの先端にあるOリングやコック本体、

さらにキャブレターのフロートバルブに異物が付けばオーバーフローしたガソリンはシリンダーを通じてクランクケースに流れ込む事になる。

 

未だに正体の知れない白い異物がコックやキャブレターに残っていた事になる。

 

外したキャブレターを再び分解し、

コック本体と共に清掃作業を徹底する事にした。

 

このコックにもOFFの位置があればいいのに・・・。

 

 

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キャブレターは再び解体


                    

 

 

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コックのダイヤフラムはOリングを交換



 

 

クランクシャフトを回しながらスターターのワンウェイクラッチやギヤに触れてみるだけでなくオイルパンを外して見る事にした。

 

部品の欠片が落ちているかも知れない。

 

13本のボルトを外し、

パンを外して意外だったのはノックピンが使われていなかった事だった。

 

丁寧にクリーナーを吹き付けて残ったオイルを洗い流す。

 

 

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外したオイルパン


                        

 

 

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洗浄作業終了



 

 

外したオイルパンには何も落ちていなかった。

 

また金属粉も少ない。

 

エンジン内に残っているオイルが落ちるのを待って下から覗きながらくクランクシャフトを回してみたがギヤやカムチェーンに気になるところは無かった。

 

 

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オイルポンプやストレーナー


                 

 

 

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カムチェーンやギヤ



 

 

再び組み立てたキャブレターはオーバーフローのテスト。

 

ただこれがなかなかうまくいかない。

 

オーバーフローパイプが無いのでメインジェットからじわじわと滲みだす。

 

フロートバルブの清掃だけでなくフロートの高さも調整し直して4回目で合格!

 

 

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オーバーフローのテスト


                    

 

 

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原始的な方法だがわかりやすい



 

 

話が前後するが白い異物はアルコール、

特にエチルアルコールに溶けやすい性質があるかもしれない。

 

確証はないままにコック本体をエチルアルコールに浸しておいた。

 

数時間後、無色透明なはずのエチルアルコールは少し黄色くなっていた。

 

もしかして・・・やっぱり?

 

綿棒や筆を使って堆積物を洗い流す。

 

エチルアルコールが有効ではないかと言う考えは直感的なものだ。

 

エチルとメチル。

 

エチル基は「CH3-」、メチル基は「-CHCH3」、

エチルアルコールはCHO、

メチルアルコールはCHO。

 

ガソリンの主成分のヘキサンはC6H14

 

このあたりに異物の正体を知る手掛かりが潜んでいるような気もする。

 

化学(バケガク)に詳しい人が身近にいれば教えを請いたい。

 

 

 

 

 

 

 

『編集長』のZEPHYRχと共に先週末、

一時復調したかに思われた『ポストマン』のTS90も再び不調をきたして『わらしべのKEN』があれやこれやと世話を焼いている。

 

“チェンジニア”と呼ばれるKENはピストンやリング、

ポイントに付随するコンデンサーも疑っているようだ。

 

ピストンなどは別としても熱の影響を受けそうなのは古いコンデンサーだと思う。

 

エンジンがある程度熱を帯びてから現れるトラブルだとは知らずに先週末、

燃料の供給系統ばかり見ていた。

 

 

 

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アウターローターを外す準備


                 

 

 

 

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このコンデンサーが原因?



 

 

アウターローター式のジェネレーター、

フライホイールの内側にコンデンサーが配置されている。

 

ポイントの接触面に欠けは無かった。

 

年式から考えて一度交換されているかもしれない。

 

コンデンサーは手配済みなので近々に届くだろう。

 

『編集長』のZEPHYRχもこのTS90も次の週末が大詰めだ。

 

 

それにしても天気さえ良ければ日が長くなったと思う。

 

6月だもんな・・・。