寒の内の熱

憧 憬 の 轍

 

2021年1月31日 寒の内の熱

 

寒の内に汲んだ水は雑菌が少なく長期保存にも向いているとされ、

「寒の水」で仕込んだ味噌や醤油、酒などは腐らないと言われる。

 

中でも寒の入りから9日目に汲んだ「寒九の水」は薬にもなると言われるほどに良質で、

酒造りには欠かせないと言う話を聞いた事がある。

 

今年の冬は小寒を過ぎる頃から正しく「寒の入り」で、

加えて数年ぶりの大雪だ。

 

今年の立春は2月3日、暦の上では春を迎える訳だが実際の春はまだまだ遠い。

 

 

 

 

 

この週末に「総ヒバの寝床」を試してみたかったが、

度重なる設計変更(詰めが甘いだけ)のため予定は大幅にずれ込んでしまった。

 

助手席のサイドサポートをかわすために寝床用のパネルは劇的に変わってしまったが、

小さくなった分だけ軽く、

さらに収納性が良くなったと前向きに考えている。

 

 

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製作過程・その2 


                        

 

 

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車内に持ち込んで仮合わせ



 

 

後部座席を外した部分は箱状の工作物でトランクスペースにあるボックスと高さを合わせた。

 

これを収納スペースとしても使うため床面兼蓋を分割式にした。

 

車中泊時に車内で使うテーブルや外したヘッドレストを入れておくにはちょうど良いスペースになった。

 

 

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明るいグレーの部分が工作部分


               

 

 

 

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近々に内張りも作る予定



 

 

普段、キャンプの時に使っているTHERMARESTのマットは女性用のものだ。

 

他のモデルよりもR値が高いので冬キャンプでも頼りになるし、

収納サイズがコンパクトでキャンプツーリング向きとも言える。

 

このマットを車中泊でも使った事は何度もあるが、

車中泊用に大き目なマットがあってもいいと思い某オークションで入手した。

 

厚さは80㎜。

 

間違いなく某大陸製の安物なのでR値は不明、

収納サイズも大きいだけでなく重い。

 

間違ってもキャンプツーリングでは使おうとは思えないシロモノだ。

 

寝床の次は窓だ。

 

キャンプ用の安価な断熱マット、

所謂「銀マット」で窓の目張りを作る。

 

これはプライバシーを確保するだけでなく保温目的と反射によって小さな灯りで車内をより明るくする効果もある。

 

 

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キャンプで愛用のマット


                     

 

 

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銀マットで窓の目張りを作成



 

 

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形の微調整に手間がかかる


                  

 

 

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少々改良が必要だな・・・



 

 

窓を目張りすると日中でも車内は真っ暗だ。

 

寝床のパネルの上に安物のインフレーターマットを敷き、

車中泊時の状態にしてみた。

 

 

 

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車中泊時の状態


                         

 

 

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LEDの小型ランタンだけだと手元灯りが欲しい



 

 

ここまでやると、

さらにポータブルバッテリーやヒーターなども備えて・・・、

と言う話になりそうだがそこまでは考えていない。

 

冬山登山の経験をもとにすれば必需品とは思えないし、

冬季であっても基本はテント泊を考えているからだ。

 

そんな事より狭い車内で十分な換気が保てるかどうかが心配だ。

 

怪しい某大陸製Colunbia の-20℃仕様の内側に、

我が国が世界に誇るmont‐bellのU.L.DH#5を入れて、

「耐寒試験的車中泊」を目論んでいる。

 

とりあえず準備は出来た。

 

あとはやってみるだけ。

 

「キャンプ行きたい病」が重篤化している。

 

夏はキャンプツーリング、

冬は車中泊と「走るホームレス」と呼ばれる日は近いかもしれない。

 

明日から2月。

 

本来最も寒い季節の始まりだ。

 

 

 

 

閑話休題 団結=最後の14座

 

世界で一番高い山は? 

エベレスト。

 

子供でも知っている話だ。

 

では2番目に高い山は? 

 

答えはK2、標高8,611m。

 

K2はKarakoram No.2、

つまりカラコルム山脈の測量番号2番という意味だ。

 

エベレスト以上に難しいと言われ登頂成功率は25%程度。

 

特に冬期の条件は最悪で、

これまでに成功した記録は無かった14座のひとつだ。

 

報道があったのは26日の事だが、

1月16日、ネパールの登山隊が登頂に成功した。

 

10人で構成された隊員は皆シェルパ(Sherpa)の出身だ。

 

シェルパ族は少数民族で主にエベレスト周辺の谷で暮らしている。

 

季節を問わず登山ガイドだけでなく装備や食料の運搬、

時にはガイドロープの設置までする彼ら無くして登頂成功はありえない。

 

ネパールの登山産業の屋台骨と言っても過言ではない人たちだ。

 

世界最高峰のエベレストに比べK2の登頂者が少ないのは地理的な要因もあるが、

あらゆる意味で登頂が難しい山だからだ。

 

2012年のデータによれば登頂者306人に対し死者は81人。

 

ちなみに同年のエベレスト登頂者数は5,656人だ。

 

この数字からもK2がいかに“敬遠されてきた山”なのかが推測できる。

 

カラコルム山脈の測量番号は35番まであり、

それぞれに測量後、

新たな山名が与えられたり現地の呼び名が採用されたりしているが、

K2だけは測量番号が山名として今日も通用している。

 

時にゴッドウィンオースティンとかチョゴリと呼ばれることもあるが、

山名としてはK2が広く知られている。

 

 

失礼を先に詫びて言うがネパールは経済的に豊かな国とは言えない。

 

前述のように命がけで外国の登山隊の支援をしたり、

イギリス軍のネパール人部隊・グルカ(Gurkha)に所属したりと外国に生活の糧を求める人も多い。

 

シェルパとして世界的に名を知られているのはエドモント・ヒラリーのエベレスト初登頂に同行したテンジン・ノルゲイくらいかもしれない。

 

多くのシェルパたちはいつも陰の名も無き功労者だった。

 

K2はエベレストよりも標高が低いながら多くの登山家が「世界で最も困難な山」と認めている。

 

標高と難易度は必ずしも比例しない。

 

その不可能とまで言われた冬季のK2を世界で初めて制したのがネパール隊だと言う事はネパールの人々にとって、

シェルパたちにとってどれほど誇らしい事だろう。

 

これまで多くの外国の登山隊を陰で支えてきた彼らだからこそ掴み取れた栄冠だと思う。

 

下山後に彼らは伝統的な衣装を纏って多くの祝福を受けた。

 

その席でリーダーは成功の最も大きな要因は隊員の団結にあったと語った。

 

普段は別々に活動していながらも同じ目的に向かって、

最後は国家を歌いながら山頂を踏みしめたと語った。

 

 

もちろん自分はK2の麓にさえも辿り着く事は出来ない。

 

雪と氷にまみれてそそり立つ岩山の写真を眺める事しか出来ない。

 

何度見てもその山は気高く、近寄り難いほどに美しい。

 

COVID-19関連のニュースばかりで辟易としている中、

久々に明るい話題が飛び込んで来たような気がした。

 

エべレスト   8,848m

K2  8,611m

カンチェンジェンガ 8,586m

ローツェ  8,516m

マカルー  8,485m

チョ・オユー  8,188m

ダウラギリ  8,167m

マナスル  8,163m

ナンガ・パルパット  8,126m

アンナプルナ  8,091m

ガッシャーブブルムⅠ峰  8,080m

ブロード・ピーク  8,051m

ガッシャ―ブルムⅡ峰  8,034m

シシャパンマ  8,027m