何度でも蘇るさ それが人々の夢だから=『天空の城ラピュタ』より

憧 憬 の 轍

 

2022年4月24日 何度でも蘇るさ それが人々の夢だから=『天空の城ラピュタ』より

 

桜前線は既に津軽海峡を越えた。

 

北東北ではまだ満開と言えない地域もあるが、季節は確実に夏に近づいている。

 

もうすぐ訪れる梅雨の事を考えると気が重くなるばかりだが、今は花の風情を楽しんでいたいと思う。

 

 

 

 

今年は 5月4日に決まった「春一番ツーリング・春の味覚天ぷら祭り」は、別名「春の安全祈願大祭」とも言われる作業場の恒例行事だ。

 

「大祭」と言っても宗教的な意味合いは皆無で、とにかく怪我や事故に無縁で過ごせる事を願う・・・、まぁ、早い話が夜は飲み会な訳だ。

 

それまでにW1を実走は出来ないまでもエンジンを再始動させたい。

 

とりあえず残る作業はクランクケースの両サイドカバーを取り付け、オイルを入れる事だ。

 

納得とまでは言えないが、せいぜい妥協できる程度までバフ磨きを繰り返す。

 

ビスはすべてクロームメッキの物を用意した。

 

 

 

このあたりをもう少し・・・


                     

 

 

やっぱりクロームメッキはきれいだ



 

 

W1に使うオイルだがマニュアルの記載はエンジンオイルとギヤオイルが「SAE#30モービル油」、クラッチオイルが「スピンドル油又はSAE#10モービル油」となっている。

 

W1の時代にはシングルグレードが主流だったと考えれば納得できるが、スピンドル油に関しては、いわゆる機械油、種類が多すぎてよく分からなかった。

 

 

実は‘75 CB400Fourに使うオイルにも長い間悩んで来た。

 

安物のオイルを早めに交換しても熱ダレ対策にはならない事を知ったので、今回は大奮発してMOTULを使ってみる事にした。

 

1ℓあたり3,000円以上もする高性能オイルはもちろんMUTULだけでないが、用意したのは半化学合成のMOTUL 4T 5100 15w-50。

 

MOTULであれば全合成の300Vや7100とか、さらに高性能なオイルもあるが、まずはHONDA S9 10W-40と同じくらいの価格のものから試してみようと思った。

 

‘75 CB400Fourのエンジンオイルは全量交換で3.5ℓとされているが、これまでの経験から4ℓ用意しておかなければ安心できない。

 

軽自動車より多いってか・・・。

 

 

大奮発だったMOTUL


                     

 

 

フィルターもOリングも交換



 

 

使うオイルひとつで問題が解決するのなら、それこそが高価なものの価値と言うべき事になる。

 

高温かつ高回転下での油膜保持性能が価格に反映していると考えれば簡単な事だが、結果が出るのはもう少し先になる。

 

エンジンを始動してみて心なしか音が違っているような気がした。

 

 

W1にも同じオイルを使う事にした。

 

クラッチにはSEA#10がマニュアルで指定されているので、10w‐50を選べばエンジンオイルにもミッションオイルにもクラッチオイルにも使える。

 

作業はクランクケースのカバーを取り付けてマフラーも。

 

後はオイルを入れるばかりだ。

 

エンジン再始動までもう少しだが、キャブレターの実油面がエンジンの調子に大きく影響する話が気にかかっている。

 

 

やっとエンジンらしくなった


                   

 

 

これでオイルが入れられる



 

 

古いエンジンに高性能オイルを使うと滲みや漏れの原因になると言う話はこれまでに何度も聞いて来た。

 

金型の精度だけでなく、ガスケットやオイルシールの材質が細かな分子構造に対応していないとか・・・云々・・・。

 

レストアにあたって消耗部品に関しては「当時もの」と言われる古い純正部品に拘らない。

 

少しでも新しい物の方が良いと思っているからだ。

 

今やアスベストを使ったガスケットは作られていないし、パンク修理の必需品のゴム糊にもトルエンは使われていない。

 

古い時代に作られた機械に新しい技術で作られたものを使う事については意見が分かれるところかもしれないが、所詮は消耗部品だ。

 

 

マフラーもエキパイもクリアランスが厳しい


          

 

 

これでキャブレターに手が付けられる



   

 

朝からの快晴に加えて気温も上がり、こんな日にバイクに乗らなければバチが当たりそうだがオイル交換を終えた‘75 CB400Fourはバッテリを充電中。

 

その他にも「春一番ツーリング」に向けて準備しなければならない事もある。

 

W1も再始動に向けて作業を一段落させたかったので、キャブレターの油面を実油面で測って見る事にした。

 

フロートチャンバーにドレンボルトがあれば水パイプの要領で簡単に出来るが、このMIKUNI VM28には無い。

 

そこで透明なガラスの容器をフロートチャンバーに見立てて、フロートを浮かせた状態を測ってみた。

 

キャブレター本体には約1.5㎜の縁が付いているので規定油面から1.5㎜差し引けばいい事になる。

 

油面高についてマニュアルには27.5㎜±1.0㎜とされているが、専門店やW1に長く乗っている人たちの話を総合すれば28~29㎜程度が最も調子がいいと言う。

 

 

油面は思い切って29.0㎜に


                 

 

 

アクセルとチョークのワイヤーをつなぐ



 

 

CB400Four 一応モーターは回るけど、比重が・・・


    

 

 

次は電装関係の総点検



 

 

プラグにアースを取ってキックレバーを踏み、スパークは確認できたが心なしか弱いような気もする。

 

それも気になるが以前インターネットで見つけた北米モデルの配線図には無い色の配線がある。

 

KAWASAKI K2、W1、W1Sの3車種の配線図を改めて探し出して比較してみる必要がありそうだ。

 

 

 

オイルの事を考えていた時に思い出したのは、もう40年も前の事だった。

 

「高価なものが高価な理由を自分なりに考えてみなさい」と教えて下さった恩師がいた。

 

その時は酒の話で、普段飲んでいるウイスキーを1本買える金で1杯しか飲めないウイスキーを、高価な理由を考えながら飲んでみなさいと言われた。

 

今、その言葉の意味を理解出来ているかどうかについては、残念ながら疑問符が付く。

 

 

 

最低気温と最高気温の差が大きい。

 

近所の公園の桜にも葉が目立ち始めた。

 

はらはらと散る花びらは何度見ても美しい。

 

こうして今年も春が過ぎて行くが、春も逝くと言うべきかもしれない。