憧 憬 の 轍
2022年5月1日 春雷を予感しながら
昭和の日から始まる今年の連休は最大で10連休と言われる。
4月29日は未だに「昭和の日」よりも「天皇誕生日」の方が馴染みやすいと言えば昭和生まれの時代遅れと言われそうだが、元号が平成に変わり「みどりの日」になり、さらに「昭和の日」になった。
COVID-19関係の制限の無い連休は3年ぶり、浮足立つ気持ちとは裏腹に天気は冴えない。
4月を破り去ったカレンダーが5月8日の日曜日までに、これまでの懸念事項にひとつの結果をだせと言っているような気がした。
W1のエンジンを再始動するための作業は概ね順調だったが電装の配線とクラッチに悩んでいた。
クラッチはプレートを押すスプリング、プッシュロッドを押すアーム、そしてワイヤーの調整が上手く出来ていないだけだったが、配線に関しては正に暗中模索状態だった。
K2、W1、W1S、W1SAの4種類の配線図を元に電装系の確認をしたが、どの配線図とも完全に合致しない。
配線数は多くないので、色を無視して1本ずつテスターを使ってどこに、あるいは何につながっているのかを確かめる作業に時間を費やした。
フロントフォークの形状や「白バイ型」のスピードメーターだけでなく、配線にも手が加えられていた。
「白バイ型」と呼ばれるスピードメーターには3つのポジションランプがあるがヘッドライト以外に4個の電球がある。
そのうちのひとつがスピードメーターの照明なのは間違いないが配線の色から判断出来なかった。
さらにハイビームを知らせるポジションランプの配線は不完全で、無関係な場所にあった二股の配線を利用してつないだ。
灯火類とイグニッションコイルの配線は別系統だがまったく無関係ではないので、灯火類も確認してから再始動を試みる事にした。
マニュアルに従って計量したオイルを入れ、ロッカーアームにオイルが供給された事を確認するために、スパークプラグを外した状態でキックレバーを踏む、踏む、踏む。
30回も踏めば・・・、と思っていたが100回近く踏んでやっとロッカーアームシャフトから滲み出るオイルを確認できた。
新しいプラグを入れて再始動のために再びキック、キック、キック。圧縮のかかったキックレバーは別物のように重い。
勢いよくクランクを回すために全体重をかけて。
タンクを載せずに再始動を試みたのは思いもしない事が起きるかもしれない不安からだった。
オーバーフローするまでフロートチャンバーにガソリンを満たしただけでもエンジンの始動は確認出来る。
フロートチャンバーが空になるまでエンジンが止まらなければ再始動は成功と言えると思った。
キャブレターのエアスクリューの戻しはマニュアルに従って3/4。
タコメーターが無いばかりでなく音で判断出来るほど静かなエンジンではない。
今後は電磁式のタコメーターを仮設し、キャブレターの吸気圧も測りながら作業を進めるつもりだ。
車検に向けた準備も残っているが実走に一歩近づいた。
昼食をとりながら3日後の「春一番ツーリング」の事を考えていると『編集長』から電話があって、タイヤ交換に苦戦している『JAZZのタケ』が作業場に来ると言う。
JAZZと言えば「ジャミフレンズ」の『JAZZのタカ(自称)』がお馴染みだが『JAZZのタケ』は「ジャミフレンズ」のメンバーではない。
装着時にタイヤレバーでチューブを傷付けてしまったらしい。
ビードクリームを塗っていれば彼の体格ならタイヤレバーは必要ない程度のタイヤだった。
そして次々にいつものメンバーが集まり賑やかなタイヤ交換作業が始まった。
近所の公園の桜にも葉が目立っている。
春の遅い北東北も新緑の季節だ。
天気予報によれば明日からまた徐々に気温が上がるようだし、次の週末まで雨のマークは無い。
いよいよ待ちに待った季節が始まる。