憧 憬 の 轍
2022年8月21日 処暑を目前にして
毎朝その日の天気予報を見ている。
さらに2週間予報も見ているが最高気温が30℃を超える日は数えるほども無い。
朝夕は20度前後で過ごしやすいのは確かだが、夜風は既に秋の匂いがしているし虫も鳴いている。
北東北は秋が最も美しい季節と言われるのは紅葉の彩によるものかも知れない。
空が高く感じられる季節に遠くに見える山々の色が変わる日も近い。
気象庁が「東北地方北部も梅雨明けした模様」と発表した途端に長雨、大雨。
青森県や秋田県の日本海側では記録的な豪雨で川が氾濫し、未だに復旧の目処は立たないでいる。
幸いにも太平洋側では災害級の被害は少なかったが今にも雨が降り出しそうな中でバイクを走らせる気にはなれなかった。
コンデンサや二次コイルの左右を入れ替えてみても片側だけが低速時に失火しているような状態が変わらない『トーハツのレイジ』のLA5。
電装系を疑うなら残すはポイントと配線だ。
まずはポイントを入れ替えてみた結果、右側の気筒の失火が少なくなったようだ。
そこで今一度ポイントを外して比較してみた。
復刻版の取扱説明書によれば三菱電機製か富士電機製が使われている。
さらに作業し易くするためにカバーを外したところ、ポイントのベースプレートに印されているとされるFマークやTマークが見つかった。
Fマークが見つかって点火タイミングを合わせ直す。
カバーを外さなければならなかったとは考えもしなかった。
このLA5だけでなくメンテナンス性をあまり考えない造りなのは1960年代のバイクの特徴かもしれない。
そして今日のメインイベントは2台の「新入り」を迎え入れる事だった。
まずはHONDA VTR250は千葉県から岩手県を経由して到着。
『特攻隊長』はこの2号機入手を極秘裏に進めていたつもりだったらしいが、情報は筒抜け、ダダ洩れだった。
フロントフォークのオイルシールや前後のタイヤ交換などが必要らしいが、とりあえず走る事には問題なさそうだ。
9月以降、タイヤも値上がりすると聞いた『特攻隊長』は速攻で手配したらしい。
久しぶりに乗る前傾姿勢の車両で本領を発揮する日は近い。
そしてもう一台は『トーハツのレイジ』が持ち込んだKAWASAKI 125B7。
1960年にリリースされたメイハツB6 ニュー・エースをベースにKAWASAKIがより実用的に改良したものだ。正式な車名はKAWASAKI 125B7。
型式がKB-6ASなのは川崎航空機が開発したエンジン名に由来するらしい。
KAWASAKIの名を冠しているが、つい先日まで46年ぶりの車検取得のために手を焼いたW1がメグロそのものと言えるなら、このB7はメイハツそのものだ。
このKAWASAKI B7に限らず1960年代のバイクは車両だけでなくキャブレターが興味深い。
AMAL製のキャブレターが装着されているがAMAL 392と書かれたキャブレターには「MIKUNI-SHOKO」の表記もある。
このキャブレターだけでなくAMAL 392と記されたキャブレターはこれまでにいくつか見た記憶があるが、形が全く違っているので392がAMALのモデルナンバーではないと思っていた。
ミクニ(旧社名 三國工業)の社史には大正時代からAMALキャブレターのライセンス生産をしていたことが記されている。
392型の意味はミクニ製の意味だった。
出来る事ならAMALのロゴの下に392の数字ではなくMIKUNIと表記してほしかった。
今やCPUとインジェクションシステムによって完璧な燃調管理が当たり前で、さらにキャタライザーによって排ガスを調整するのが当然な時代だからこそキャブレターが面白い。
明日以降、しばらくは夏を思わせるような天気が続くようだが季節は既に秋。
そして冬へと向かって加速する。
遠くに見える山の山頂付近が色付く日も近い。
指先が悴む前に遠出できる日が少なくなっていく。
閑話休題 前期型と後期型
いつも薄っぺらな私の財布の中で燦然と輝く1枚の硬貨、それは令和3年に作られた500円硬貨だった。
令和3年に500円硬貨のデザインが変わった事は知っていたが、手にするのは初めてだった。
それ以来新しいデザインの500円硬貨が欲しくなり、小銭があっても1,000円札を出して釣銭を貰った事もある。
そんな中、輝きを失った令和3年の500円硬貨が・・・。
令和3年式の前期型と後期型なんてクルマやバイクじゃねぇぞと言われそうだが後期型、いわゆる新型は随所に模造が難しい新しい技術が用いられているらしい。
一時期、「500円玉貯金」が話題になった。
500円硬貨で300,000円が貯められる貯金箱が100円均一の店で売られたて事は記憶に新しい。
それを買った事がある。
しかし数万円ほど貯まった頃、硬化を銀行口座に預け入れる際に手数料が発生する事を知って貯金箱を壊したのだった。