憧 憬 の 轍
2023年3月19日 春より速く Once Again 13th
「10年に一度の寒波」とか「水道の凍結に注意」とか、頻繁に言われていたのは1ヶ月くらい前の事だ。
それが今度は記録的に桜の開花が早まるとか言われている。
気象庁は週の初めに青森市の積雪がゼロになったと発表したが道端にはまだ積まれた雪が残っている。
年を追うごとに季節の変わり目が極端になったように感じて、その戸惑いは個人の判断に委ねられる事になったマスクの事にも似ているような気がした。
‘75 CB400Fourのクラッチカバーとスプロケットカバーは結局、2液性のウレタン塗料で塗装したので見た目は以前と変わらない。
ただクラッチのレリーズカバーはサンドブラスト後にバフ磨きしてみた。
ジェネレーターカバーも同様の仕上げを考えていたが、クラックがあるので程度の良いものを気長に探すことにした。
今後10年を見越したつもりの作業も終盤を迎え、後は新しいエンジンオイルを注いで再始動するばかりとなったが、やはり気が急いている。
バルブクリアランスを確認していなかった。
マニュアルでは1、4番シリンダーを圧縮上死点にして1番のINとEX、2番のEX、3番のIN、さらにクランクシャフトをもう1回転して2番のIN、3番のEX、4番のINとEXを調整すると書かれている。
すなわち2回に分けて調整しなければならない。
IN側もEX側もクリアランスは冷間時0.05㎜。
作業の邪魔になるホーンなどを外し、8個あるタペットカバーもすべて外したいが、間違いそうになるので調整するところだけ外す事にしている。
シックネスげージを引き出せなくなるくらいアジャストスクリューを締め過ぎたり、または緩かったり・・・。
失敗を繰り返して覚えた感触を他人に伝えるのは難しい。
「羊羹を切る時くらいの抵抗で」と言われた事もあったが、羊羹にも様々な硬さがある。
それ以前に甘いものをほとんど口にしないので別なものに例えて教えてほしかった。
エンジン再始動に向けてポイントの調整。
CDI点火のエンジンでは無用の作業だがこのエンジンはポイント点火だ。
とFマークでポイントの接点が離れるように調整するのだが思いのほか手間がかかる。
その瞬間を目視する事は難しいので、今回も手製の「点火タイミング検出装置」を使った。
乾電池と豆電球だけの簡単な装置だが、これが結構役に立つ。
まぁ、自画自賛と言われればそれも頷けるが・・・。
そしてポイントギャップはマニュアルに従って0.3㎜に。
エンジンオイルは昨年、大奮発してみたMUTUL 5100 4T 15w-50。
最安値ながら前回よりも2,000円ほど値上がりしていた。
マニュアルに従いオイル量は3.5ℓ、残りはボトルに入れて、ツーリングの際の携帯用に。
いよいよエンジン再始動、と思ったがクラッチの具合がおかしい。
オマケにケーブルも切れてしまった。
入れたばかりのオイルを抜いて急遽クラッチカバーを開けた。
ハウジングまで外してみると・・・、なんともお粗末な結果、組間違い。
慢心が招いた結果に、ただただ反省だ。
午後になって『若葉マークS🔰』は今週も試運転、気になっていた白煙もおさまった。
また『チャレンジャーのタカシ』もaprilia 240Rを軽トラックに積んで自宅に運んだ。
『スポカブ・ブラザース(弟)』のCB50改エンジンも腰上が着実に進んでいる。
要交換と判断した部品は解体前にある程度用意していたが、再組立ての過程で要交換と判断した部品も少なくない。
HONDAのエンジンは一般的にロッカーアームを介してバルブの開閉をしていると思っていたが、このエンジンはシムを用いたカムシャフト直押しだ。
ロッカーアームに比べて調整サイクルが長いとも言われるが、シックネスゲージを差し込んで締め付けるだけの作業に比べてシム交換は時間がかかる。
作業場に集まる仲間内でカムシャフト直押しのエンジンを載せているのは『編集長』のZEPHYRχくらいだが、このCB50改の作業工程は後のZEPHYRχの姿かもしれない。
3月も中旬を過ぎて一気に春めいて来た。
寒の戻りを気にかけていたが心配したほどで無ないようだ。
数日前に報じられた開花予想と満開予想はちょうど1ヶ月後、例年より7~10日程早い。
ただそんな年ほど局所的な寒波や天候不順に見舞われる事もある。
満開の桜に霙雪が降りかかる春になるのかも知れない。