憧 憬 の 轍
2023年5月28日 この雨が止む前に
初夏を予感したのも束の間。不順な空模様は梅雨を予感させる。
僅かな雨量を伴う曇天が続くくらいなら、短時間にまとめて降ってその後は気持ちよく晴れてほしいと思う。
そんな思いを嘲笑うように猛烈な勢いを保ったまま台風2号が沖縄に近づいている。
この台風が日本にもたらす影響はまだ分からないが、梅雨が早まりそうで気が重くなる。
『編集長』のCB400SFはキャブレターの同調作業。
整備マニュアルを参考に作業しているが今ひとつ解り難い。
いわゆる先入観なのだが、キャブレターの負圧を取り出すスクリューはマニーホールドの同じ位置にあるものと思っていた。
マニーホールドにスクリューが見つかったのは2番と3番、4番はシリンダー側面にあった。
さらなる先入観は吸気圧に規定値や標準値があると思っていた事だ。
整備マニュアルによれば「各気筒間の差を30㎜Hg以内に」と書かれていて、2番のキャブレターを基準に同調を採る。
圧力の単位として近年はPaやbarが一般的だ。
国際単位系(SI)で単位が統一されて以来、Kg表記のトルクや㎜Hg表記の圧力などの換算にアタマを悩ませている。
1㎜Hg=101,325/760pa、0.001359509kgf/㎠に換算され、これは1/760atmだ。
さらに1paは1㎡あたり1Nの圧力がかかると言う意味だから、1kgf/㎠=0.098Mpa=0.98bar。
何度も換算を繰り返して大きな間違いをしそうだが、30㎜Hgは0.040785294kgf/㎠、アナログのゲージで読み取れる数値ではない。
そこでkgf/㎠表示のバッキュームゲージでも同じ数値に揃えて調整する事にした。
キャブレターの同調作業が終わる頃にはラジエーターのファンも回り出し、試走の準備は出来た。
やらなければならない事はまだ幾つかあるが、普通に走って止まる事を確認する必要がある。
『樵の巨匠』のガレージでもZ400FXの試走準備が整ったようだ。
フレームに干渉して変形していたエアフィルターが『樵の巨匠』はいたく気にいらなかったようで全長を切り詰めてしまった。
エアフィルターを切り詰めるなんて事は朝飯前どころか寝惚けていても出来る。
それよりもボアアップしたTL125のエンジンに忙しい。
持ち込まれたエンジンを次々にバラしてみて、最も状態の良い部品で組み直す。
新しい部品も用意したが、ピストンのスカートに残っているバリが気に入らない。
それでも部品取りに届いたエンジンのシリンダーヘッドは汚れを落とすと驚くほど状態が良かった。
選別後に残った部品はほぼエンジン1台分以上ある。
これを一応形にするかこのまま保管するかは判断の難しい所かも知れない。
先週、NC81を添加して200㎞程走った’75 CB400Fourを、もう一度走らせてみる前にクランクケース左側のカバーを外した状態でエンジンを始動してみた。
約30分アイドリングさせながら問題のケース合わせ面のプラグ周辺を見ていた。
オイル滲みは止まった。
その後、60㎞程走り、再びカバーを開けてみたがオイル滲みは見られなかった。
昨年11月下旬にエンジンを降ろしてからおよそ半年、今後10年を見据えたメンテナンスはこれでひと通り終わった、と思っている。
ただエンジンは徹底的にバラしたので各部の増し締めやボルトなどの緩みの確認をしばらくは続けなければならない。
明け方からどんよりとした朝だった。
雲は次第に厚くなり予想した通り昼前に小雨が降り出した。
気温はさほど低くないが外へ出るのが億劫になる。
この天気は明日まで続くようだ。
週末が来る度に天気が崩れる年はこれまでもあったが、そんな年に限って秋が早かったような気がする。
言い換えればそれは夏が短かったと言う事になる。
所詮天気だけはどうしようもない。
冬の間、じっと春を待っていたように、雨の日は晴れた日のための準備をする日だと前向きな考え方をしようと思った。
夕方、「OHMACHI BASE」のドアを閉める前に、まだ3日残っているが5月のカレンダーを破った。