憧 憬 の 轍
2015年9月6日 秋雨や蕎麦をゆでたる湯の臭ひ(夏目漱石)
9月初めの日曜日。
天気さえ良ければツーリングにもキャンプにも最適な季節だ。
特に学校の夏休みが終わった秋のキャンプ場は静けさを取り戻している。
しかし青々とした高い空は望むべくもない朝だ。
早朝から津軽地方に向かって走り出したものの、
山間部に入ったところで降り始めた。
視界もよくない。
峠を越える頃には雨も止むだろうと、
シールドを伝う滴を拭いながら幾つかのヘアピンカーブを曲がったが
雨足は強まる一方だ。
早々に切り上げ帰路に付く事にし、
ヒロさんことT氏と蕎麦を食らう事にする。
いつもの作業場に戻ったところで
初期型XL125のフレームを再塗装するための下地処理くらいしかやる事はない。
見回すと、どこからか僅かにオイルが漏れている
この僅かなオイル漏れがクセモノ このボルトが原因
送油パイプで繋いでカムシャフトに給油している。
送油パイプはシリンダーに沿って固定されているが、
バンジョー周辺からの漏れではない。
パイプの中間部分がシリンダーにボルト止めされていて
怪しいのはその辺りだ。
パイプを外してみるとボルトは指でも回せるほどに緩い。
一見、スタッドボルトのように見えたボルトは
シリンダー内部から打ち込まれているようで、
ダブルナット咬ませて回しても抜ける気配はないので
締め付け方向に強く回す。
この僅かなオイル漏れがクセモノ このボルトが原因
振動が大きいエンジンなので各部の緩みに敏感になり過ぎて
パイプ中間部のナットも増し締めしている内に
ボルトを緩める結果だったようだ。
考えてみればパイプを固定するためのナットを締める方向は
ボルトを緩める方向なのだから。
シングルできつく締めるのを止め、
ダブルナットで固定して様子を見てもらうことにした。
「お漏らし」が完全に止まったのかどうかを報告してもらうためにも、
編集長にはこの秋、もう少し走り込んでもらわなくてはならない