憧 憬 の 轍
2024年3月31日 雑草のごとく
関東地方は時ならぬ陽気に、桜の開花どころか初夏を思わせる1日だったらしい。
本州最北端の当地でも日差しに力を感じるようになった。
気が付けば作業場=「OHMACHI BASE」の隣の家の庭にはネコヤナギの花穂が育っていた。
雪の下で茶色に枯れていた雑草の中にも緑色の新芽が見える。
やがて力を増す春の日差しを受けて驚くほどの速さで成長するだろう。
長年バイクのレストアを趣味として来た者にとって、純正部品が毎年値上がりするのは頭痛のタネのひとつだ。
諸外国に比べて我が国の人件費の低さが問題視されている今、値上げは必然的結果なのだろう。
そんな事を考えながらもメーカー純正部品の値段には購入を躊躇してしまう。
キャブレターのドレンプラグのOリング(3.8×1.9)が1個あたり約900円だ。
4基分必要なのでこれだけで約3,600円。
さらにジェットブロック底面のキャップは2種類あり、これも1個あたり638円だから4基分で計8個、すなわち5,104円。
格安の社外品が増えるのも納得できるが、多くの社外品は「漢字の国」の製品だ。
品質的にも精度的にも信用しきれない。
Oリングや樹脂製のキャップなどをメーカーが自ら作っているとは思えないので、各メーカーは純正部品として販売するために徹底的な品質管理をした結果の値段なのだろうと思うしかない。
キャブレターはチョークレバーを連結すれば搭載できるまでになった。
作業はVMX12最大の特徴とも言うべきV-Boostユニットの取り外しとメンテナンスだ。
昨年11月、初歩的なメンテナンスだけでエンジンは簡単に始動した。
各部分を解体し、メンテナンス作業を進めるにつれて信じられないモノを見ているような気がする。
V-Boostユニットとシリンダーの接合部分に塗られていた液体ガスケットは明らかに2種類あり、Oリングは潰れきっていた。
泥の混じったオイルと埃の固着しかけたマニーホールドは汚れ方が違い過ぎた。
洗浄液に浸す前に4基のひとつずつを確認する。
今さらながら気が付いたのは2番のマニーホールドにあるべき樹脂製のキャップが無い事だった。
キャブレターの同調を採る時に負圧を測るパイプだが、これが無いままなら二次エア―を吸いまくる。
エンジンを始動させた時にアイドリングが3,500rpmだった事を今さら思い出してもどうしようもないが・・・。
そう言う事だったんだと思うしかない。
V-Boostユニット自体は特に複雑な構造ではなかった。
エンジンの回転数を検知したコントロールユニットとサーボモーターによって作動する。
コントロールユニットやサーボモーターのメンテナンスまでは出来なので、バタフライバルブの密閉性や開閉の具合を確認するくらいしか出来ることはない。
V-Boostユニットの油汚れを落としながらその機構に感心している側で、『若葉マークのS🔰』のBANDIT250が、さらに『特攻隊長』のVTR250も『スポカブ・ブラザース(弟)』のGB250も排気音を響かせている。
『スポカブ・ブラザース(弟)』によれば『若葉マークのS🔰』のBANDIT250はスパークプラグの締め付けが甘かったり、さらにプラグのクリーニングが不十分だったりと、まだまだ🔰が付いたままだった。
1日の最高気温が15℃を上回ると言ってもまだ風は冷たい。
近所の公園の桜が満開になるまでは、まだ春ではないと思う事にした。