大脱輪だけどプライド―ゴジラ

憧 憬 の 轍


2018年7月27日 大脱輪だけどプライド―ゴジラ



 台風12号の見たこともない進路予想を話題にしていたはずが、いつの間にか来年5月全米公開予定の映画「Godzilla-King of Monsters」の話で盛り上がってしまった。自分と「樵の巨匠」との、いわゆるチームS34にとってはゴジラガメラも炎上必須の話題だ。
 炎天下、今は無き東宝の映画館に続く長蛇の列に並んで観た記憶が蘇る。その数年後、「エマニエル婦人」をケツの痛さも忘れて観たのも同じ映画館だった。
 そんな昔話はどうでもいい。問題は次回のゴジララドンモスラキングギドラまでもが出ることだ。
東宝の「怪獣路線」は当時の子供たちにとっては面白かったが、イマドキの子供に観せたら鼻で笑われてしまうだろう。失礼な言い方かもしれないが「怪獣がいっぱい出てくるドタバタ劇」的な映画だった。
 映画をひとつのメッセージとして捉えることが出来る年齢になり、一連のゴジラシリーズを振り返る時、「ゴジラvsビオランテ」や「ゴジラvsヘドラ」が皮肉なメッセージに溢れたものだったと知った。
 
 ハリウッドがゴジラをリメイクする事に異論はない。特撮時代のハリボテとは比べ物にならない精巧な特殊メイクやCG処理によるリアルな映像。さらに専門的で学術的な裏付けのある動き。かつての「ドタバタ劇」を手に汗して観ていたイマドキの大人が満足できる映画なら。
緻密に練られたストーリーも重要だ。その怪獣が現れる理由や原因を仮説的でも科学的に説明できていなければならない。面倒くさい事を言う年寄りだと思われるかもしれないが、初代ゴジラを殲滅した「オキシジェン・デストロイヤー」の劇中での理論などのように説明が完結していなければならない。
 東宝と対極にあった大映ガメラ2でのガメラの設定は「地球環境の守り神」であり「生態系バランスを保つために是正する神」だった。そしてギャオスは古代の文明人類が創り出した「人類の天敵」だった。おおよそ荒唐無稽な前提だらけの話だが、イマドキの大人はそれらを受け止めるだけの余裕がある。
 
 次回のゴジラを製作したレジェンダリー・ピクチャーズLegendary Pictures)について調べてみると2005年からワーナー・ブラザースと共同で映画製作を続けてきたが、最近は製作費を自社で賄えるようになったらしい。その背景には2014年のソフトバンクによる25000万ドルの出資や、中国の大連万達グループによる35億ドルの買収が深く関係しているようだ。
 「そば」以外の中華に嫌悪感を覚える自分としては、断じて中華はゴジラに関わらないでほしい。ゴジラは日本が生んだ「固有の在来種」でなければならないからだ。
 東宝モスララドンキングギドラの権利を売り渡さなければならなかった経緯については同情を禁じえないが、日本が生み出した怪獣たちを、日本固有種の怪獣たちを安易に手放さない方策はないのか?
Godzillaではなくゴジラを、巨猿(キングコング)なんかと闘わせるな! キングコングがハリウッドのプライドならゴジラは日本のプライドの先鋒だ。チャイナ・マネーなんか焼き尽す放射能光線を放て!
 ラドンの翼の力で台風なんて西へ飛ばしてしまえ! 最強、いや最凶のキングギドラにひと暴れしてもらいたい。
 
 次回作の監督はゴジララドンモスラキングギドラの他にもサプライズを用意していると言ったらしいが、アンギラスゴジラの息子なんかまで出したら本気で笑うぞ! 冷笑だ! 日本固有種の怪獣の扱いにはくれぐれも注意してほしい。
 
 プライドなんて書くんじゃなかった。誇りと言う日本語があるだろう! 日本人だぜ!