憧 憬 の 轍
2021年4月18日 何かに追われるように
桜前線は記録的な速さで北上し、
さらに加速しているようにも思える。
釧路や稚内の開花予想でさえ5月初旬なのだから。
近所の公園の桜も満開と言って差し支えない程に咲いている。
やがて風が吹けば無数の花びらが宙を舞う。
毎年の事だがこうして桜を見ていると花は陽気に誘われて咲くのではなく、
明らかな意思を持って咲いているようにも思える。
それぞれの木々が広い範囲で、
咲くタイミングを申し合わせているのかもしれない。
昨年までは「春一番ツーリング」と「春の味覚・天ぷら祭り」が恒例だったが、
今年は陽気と山菜の出来が一致していない。
スーパーマーケットの売り場にはタラの芽やウドやコシアブラなどがひと月ほど前から並んでいた。
それでも、なるべくなら山菜は栽培したものでなく天然のものを口にしたい。
今回の週末も天候に恵まれなかった。
雨模様で肌寒い週末だった。
こんな週末はやがて訪れる梅雨の前の、
夏を思わせる時期を夢見て整備に勤しむだけだ。
『スポカブ・ブラザース(弟)』のCB92はとりあえず作業を終えたが、
走ってみなければ結論が出ない。
フラッシャーの装備が義務化されていない時代のバイクとは言え、
公道を走るにあたっては手信号で許されるのだろうか。
そして『🔰若葉マークのS』はこの週末も相変わらず修行僧のような時間を過ごしていた。
先週末、タンクに残っていた錆が粉状になってキャブレターに与えた影響がどれだけ大きなものだったのかを理解したようだ。
YB-1のタンクに入れた「花咲かG」を毎日温め直して入れ替え、
タンク内の錆はほぼ除去できた。
さらにタンクとキャブレターの間に設けられた濾過式のフィルターも新しいものに替えた。
もちろんこれで終わった訳ではない。
このYB-1を少しでも完璧な状態に近づけようとするなら手を付けなければならい所は山ほどある。
とりあえず走れる状態になったのだから、
今後は勉強しながら『🔰若葉マークのS』の手で維持してもらいたい。
久しぶりに『樵の巨匠』のガレージを覗いてみるとTLR200はタンクを再塗装、
タイヤも新品同様のトライアル用に替えられていた。
ところで中古のCDIの調子は?
それだけはまだ結果が出ていないらしい。
所詮は仕事でも商売でもない、
たかが趣味の話ながら、
彼の姿勢を『🔰若葉マークのS』に見せたいと思った。
作業場は予定外の3台体制になっているが『スポカブ・ブラザース(弟)』のCB92は試運転を待つばかりだし、『🔰若葉マークのS』のYB-1もとりあえずは走ってみなければ何も分からない。次の週末にはエンジン換装のために入れたXL125K2だけになると思うが、予定は未定どころか常に想定外の事が起こるのが作業場だ。
『樵の巨匠』がTLR200に装着したトライアル用のタイヤは中古と言う話だが新品と言っても誰も疑わないくらい程度がいい。
競技をやっている知人譲りうけたらしい。
天気は午前中から雨との予報だった日が差していた。
バイクに乗って走り出したくなるような天気だったが時間と共に空は曇りだし、
夕方には雨が落ちて来た。
そんな晴れ間に乗るのではなくひたすらスポークの錆を落としていたのは『特攻隊長』。
メッキの鉄スポークを買うかステンレスのスポークを買うか悩んでいるらしい。
本気でスポークの張替えを考えているとしたら無駄な作業だが、
スポークホイールはやはりスポークの輝きがモノを言う。
作業場の周辺を歩いてみると春が来たのだと実感する。
桜だけでなく様々な花が咲き、
枯草を持ち上げるようにして新しい目が育っていた。
4月も既に半月を過ぎ、
5月の連休が話題に上る。
こうして寒かった冬の事も忘れ、
近づく梅雨や夏の暑さの事に気を揉みながら晴れて暖かい週末を待っている。