憧 憬 の 轍
2022年12月18日 胸中成竹 Once Again 4th
朝、窓の外を見て溜息をつく。
夜の間に降った雪の始末に費やす時間はそう長いものではないとしても、億劫な事だけは間違いないからだ。
本格的な冬を迎えるまではまだ間がある。
今年も残すところ2週間、時間の経過の速さにまた溜息が出る。
‘75 CB400Fourのクランクケースは再塗装を済ませ再び組み立てる準備を始めた。
上側のケースをスタンドに取り付け、クランクシャフトやミッションやシフトドラムを組み込んだ。
ミッションやクランクシャフトを仮組してシリンダーヘッドの解体。
バルブにはお約束のカーボンが付いている。
クランクケースにはオイルシールを入れ、合わせ面に液体ガスケットを塗って組み立てるが、腰上部分の作業に取り掛かった。
シリンダーもシリンダーヘッドも再塗装し、年末年始の休みに一気に組み直す事を考えている。
先週の忘年会でお披露目となったaprilia climber 240Rのエンジン再始動を目標に、『チャレンジャーのタカシ』は工具も燃料も持参で朝から作業場に出勤。
いわゆる実動車の長期保管車両だが外見的にも程度は上々だ。
まずはキャブレターの状態を確認するためにエアクリーナーを外した。
タンクに残っていた変質したガソリンの状態からキャブレター内部の状態が心配だったが、ガソリンを抜いた状態で保管されていたらしく、ジェット類に詰まりは無かった。
そのかわり詰まっていたのはタンクのコックで、硬い水飴状に変質したガソリンの除去に費やした時間は短くなかった。
前オーナーからは冷却水もオイルもすべて交換するように言われている。
当然のことながらディスクブレーキのキャリパーなども確認しなければならないが今日の目的はあくまでエンジンの再始動だ。
プラグホールから吹き込んだ潤滑剤がシリンダー内に広がるのを待ってゆっくりとクランキングしてみた。
キックレバーにも違和感は無く、圧縮も十分と判断してキャブレターに燃料を入れた。
混合仕様で混合比は60:1。
そして数回のキックでエンジンは無事に始動した。
エンジンに大きな問題は無いようだがバイクは走り出した以上、止まらなければならない。
来春の再デビューに向けてブレーキやサスペンションにも手を入れなければならないが、今日の目標を達成する事が出来て『チャレンジャーのタカシ』は満足げだった。
作業場=「OHMACHI BASE」にはメンテナンス中のバイクが今日現在4台ある。
年が明ける頃にはもう1台増える予定なのでこれまでにない賑やかな冬になりそうだ。
冬至が近い事もあって午後4時過ぎると暗くなってしまう。
さらに朝も7時頃までは薄暗い。
この季節になると何故か思い出すのは25年も前に聴いたラジオ番組のオープニングだ。
声の主は俳優の故細川俊之だった。
「カレンダーの日付けは残り少なくなりましたが、貴方に逢う時間だけは残してあります」
誰かのために残してある時間に心当たりは無いが、2022年と言う時間が残り少ない事だけは確かだ。