憧 憬 の 轍
北海道で暮らしていた頃、
雪虫を見かけるとそれはバイク乗りのシーズンが終わる事を意味していた。
初雪の降る頃に飛ぶ小さな虫に付いている綿毛が
雪のように見える事から北海道では「雪虫」と呼ばれている。
数種類の雪虫がいるが代表的なものはトドノネオオワタムシ。
アブラムシの一種でカメムシ目に属する。
オスには口がなく寿命は概ね7日、
メスも産卵後すぐに寿命が尽きる。
人の体温でも弱ってしまうほど熱に弱い。
明日は「秋の安全祈願大祭」、要するにチョイと走って午後から宴会だ。
TW200の修理のお礼にと編集長の友人、
K氏から巨大な生の牛タンを2本も頂いている。
柔らかい部分は焼いて食べるつもりだが、
タンシチューでも作ってみようと企んでいる。
肉が柔らかくなるまで煮込むこと約3~4時間。
圧力鍋を使えば1時間程度で出来るらしいが、
キャンプ用のガソリンストーブか常設の薪ストーブ(廃材ストーブ?)
を使って料理するのが作業場の流儀だ。
オマケに“樵の巨匠”は2週間前から
ダッチオーブンでローストチキンを作れと
夜半にホロケて電話してくるし。
「どれもこれも仕込みに手間のかかるモンばっかりじゃねぇか!」。
仕込みの手伝いにフンカモンカのタカを駆り出し、
タンを煮ながら自分はカーナビの修理。
半年前にウンガラモンガラのKENから
譲ってもらった中古のGORILLAだが先日、
突然画面が真っ白なって使い物にならなくなってしまった。
さらにイヤホン端子も怪しい。
地図データを更新するよりも新しいものを買った方が安く済む昨今だが、
まま捨てるのは惜しい、と言うより悔しい。
用意したのはジャンク扱いの同系機種。
スピーカーがイカレているとの事。な
らばスピーカーを移植すればナントカなるんじゃないかと
無謀な企てをしてしまった。
『冒険とは可能性への信仰である』
この言葉を胸に、
かつて上温湯隆(カミオンユ タカシ)氏はサハラ砂漠に挑み、
若くしてその生涯を終えた。
今、自分がしている事は命を賭けた冒険ではないが
可能性を信じている事だけは確かだ。
電気関係の知識パッパラパー∞の自分にとって、
いざ、サハラへ!
信じる者は救われるのか、捨てる神あらば拾う神あり、
なのかは分からないが「可能性への信仰」は通じたようだ。
「あらゆる可能性」のみだ
基盤さえ外せばこっちのもの コネクターに問題があったようで・・・
気が付くとストーブの上の鍋の中で牛タンはホニャホニャの一歩手前。
窓から差し込む日差しに透けたタバコの煙の中に
雪虫が飛んでいるように見えた。
このブログを読んで下さっている方から
「中華鍋の話だけど、そこまでするか!」みたいなことを言われました。
根性で作った“中華鍋プロテクター”の事を気に入って下さったらしく、
考えてみればバイクに興味のない人には
チンプンカンプンな内容のこのブログであります。
書いている私としましては
バイクで旅するための道具としての話題でしたが、
意図せぬところがウケてしまって今後、
何を書こうか悩ましい日々が続いております。
さらに今回はカーナビ。
私の轍は今後も曲がりくねって続いて行くのだと思いました。