冬を耐えてこその春


憧 憬 の 轍




20171217日 冬を耐えてこその春

 

 夏らしい夏もないままに秋が来て、気がつけばすっかり冬だ。
 
道端の草むらにある雪はおそらく春まで溶けることはない。
 
待つ事や耐える事を教えるために冬は来るのかもしれない。
 
日増しに日が短くなっている。冬至が近い。
 

 

 

 

 『林道1号』ことT氏のXLR-BAJAのピストンや

 

ピストンピンの状態は分からないことだらけだ。

 

シリンダーを外した後、ピストンを動かしてみると明らかに動きが固かった。

 

ピストンとピストンピンとコンロッドが正常な状態でつながっていれば、

 

コンロッドの動きにピストンはカタカタと音を立てて振れなければならない。

 

ピストンを手で握って動かしてみたが、かなり抵抗があった。

 

4輪車のエンジンにはピストンピンを圧入しているものもあるらしいが

 

2輪車のエンジンでは聞いた事がない。

 

オイル不足で焼き付いてしまったものでも軽く叩けばピストンピンは抜けた。

 

とても他人様には見せられないような方法(編集長が大活躍!)

 

で抜き出したピストンピンとピストンに絶句した。

 

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この傷は何だ                             

 

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反対側にも同じような傷
 
 コンロッドのスモールエンドとピストンピンは一体化したような状態で

 

ピンとピストンのクリアランスで辛くも動いていたようだ。

 

そのクリアランスも既に失われた状態で、動いていたのが不思議過ぎる。

 

 “何か”がコンロッドを貫通するピストンピンとの間に噛み込んだのか。

 

コンロッド上部にはオイル供給用の穴が2つ開いているが、

 

そこから“何か”が入り込む隙間なんて無いはずだ。

 

仮に“何か”クランクケースの内部で暴れまわったとしても、

 

コンロッド上部の穴から入り込む可能性は限りなくゼロに近い。

 

焼き付きを起こしていたとしてもピストンピンにこんな傷がつくものなのだろうか?
 
 早速純正部品を手配するもののピストン関係は全て欠品。

 

10月初旬、ピストンが破壊した編集長のGB250の時と同じで

 

生産を終えたHONDA車は主要部品の入手が難しくなっている。

 

大手の中古車チェーンが大量に買い占めたと言う噂も聞こえている。

 

 車両型式はMD22だがエンジンの型式はMD17E

 

同型エンジンを搭載しているFTR250の品番で検索したところ

 

ピストンもピストンピンも入手可能なようだ。

 

同じMD17Eでもギヤレシオやキャブレターが違うらしいが、

 

今問題なのはピストンとピストンピンだ。

 

これはひとつの賭けだと思ってFTR250用のピストンピンを注文してみた。

 

ボア×ストロークXLR250Rと同じなのでピン径が同じなら使えるはずだ。

 

さらにホンダのカスタマーサービスにもその旨を問い合わせてみると

 

「同じ部品で品番が違うものはない」との事、

 

「搭載車種の特性などから同型エンジンでも違う部品が使われている」

 

と言った内容だった。

 

 逡巡を繰り返している中、ピストンセットが奇跡的にもオークションで見つかった。

 

純正部品で価格も純正部品とほぼ同じ。

 

説明にMD20と書かれていたが念のため質問してみると

 

純正品番13101-KV6-000とのこと。

 

これはまさしく探していたものだった。

 

 排ガス規制などの影響でどのメーカーも多くのモデルの生産を最近終了した。

 

同時に部品の供給も絶望的になってしまった。

 

そんな中で見つかったピストンセットを『林道1号』が速攻即決したのは言うまでもない。

 

「もしもFTR250のピストンピンで修理出来たら無駄じゃない?」 

 

と聞いたところ返ってきた答えは

 

「多分、来年『林道2号』が必要になると思うよ」って、

 

誰もが頷く一言が返ってきた。

 

 
FTR250の部品が使えるとすれば再生を絶望視していた

 

タケチャンマンBAJAにも小さな光が見えてきそうだ。
 
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箱はボロでも問題は中身                    

 

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去年からピストンばかりいじっているような気がする
 
 
本来コンロッドも交換すべきだろうが
 
スモールエンドに残った傷を研磨して十分使えるまでになった。
 
クランクとコンロッドにほとんどガタが無いので手を付けたくなかった。
 
ここまでバラしたのだからオイルシールもすべて状態を確認しようと、
 
デコンプシャフトの取り外しに取り掛かる。
 
ところがシャフトを抑えているダウェルピンが抜けない。
 
1981年型のXL250RMD03)のロッカーアームのシャフトに付くOリングを交換した時と同じだ。
 
マニュアルにはピンに欠き込みを入れてドライバーなどで叩き抜くと書かれている。
 
この乱暴な方法を続けるより特殊なスクリューでも使ってほしい。
 
潤滑材を吹き付けてもバーナーで炙ってもピンはビクともせず先端は削れてしまうだけ。
 
既にプライヤーで挟める余裕もなくなり、
 
ボルトを溶接し角材を台座に引き抜くことを考えた。

 

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ダウェルピンは無残な姿に・・・                 

 

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ボルトを溶接して
 
 

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角パイプを台座に                         

 

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最後はロッキングプライヤーで・・・抜けた
 
 
 先週から続いた「抜き取る」作業が手間のかかる作業だと言う事を痛感した。

 

そんな中、グランパ・O氏も『林道1号』のT氏も某オークションで同日に

 

「おめでとうございます!」。 

 

車両は近日公開らしい。