憧 憬 の 轍
2019年12月25日 「水曜の朝、午前3時」 Merry Christmas 番外編12
SIMON&GARFUNKELの3枚目のアルバム
『Parsley, Sage, Rosemary and Thyme』に
収録に収録されている「7 O’clockNews/Silent Night」を聴きながら。
クリスマス・キャロルの定番中の定番とも言うべき
「SILENT NIGHT(きよしこの夜)」をピノ伴奏だけで歌い、
1966年8月3日のニュースを歌に被せている。
ニュース自体は疑似であり、実際のニュースではない。
だが当時、難航していた公民権運動やベトナム反戦運動への逆風、
連続殺人事件などの影響を受けてしまった人の訃報など、
深刻なニュースが語られる。
この曲が作られた1966年から今日まで、
53年もの時間が過ぎてもSIMON&GARFUNKELを知る人たちにとって
記憶の片隅にある1曲だと思う。
クリスマスの夜、
せめて今夜だけでも「Sleep in heavenly peace」と言いたかったのかもしれない。
それはある意味で時代への皮肉でもあり、
彼らの願いだったと思っている。
SIMON&GARFUNKELのデビューアルバムのタイトルは
「Wednesday Morning 3AM(水曜の朝、午前3時」だった。
今年、2019年12月25日も偶然に水曜日だ。
「Wednesday Morning 3AM」
に収録されたアコースティック・ギターだけで演奏された
「Sound of Silence」は後にプロディーサーの独断によって
エレクトリック・セクションを伴いシングル・カットされ、
翌年初頭に全米ヒットチャートの1位に輝く。
その後、ビートルズに首位を奪われたが3週後には再び首位を勝ちとった。
この経緯をSIMON&GARFUNKELの二人は関知していない。
当時二人は音楽活動を休止し、別々な道を歩んでいた。
思いもよらなかった朗報に二人は再会し、活動を再開した。
映画「卒業」のサウンドトラックに楽曲が採用されるなどして
二人の名は世界中に知れ渡る事になる。
Parsley, Sage, Rosemary and Thyme。
女性の名前なのか香辛料の名前なのかもわからずに聴いた「Scarborough Fair」。
縫い目のないシャツを作るとか乾いた井戸で洗うとか、
訳の分からない歌詞が散りばめられたイギリスの伝統的なバラードが
今でも新鮮に耳に響く。
それが恋人への伝言なのか時代へのメッセージなのかは聴き手の判断次第だ。
Good Night