憧 憬 の 轍
2021年2月21日 千里の道も一歩から
日増しに暖かくなっている。
まだしばらくは冬日が続くようだが積もった雪の嵩は目に見えて低くなった。
例年、春が来る前に必ず降る湿ったドカ雪は、今年も降るのだろうか。
17日、COVID-19ワクチンの接種が始まった。
報道によれば使用する注射器の問題や今後、
確実に確保可能な量など山積する問題は少なくないらしい。
今、目の前にある壁を乗り越える事が喫緊の課題だ。
シンダーヘッドを押さえる12本のボルトのナットに2.0㎏・mでトルクを掛け、
およそ24時間後に確かめてみると10%程度緩んでいた。
新品のガスケットが潰れて生まれた緩みと考えてトルクを掛け直し、
さらに24時間後、トルクの変化は無くなった。
この週末のエンジン再始動に向けて空いた時間にオイルパンやフィルターケースも組付け、
ヘッドカバーやブリーザーを取り付けるばかりにしてあった。
カムシャフトを外さなければシリンダーヘッドは外せない。
当然のことながら組み立て後は点火タイミングやカムチェーンを再調整しなければならない。
バルブとロッカーアームのクリランスは組み立てる過程で済ませても、
カムチェーンの調整はエンジンを暖機してからの作業だ。
オイルチェックボルトの穴からプッシュバーを強制的に押し下げてからセッティングボルトを締め直す。
作業としてはさほど面倒な事では無いがそれぞれのボルトの位置が問題だ。
特にセッティングボルトはエギゾーストパイプのすぐそばなので注意しないと火傷してしまう。
オイルチェックボルトもエンジンハガーのプレート挟まれたような位置にある。
そこでこのプレートをあらかじめ外してから調整している。
さらにプッシュバーを押し下げるために丸鋼を曲げて作った「専用工具」も用意してある。
カムチェーンの調整は細目に行わなければならないが、
チェーンの張り過ぎやセッティングボルトの締め過ぎには注意しなければならないとよく言われる。
カムチェーンやテンショナーを交換するとなれば腰下をバラさなければならないし、
セッティングボルトは既に純正部品が手に入らないからだ。
カムチェーンの調整も終えてレッドゾーン直前まで回転を上げてみたが漏れも滲みも無い。
もちろん走らせてみなければ合格とは言えないが、
この季節に作業場で出来るのはここまで。
合格印は半分だけ押して春を待つしかない。
それにしてもオイル量は3.5ℓ、
一般的な軽自動車でも3ℓで足りると言うのに・・・。
‘75 CB400Fourの作業が一段落したので『樵の巨匠』のガレージを覗いてみた。
TLR200はタンクの錆を処理したまま車体にさえ乗っていない。
それもそのはず、
この10日間ほど、
『樵の巨匠』は3台目の薪ストーブ設置に向けた準備に忙しかったらしい。
本来の予定では昨夜(20日夜)が火入れ式の予定だった。
次の週末までに煙突も設置しなければならない。
間に合うんだべなぁ・・・、2度目の延期はねぇぞ!
閑話休題 地球儀を回しながら
地球儀を回す度に日本は小さな島だと思う。
それに比べて五大陸は距離感さえつかめない程広い。
さらに海の面積の大きさは想像を絶する。
地球の表面積の約71%が海だ。すなわち陸地は3割に満たない。
海の最も深い所は海面下10,911mとされるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵だ。
8,846mエベレストを逆さまにしても届かない。
そして案外日本から近い所にある。
深度10,911mでの水圧は108.6Mpa、すなわち1㎠あたり約11,077㎏の圧力がかかる世界だ。
1㎡の面積に小型自動車が100台乗っているくらいの計算になる。
チャレンジャー海淵への有人潜航の記録としては1960年に2人、
2012年に1人が成功した。
3人目は世界的に有名な映画監督のジェームス・キャメロンだった。
2019年にアメリカの実業家のチームの4人が潜航に成功したが、
それでもまだ僅か7人だけだ。
潜水艇の建造には約50億円、
さらに支援する船舶などにも数十億円を費やしたと言われている。
その一方、これまでに高度100㎞以上の宇宙空間を飛んだ人数は2020年現在、562人。
弾道飛行を含む人数だが宇宙空間へ飛び出すために必要な費用も一般人の経済事情で賄えるものではない事は明らかだ。
宇宙空間へ行ってみたいとは思わないが深海への興味は尽きない。
それ以上に特別な機材や装置が無くても行くことが出来る大陸の広さや距離感を知りたいと思う。
もしも「月かチャレンジャー海淵か、どちらかに連れて行ってあげる」と言われたとしたら、
あなたはどちらを選ぶだろう。