憧 憬 の 轍
2021年7月11日 分岐点
4度目となる緊急事態宣言が発令された東京で、
もうすオリンピック/パラリンピックが開催される。
個人的には土壇場で中止になるだろうと思っていた。
観客の有無や外国から来日する選手団への対応、
さらには大会そのものの運営など課題は山積のようだ。
ところで「緊急事態宣言」について政府機関は「発出」と言う表現をしているが多くのマスコミは「発令」と言う表現をしている。
混在する表現にそれぞれの立場を感じながら、
ウイルスに対する危機感は日ごとに薄れているような気がする。
‘75 HONDA XL125K2に後継モデルのXL125Sのエンジンを載せ替え、
ひと通りの調整を済ませた。
そして代わりに(?)やって来たのはJC58、
御存知『大魔神・O氏』の宝物のひとつだ。
1958年製の“全身錆だらけ”の天然記念物と言うか産業遺産と言うか・・・、
これにアンティークなスタイルのマフラーを付けろと言う。
ビニール袋に包んで背負って来たマフラーはフィッシュテールスタイルなだけに季節外れの荒巻鮭かと思いたくなるような逸品だった。
VelocetteやBSAなどの古い英国車によく見るデザインでメッキの状態も良い。
光りモノが好きな『大魔神・O氏』だがマフラーだけピカピカでいいのか?
最大の問題はJC58のエギゾーストパイプの径とこのマフラーとの接続部分の径の差だ。
さらに接続用のパイプには曲げ加工も必要だ。
本来は右側に出すように作られているマフラーだが違和感はない。
重量から考えてステーは角パイプから切り出すかC型の鋼材が適していると思う。
さらにフィッシュテールの、
すなわち“魚の尾びれ”部分で吊り下げる事も考えているが、
出来ればそれはしたくない。
一方『編集長』は秘密基地でスプロケットやチェーンの交換作業。
自らの手でキャブレターのメンテナンスをして以来、
作業が楽しくて仕方ないようだ。
特殊な計器や工具が必要な作業でなければ極力自分でやろうと言う姿勢は大事だと思う。
もちろん知識も技量も経験も個々に違うので無謀な作業はするべきではない。
用意したチェーンは必要なコマ数が2リンク多かった。
まずは詰めてから繋ぐのだが、
このチェーンに連結用のクリップは設定されていない。
ピンを抜く作業も繋いでカシメる作業も初めてだけに緊張感を伴う。
しかしこの緊張感こそが経験として生きるのであって他人任せの作業を眺めていても得られないものがある。
当初雨模様との予報だったが日中が蒸し暑い1日だった。
肌寒かったのは朝方だけ。
チェーンとスプロケットを新調した『編集長』は『特攻隊長』と共に試運転に出かけたが、
「戌年二人組」がお散歩程度で帰って来たとは思えない。
今年は梅雨明けが早いのではないかと言う話もあるがこの種の話には裏切られる事の方が多い。
あまり期待せずに夏を待つことにしようと思う。
そんな事よりも熱海市で起こった土石流や線状降水帯による大雨で避難を余儀なくされている方々が、
1日も早く元の生活に戻れることを心から願うばかりだ。
閑話休題 越境
県内でも蛍が飛び始めた。
例年この季節に開かれていた観賞会の多くは、
今年もCOVID-19のために中止らしい。
それは蛍にとってはありがたい話かもしれない。
6月初旬に青森市の浅虫地区へ下見に行った時は陽気に誘われてバイクで行ったが、
今回はクルマで隣町の萠出地区へ。
ここではゲンジボタルが多く見られるらしい。
当たり前の事だが夜間に極力照明を使わずに行動しなければならないので写真撮影のための下見は大事だ。
ゲンジボタルは北海道にも生息しているが自生種は青森県が最北限だと聞いた事がある。
しかし今では気候が昔とは大きく変わり、
本来生息していないはずの種もブラキストン線を越えている。
クマやサルやウサギ、
リスやシカなどは流石に津軽海峡を越える事が難しいとしても、
小さな昆虫なら人間の往来に伴って超えて行く事も考えられる。
ゴキブリがその最たる例だ。
さらに観賞目的で人間が持ち込んだものも少なくないはずだ。
かつて北海道で暮らしていた頃、
庭先で一生懸命にアケビを育てている人がいた。
何とか結実させ、
秋に紫色の実が割れるのを見たいと言っていたが、
今ならその望みは叶うかも知れない。
長らく連絡もしていないが、
もしも蛍の写真をきれいに撮れたら、
葉書に印刷して暑中見舞いを書こうと思っている。