憧 憬 の 轍
2023年2月8日 晴天の霹靂
少しだけ暖かくなり雪溶けが進む。
それはそれで嬉しいのだが、屋根から滑り落ちた雪の処理や実に走りにくい道路に眉を顰める事になる。
北日本で走っている自動車の寿命が短いのは路上に撒かれた融雪剤とサスペンションを痛めつけるような路面状態が原因かも知れないと真剣に考えてしまう。
まさに最強、そして最凶の寒波が懐具合を襲っている。
それは先週末から続く、どれもこれも出費が嵩む事態を意味している。
自室のFFストーブや幾つかの家電製品ばかりか日常的な足だったABA-58H(ミツビシ パジェロミニ)まで壊れてしまった。
この1ヶ月の間の出来事だ。
フュエルポンプの故障とフュエルラインの凍結だろうと高を括っていたが、なんとバルブが・・・。
修理工場からの連絡では3番シリンダーに圧縮が無いばかりか2番も火が付く状態ではないと言う。廃車決定だった。
仲間内のLINEには様々な“御意見”が投稿されているようだが、LINEだけでなく、いわゆるSNSに興味が無いので内容は伝え聞くだけだ。
無駄な抵抗だった訳だが、フュエルポンプ交換の過程を記録しておこうと思う。
まず後部座席を外し、カーペットを捲るとフロアパネルにメンテナンスホールのカバーが出て来る。
前のモデルにはこれが無いためタンク自体を外さなければならない。
そのためにはマフラーやドライブシャフトまで外さなければならないので、ここに穴をあけてポンプを交換する事もあるとか・・・。
これは設計自体に問題アリだと思った。無駄に工賃が高くなるだけだ。
MITSUBISHIの設計陣はアホ揃いなのか?
ポンプ本体を抜き出しタンク内部を見たが錆などは見当たらず、フィルターの汚れも走行距離の割に少ない。
この時点ではもうすぐエンジンがかかるものと信じていた。
昔のクルマならタンク上部に電磁ポンプが備わっていてイグニッションをONまで回すとカチカチと音が聞こえたものだが、そんな音はしない。
そもそもポンプ自体の構造が昔の物と違っている。
ユニットの大きさに対してモーターと一体になっているポンプ本体は小さい。
「ポンプユニットの故障」→「ストレーナーの凍結」→「インジェクションの故障」の順でトラブルの原因を考えていたが、思いもしなかった部分がイカレていたとは・・・。
落ち込んでばかりもいられないのでとりあえずは早めに、いや早急に新しい足を探さなければならない。
このABA-58Aを譲り受けてから3年。
変形していたリアバンパーパネルを交換し、2年前の車検の時にはスタビライザーのブッシュとハブベアリングの交換なども自分の手で済ませて受けた。
日常の足としてだけでなく、個人的な趣味にも大活躍してくれた。
ターボチャージャーが付いているとは言っても所詮は660ccのAT、高速道路のアップダウンが続く区間はさすがに苦手で、後ろに迫る普通車に青息吐息だったこともあったが、悪路の走破性は悪くなかった。
福島や山形の山奥まで廃校の写真を撮りに行った時には車中泊もした。
広いとは言えない車内で車中泊するために後部座席を取り外し、荷室からグローブボックスまでが平面になるパネルを作った。
そこにエアマットと寝袋を広げて十分なスペースを確保した。
カーナビゲーションも地図データの新しいもの(中古品だったが・・・)に替えた。
人里離れた所でもワンセグメントでテレビを観ていたが、感度の良い方向を探してからクルマを停めたものだった。
バッテリーの消費を抑えるために車内の照明はキャンプ用のLEDランタン。
季節によっては車内が冷え切る前に寝袋に入った。
田舎の温泉や共同浴場の駐車場は車中泊の好適地で、朝はまず、ひとっ風呂浴びてからの朝メシ探しが楽しかった。
まだまだ走ってくれると思っていただけに残念でならない。
「廃車」と言ってもただの鉄クズにするのではない。
日頃お世話になっている解体業者に引き取ってもらうのだが、まだまだ使える部品は選別して中古部品として流通する。
エンジンの一部は絶望的だが、それ以外の部品はどこかで誰かが使ってくれるだろう。
車中泊仕様に改造した時に外した後部座席は「OHMACHI BASE」にある。
近々に座椅子に作り変えて2階のVIP専用室(いわゆる屋内キャンプ場)で使おうと思っている。