冬が来る前に

憧 憬 の 轍

 

2023115日 冬が来る前に

 

2022年2月下旬、ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めた時、これを「戦争」として報道したメディアは少なかった。

その後、半年が過ぎた頃から「戦争」として報道されるようになったと記憶している。

2014年にロシアがクリミア半島とその周辺を併合した時、既にこの戦争は始まっていたと言う見方が今では常識になっている。

言い換えれば8年以上たってやっと「戦争」として認識されたとも言える。

世界中の多くの国が直接的ではないまでもこの戦争に加担している。

かつての「イデオロギーの争い」は終わっていなかったのだ。

そして今、イデオロギーだけでなく宗教的な背景を含んだ戦争がパレスチナで続いている。

連日のように「人道的支援」が世界中で叫ばれているが、事実上の第3次世界大戦に終わりは見えない。

 

 

 

 

巷は3連休。

さらに全国的に好天に恵まれ関東地方以南では夏日を記録したとか。

本州最北端の当地も昨日は実に暖かく、今年最後の連休とあって多くのバイクを見かけた。

そんな中、またエライものがやって来た。

YAMAHA VMX12 1988年型 アメリカ輸出仕様。

旧型のV-MAXだ。

入手の経緯は長くなるので書かないが、簡単に言えば「貰った」。

おそらく常識的にはこんなモノをくれる方もくれる方だが、貰う方も貰う方だ。

11月3日の好天からは一転して肌寒ささえ覚える4日午後、雨も昼過ぎには上がり「V-MAXサルベージ計画」が予定通り執り行われた。

 

 

乗ってみたくてたまらないのはこの二人


           

だから、走らねぇって

 

 

軽トラックで運搬中 


                                          

この二人はほぼ「お祭り状態」

 

 

旧所有者が外国人だったため、少々一般的ではない(?)登録や名義変更の手続きになる。

とりあえず必要な書類は揃っているが、近々に陸運事務所に出向いて確認しなければならない事もある。

 

 

YAMAHA VMX12」が、いわゆるV-MAXの正式名称だ。

1985年の初期型から2007年の最終型まで数回のマイナーチェンジを経て発売されたモデルだが、1990年に排気量750cc以上の大型二輪車の国内販売が解禁されるまでは輸出専用車だった。

その運輸省型式指定第1号なのだが、V-MAXの話になると必ずと言ってもいい程語られる「怒涛の加速」を生み出すV-Boostシステムは日本仕様車には搭載されなかった。

カナダ仕様の145馬力に対し97馬力(95.2馬力と言う説もある)。

ただ輸出先によって最高出力は違い、大別すると7種類の出力設定があったようだ。

今回の1988年型アメリカ仕様はカタログデータ上では143馬力、ところが同じアメリカ向けでもカリフォルニア州仕様は135馬力だ。

それぞれの仕向地の規制に従って設定されていたらしい。

 

無事に「手術室」に到着


                    

スピードメーターはmph表示 内側にkmh

 

早速エンジンを再始動して・・・、と言いたいところだが、今冬に予定している作業や来春以降の事も考えなければトンデモネェ事になりそうなので少々、いやガッツリとアタマを冷やさなければならない。

まずは『大魔神・O氏』の命令によってKAWASAKI W1の外見をMEGURO的にする作業だ。

さらに『サンちゃん』ことS氏が乗っていたKSR-Ⅱの再生だが、KSR-Ⅱは既にバラバラになっている。

そしてタペットの打音らしき音が気にかかって調整中の‘75 CB400Four。 

ドエライ貰いモノにうかれている場合ではない。

こんな時は軽微な作業から。

まずは先日入手した‘75 CB400Fourのオイルパンを交換するために腐食痕の多い外部のサンドブラスト、その前に合わせ面のオイルストーン磨きを。

 

オイルストーン磨き完了



次はサンドブラスト

 

KSR-Ⅱのフレームもサンドブラスト後に塗装の予定だが、手を付けてしまえば1日で終わりそうな作業ではない。

そればかりか発注済みのエンジンの部品が製造元の都合でまだ届いていない。

よってこれは後回し。

KAWASAKI W1の作業はパテや接着剤など、硬化後でなければ次の段階に進めない作業ばかりだ。

そこで改めてドエライものに目を向けるとコイツもそれなりに満身創痍だ。

チェンジペダルやリアブレーキペダルは曲がっていて手荒に扱われた跡が残っている。

 

まぁ、立ゴケの跡か・・・


                     

カバーまで割れてるし

 

とりあえずはエンジンを再始動させる準備と押して移動させるためにリアブレーキペダルとシフトレバーの修正を試みた。

ブレーキペダルは鉄製なのでガスバーナーで炙り、ゆっくりと力をかけて直すことが出来たが、アルミ製で、さらに捻れていたシフトレバーには小さなクラックもあった。

結果的に修正過程で破断してしまった。

 

ブレーキペダルは上手くいったが・・・


            

シフトペダルはポッキリと

 

車体そのものも見れば見るほどため息が出そうになるが、書類にも理解に苦しむ点がある。

例えば車台番号はいわゆるVINコードで記載されているため、用いられているアルファベットから製造年が読み取れる。

ただ日本国内仕様の車両ではVINコードが一般的ではないため、その読み方が分からないので調べてみたのだが・・・。

車検証に記載されている車台番号は「JYA2WE***WA******」。

最初の3文字はJAPANのYAMAHAを意味する。

続く2WEだが車検証では「型式」も「原動機の型式」も2WEと記されている。

YAMAHA VMX12の系譜を調べる中でこの「2WE」が型式とされていたのは1987~1989年のアメリカ輸出用だけだった。

大別すると初期型から最終型まで6種類あるのだが、「2WE」の型式はいわゆるⅡ型だけにある。

誤解の元は10番目のWだ。

これを1988年と解説している文章と1998年と解説している文章があったからだ。

手元にある車検証に記載されている初年度登録は平成9年7月、すなわち1997年だ。

1998年に製造された車両を1997年に登録する事は出来ない。

その他の特徴などからこの車両は1988年に製造されて輸出後、逆輸入の形で日本に戻り、複数のオーナーを経て今ここにあるのだと判断した。

さらに記載されている走行距離はKmで書かれているが、マイルを換算し忘れているんじゃないのかな・・・?

 

‘75 CB400Fourの再生に取り掛かった2010年4月。

13年以上前の事を思い出す。

408ccモデルか398ccモデルか、シリンダーを見れば排気量が分かるはずだが削り落されていた。

そんな時代だった。

外見上の相違点や当時の文献(主に雑誌など)を頼りに調べたものだったが、結局は車体そのものを完全に解体し、組み直す過程で408ccモデルだと分かった。

あの頃の興奮にも似た気持ちで今夜は眠れそうにない。

今年のバースデープレゼントは後を引きそうだ・・・。

 

       

気持ちだけは既に走っている

 

 

手伝ってくれた皆さん、ありがとうございました



閑話休題 またしても栗の話

『ヒロさん』ことT氏の庭で拾った栗があまりにも立派だったので、ただ茹でて食べるだけでなく、と挑戦したつもりの甘露煮や揚げ栗、そして渋皮煮。

どれもこれもかかった手間を考えれば手を出すべきではなかったと反省している。

おそらく来年も大量の実がT氏の庭には降るように落ち、それを拾いに行くのだろうが渋皮煮だけはもう二度と作るまいと思っている。

栗には数種類の虫がつく。

それらは落ちてから入った虫よりも結実する前から卵の状態で付いているらしい。

このあたりでは多くがゾウムシの幼虫で、地方によっては食用にする所もあると言う。

孵化後は栗の実しか食していないため栗の味がすると言うが、口に入れてみようとは思わない。

 

クリシギゾウムシの幼虫らしい


                 

苦労の末に出来た渋皮煮

 

痙攣しそうな指先で鬼皮を剝き、茹でる前に少しでも渋皮を剥ごうとしている側を丸々と太った幼虫が実から這い出してどこへ行こうとしているのやら・・・。

実から出た後は土中で2~3年過ごしてから成虫になるらしいが・・・。

あ~、忌々しい! 

思い出しただけでせっかく作った渋皮煮が不味くなる!