憧 憬 の 轍
2018年5月13日 今夜はオリオンビールで
数日前に沖縄地方が梅雨入りした。
個人的な感覚だが、
沖縄が梅雨入りすれば北東北は梅雨前の晴れた日が続くと思っていた。
昨年は見事に裏切られたが今年はどうなる事やら。
とにかく晴れていたら走れ!
乗れ!
それにしても、何度見てもこの“錆具合”は見事としか言い様がない
JC58のタイヤ交換。
このバイクに限っては“錆具合”を大切にしなければならないので、
スパナひとつ使うにしても気を遣う。
前輪はトルクロッドのボルトさえ忘れなければ簡単に車輪は外れる。
スピードメーターのワイヤーが欠品しているのでさらに外しやすいが、
このワイヤーも近いうちに何とかしなければならない。
前輪を外すのは簡単
早くメーターワイヤーを見つけないと・・・
参考にしたマニュアルはJC58のものではなくJC57用のものだった。
それでもJC58はJC57の改良版らしいので主だった特徴は把握できた。
後輪はマニュアルに書かれている通りに、シャフトを抜きサイドカバーを外す。
そして横方向に車輪を動かしてみたが、なかなかうまく車輪を外せない。
後方深く回り込んだリアフェンダーはフレームと一体なので取り外せる訳もない。
実に独特な作りの後輪ハブ
まずはマニュアル通りシャフトを抜く
車体そのものをウィンチで吊り上げる、なんて荒業まで考えたが、
リアサスペンションとスイングアームを切り離し上方へ持ち上げ、
車輪を左後方へ引き出して何とか外せた。
マニュアルにはフェンダーのかわし方は書いていない。
正直なところ、こんな手順のタイヤ交換は初めてだ。
マニュアルを手に入れるまではチェーンケースやハブの形状を見て、
メンテナンス性の悪い造りだと思っていた。
スプロケットやブレーキシューの交換は難しいが、
ある意味ではメンテンスを考えた造りと言えるのかもしれない。
シャフトを引き抜くとカラーとサイドカバーは簡単に外れ、
車輪自体もハブから離れた。
一般的には「塗装に傷をつけないように」気を遣う訳だが
「錆を落とさないように」進める作業はさらに気を遣う。
シャフトと共にカラーとサイドカバーが外れた
車輪を外したハブ
車体の錆以上に気を遣うのはリムの錆とわずかに残っているメッキを落さないようにする事だ。
プロテクターを嵌めてもタイヤレバー掛けるとメッキも錆も剥げ落ちそうだし、
新しいタイヤを履かせる時もビードで擦れてしまいそうで手荒な作業は出来ない。
タイヤ交換自体は簡単だけど・・・
再び左後方から車輪を入れる
タイヤ交換は無事に終わって空気圧の調整。
マニュアルによれば指定圧は前輪28ポンド、後輪32ポンド。
ポンド?
1958年、すなわち昭和33年の日本ではまだ
尺貫法がまかり通っていたはずなのにポンドで書かれていた。
ところで1ポンドって何グラムだっけ?
何貫目?
1lb=435.59237gなので28lb=1.27058636㎏、32lb=1.451495584㎏となる。
さらに面倒なのは手元にあるエアゲージがN表示だったことだ。
近々に単位換算票を常備しようと真剣に思った。
実は後輪を外せずに苦労していた時、エライものを発見してしまった。
なんとマフラーの側面に穴があいている!
4つも!!
車輪を組んだ状態だと右側から見てもチェーンケースの陰に隠れて見えなかった。
スポークの隙間から
思いの他大きかった排気音はこの穴のせい?
製造後60年、錆と言う名の星霜を全身に纏った・・・
なんてカッコつけても穴は穴だ。
目立たない場所とは言え継ぎはぎが目立つようでは困るので、
すぐに錆が浮くように亜鉛鉄板を溶接しようとしたところ、
穴の周りは鉄板自体が薄くなっていてすぐに穴があいてしまう。
厚手のステンレスでも使って補修してやりたいところだが、
この車体に限ってそれは許されない。
穴の周囲を亜鉛鉄板で覆いハンダで張り付けてみた。
使用したステンレス用ハンダの熔解温度は約184℃。
マフラーについては今後も補修方法を考えなければならないようだ。
結果は吉と出るか凶と出るか
外見から補修跡はほぼ見えない
マニアックな話だがJC57とJC58の外見的な違いは少ないようで、
例えば前輪のハブにグリスニップルがあるか無いかとか・・・。
ちなみにJC57のカタログの写真にウインカーは付いていない。
時代からウインカーではなく「方向指示器」と言うべきかもしれない。
そしてストップランプも無い。
カタログでは9.5ps/7,500rpm、0.8kgm/5,500rpmのOHV125cc。
還暦マシンは還暦らしく含蓄をもって静かに走らなければならない。
オーナーの大魔神・O氏がこのバイクを日常の足に使うとは思えないが、
何かの催事や集会では走らせるだろう。
この単純かつ古式豊かな(?)機械を維持するのは、
全身に纏った錆を維持するのと同じくらい大変なことかもしれない。
還暦の次は古希、
10年後も走れるように頑張りましょうね。
予定外だったマフラーの穴のために試走は次に週末。
調整が必要なAMAL製のキャブレターは見るからに手強そうで、
国産のKEIHINやMIKUNIのような訳にはいかないようだ。
AMAL392型キャブレター
外が騒がしいと思ったら・・・
慌ただしくも楽しい週末は寝食さえ忘れるほどの勢いで過ぎてしまう。
ところで、次のツーリングはどこへ行く?