憧 憬 の 轍
2018年9月30日 備えあれば
明日から10月。
9月を振り返ると
台風21号が関西地方に大きな被害をもたらしたかと思えば北海道で地震。
そして今度は台風24号、
さらに25号が後を追うように沖縄に近づいている。
台風情報を聞きながらこれを書いている現在、
台風24号は三重県付近を北上しているようだが、
東北地方の太平洋沿岸の各自治体が「避難準備」を、
北海道の胆振地方では既に「避難勧告」や「避難指示」を発令している。
古の時代から人々は何者も抗う事の出来ない自然現象に神を見て来たのだと思った。
この頃の天気予報はよく当たるので、
この週末は「プロジェクト・C92-R」に使う予定のCB93エンジンの
レストア作業に没頭する事にしていた。
エンジンの外装部分をサンドブラストし、
“中身”は後回しでケースだけを組む。
C92用のプレスフレームにCB93エンジンを取り付けるための
プレートを作らなければ今後の作業が進まない。
ボルト穴はすべてタップで清掃
これを忘れると後が大変
少しでも軽い状態、いわゆる“ドンガラ”状態で
エンジンを取り付けるためのプレートを作るつもりだったが、
中身のないエンジンも結構重い。
フレーム自体は前後輪を取り付けた状態と同じに固定してあるが、
細かい作業をするためには架台を補強しなければならないようだ。
燃焼室までクリーニングしたシリンダーヘッド
こんな状態になる? 架台の補強が最優先
エンジンを解体した時に部品は部位ごとに袋に入れてあった。
油や錆にまみれた部品はひとつずつ再利用が可能か否かを判断し、
同時に部品が入手可能か否かも考えなければならない。
これまでの経験からオイルシールやOリングは旧JIS規格品でなければ何とかなる。
電装系もすべて作り直す予定。
代用や流用の難しい純正部品のメーカー欠品が問題だ。
このエンジンを入手した時点でそれなりに覚悟したつもりだったが、
この先の作業はもう一度気合を入れ直さなければならないようだ。
錆と油と泥に悩まされる自分の傍らで
92ブラザース(弟)は仕上がりが今ひとつ気にいらなかった
CB50改のタンクやヘルメットなどのクリア塗装。
その作業がやたら楽しそうで仕方なかった。
楽しそうだなぁ・・・
ポイント ベース以外は交換必須!
秋の終わりが近い事を知っているだけに雨天の週末は恨めしい。
9月のカレンダーを破り去り10月を眺める。
きっと10月もあっという間に過ぎてしまうに違いない。
そして色づく山の景色は冬の到来が近い事を告げる。
屋根を叩く雨音が断続的に強くなって来たようだ。
近づく冬の事よりも、
この台風の被害が最小限度で済む事を願わずにいられない。
閑話休題 DATURAはどこにある?
読書の秋、なんて今さら言うつもりはない。
読みかけの小説が常に2~3冊ある。
好きな作家は何人かいるが、やはり村上龍は外せない。
デビュー以来ずっと読んでいる。
一番好きな小説は、と考えると答えが出ないが、
「コインロッカー・ベイビーズ」のあとがきが一番好きかもしれない。
『瞬間を連ねること。それしかなかった。全力疾走を何百回と繰り返して四二・一九五キロを走破するマラソンランナーのように書こうと思った。』
『渋滞の高速道路を、フルスロットルのオートバイで駆け抜けるように、私は書いた。熱は、あなたに届いただろうか?』
この自信に満ちたあとがきを読んで以来、
その小説が自分にとって面白いか、
あるいは退屈なものかは、あとがきを読めば分かるような気がした。
1980年10月。
本屋の店頭で手にした上下巻はそれぞれ880円だった。
当時はまだ学生で仕送りを頼りに生活していた。
ポケットに残っていた金は3,000円も無かったが迷わずに買って、
それこそ「渋滞の高速道路を、フルスロットルのオートバイで駆け抜ける」ように私は読んだ。
夜を徹して。
その後の約10日間、
食卓がどれほどみすぼらしかったかまでは思い出したくない。