憧 憬 の 轍
2019年10月6日 季節に追われて
残暑、台風、大雨、強風。気象に関するニュースを観る限り、夏はまだ終わっていないような感がある。
しかし秋は着実に山を下る準備をしていた。
北八甲田の毛無岱(標高1,000~1,200m)の紅葉が見頃を迎えている。
もうすぐ秋は彩を伴って駆け足で山を下る。
まるで山全体が燃えているような景色を今年も観る事が出来るのは嬉しいが、同時にそれは秋よりも早足に追いかけてくる冬を予感する事でもある。
『樵の巨匠』はTLR200の登録を済ませ地味に試走を繰り返している。
今週初めに取得したナンバープレートがやけに誇らしげだ。
今のところエンジンの調子に問題は無いが、数年ぶりに動かしたエンジンだけに不安がない訳ではない。
初雪の頃にエンジンをフレームから降ろして内部の総点検と外装の「お色直し」を予定している。ただ今は残り少ないバイクの季節を無駄にしたくない。
“まぁ、とりあえず走れればいいか・・・”でいいならこれで再生作業は終了だが、これで終わるはずがない。
錆だらけのスポークや塗装の剥げまくったエンジンや即席の短すぎるシフトレバーなど、やらなければならない事はまだまだ残っている。
そんな事も冬の楽しみに、再び走り出したこのバイクの「魂入れ」を次の週末に予定した。
一段落したTLR200とは裏腹に再び始まってしまった初期型XL125は、海外で見つけた部品の到着を待ちながら今回の故障の原因究明と対策にこの週末を費やした。
もしもオイルポンプや供給経路に問題があったとするなら是が非でも解消しなければ今後も同じ故障に見舞われる事になる。
クランクケースのサイドカバーを外し、ストレーナー、オイルポンプの順に解体しながら状態を確認した。
手配した部品は既に海外から発送済だ。
初雪の前にもう一度このエンジンを始動させてやる!!!
この初期型XL125のエンジンを降ろして分解するのは2回目?、3回目?。
まぁ、そんなことは何回目でもかまわない。
兎にも角にも40年以上も前に作られたこのバイクを自分の目の黒いうちは走らせていたいだけだ。
後継モデルのXL125sは点火方式がCDIに変わり、発電方式もアウターローターに変更されるなどして初期型の弱点を見事に補っている。
さすが世界のHONDAと言うべきだろう。
しかし初期型に拘りをもつ「馬と鹿」たちはこの脆弱な機械に特別な想いを寄せるのだから手に負えない。
そこで初期型と後継型とを細部まで比べてみる事にした。
今回のトラブルに当たって、まず考えたのはオイルポンプの容量が後継型では変更されているのではないかと言う事だったが、並べてみるとカバーの形状が僅かに違うだけだった。
ジャンク状態とは言え後継型のエンジンが使うアテも無くあるのだからこれを捨てるのはあまりにもったいない。
初期型のフレームに載せられるのであれば使わない手は無いと考えるのは当然の事だ。
シリンダーヘッドカバーでエンジンを吊り下げている初期型に対し、後継型はシリンダーヘッドにエンジンハガーが付いている。
XL系はシリンダーヘッド周辺に振動が集中すると言う弱点を否めない。
この吊り下げ部分を無視してもクランクケースの前後をそれぞれ2本ずつのボルトでエンジンはフレームに固定されている。
固定する部分を比較してみると後継型のクランクケースを少々加工すれば搭載できることも分かった。
この後期型エンジンも再生して使えるようにしておけば役立つことは間違いない。
そんなことを考えながらのコーヒーブレイク。
静かなエンジン音と共に現れたのは『樵の巨匠』。
今日も散歩がてらの試運転だ。
大容量のコンデンサーでバッテリーレス化したが、レギュレーターは6v用のままなのが原因なのか、ヘッドライトとテールランプ以外の電球が片っ端から切れる!
12v用の電球に替えて何とかしのいでいるらしいが、この後ヘッドライトも切れたらしい。
チェーンテンショナーのプレートや補強したサイドスタンドなどもきれいに塗装されてほぼ完成と言いたいところだが、古いバイクの再生は実際、ここから始まると言っても過言ではない。
天気がいいと言っても午後3時を回るとTシャツ1枚では涼しい、と言うより肌寒い。
10月だもんなぁ・・・。