陽気に急かされて

 


憧 憬 の 轍




2018415日 陽気に急かされて



 北国に暮らす者にとって春は何よりも待ち遠しい季節だ。


「暖かい」と言うだけで感謝したくなる。


「暖かい」春はやがては忌まわしい梅雨を挟んで「暑い」夏を迎える。


そして「涼しい」秋が来るまでの短い時間が


北国に暮らす者の季節感を支配しているのかもしれない。


「寒い」冬が梅雨よりもさらに忌まわしい事は言うまでもない。




 
75 CB400Fourの整備は部品がまだ届いていないので何もすることがない、

はずだったが昨日の夕方、手配した部品は全て届いた。

夜は特に用事もないし・・・、

ビールとツマミを用意して昨夜は久々の夜間作業だった。

エギゾーストパイプとシリンダーヘッドの間に入るガスケットも、


予備として用意したヘッドガスケットも海外サプライヤーの製品だ。


純正部品よりも製品精度が低い事は承知の上で入手したのは


価格だけでなく、今後は純正部品を手に入れることが難しくなるため


社外品で対応しなければならなくなると思ったからだった。


マニアックな“正統派”には否定されそうだが


バイクは走ってこそ価値のある機械だと思っている。

 

 
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用ガスケット 純正品(左)と社外品(右)      


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海外サプライヤー製ヘッドガスケット
 

シリンダーヘッドはボルトを締め直したので、


オイルの滲み具合を見てからガスケットを交換するか否かを判断するつもりだ。


中古部品から入手したマフラーフランジもサンドブラストの上、


耐熱塗料で処理し組み込み完了。


試走したいのは山々だがあいにく外は雨が降っている。
 


CB400Fourの作業がひと通り終わったので、


前回の記事で少しだけ触れたT氏のTL125の話。


タンクのカラーリングからTL125 BIALSTL125)だと思っていた車両の事だ。


TL125 BIALS1973年から1979年までホンダが製造販売した


国産初のトライアルモデルだった。


空冷4ストロークSOHC、初期型は122cc、後期型は124cc


エンジンの基本設計はCBSLと共通で点火方式はポイント点火だった。


T氏が手に入れたのはCDI点火、すなわちTL125 Ihtovo(JD03)だ。 


TL125 BIALSの生産終了から2年後の1981年、


TL125 Ihtovoは競技熱の高まりを受けて再生産されたモデルだ。


本来探していたのはIhtovoだったのでT氏にとってはうれしい誤算だった事になる。

 

 
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JD03 CDIのカバー                       

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XL125のポイントカバー おそらくBAIALSは同型

 
外見的にはタンクのカラーリング以外は酷似しているが


点火方式もサスペンションも別物で、


クランクケースは強化されたXL125sのものが使われているなど、


意外と共通部品は少ない。


初期型のBAIALSはスイングアームに貯めたオイルをチェーンに


供給する機構が付いていたがIhtovoには付いていない。


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スイングアーム リアサスは倒立                


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セミエアのフロントサスペンション
 
都合のいい解釈かもしれないが


1973年に前期型が発売されたBAIALSXL125を、


1981年発売のIhtovoXL125sをベースにしているようだ。


初期型XL125をレストアした際にスペア、


あるいは部品取りとしてもらい受けたXL125sのエンジンは結局、


ほとんど役に立たず、今も作業場の片隅に転がっている。


近々に処分しなければならないと思っていたが、


意外なところで役に立ちそうな予感。


処分しなくて良かったのかもしれない。
 
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XL125sのエンジン                         

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CDIJD03と同型
 
 
T氏はJD03の外見も完全なIhtovoにするためにタンクを用意してしまった。


左側が少し凹んでいる。


かすれているがシルバーとブルーの塗り分けも簡単に判断できる。


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再び始まる“錆取大作戦”                    


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ここの修復が問題
 
 
エンジンの調子は悪くないが


サスペンションなどの可動部分のメンテナンスには時間がかかりそうだ。


T氏の静かな情熱に  、アタマの中の桜はすでに満開だ。