憧 憬 の 轍
2020年6月16日 数奇な運命
梅雨入りしたとは言え肌寒い日が続く訳でもなく、
雨が降り続いている訳でもない。
今年も空梅雨かと思いたくなるがまだまだ分からない。
昨年は梅雨時期に好天が続き、初秋を迎えた頃に雨が続いた事を思い出す。
相変わらずローカルなニュースになっている。
何らかの理由で飼い主を失い迷っていた犬が、
その後町にもたらした経済効果の大きさを今さらながらに思い知らされる。
日本で最も有名な犬がハチ公なら二番は間違いなく『わさお』だろう。
今夜も楽しい(?)夜間作業。
キャブレターとタンクのガソリンコックを、
それこそ穴があくほど見ている。
初めて解体したキャブレターは強制開閉式の2ストローク用だった・・・、
なんて40年も前の事を思い出していた。
なんとなく構造がわかって取り付けたホースに息を吹き込んでみたり、
あるいは吸ってみたり。
やっている事はあの頃とほとんど同じだ。
ただ暖かい季節なので何をするにもやり易い。
初めての時は真冬の札幌だった。
今回はキャブレターもコックもダイヤフラムが関係するいわゆる「負圧式」。
エンジンが吸い込む空気に応じてダイヤフラムが反応する。
短時間でタンク内のガソリンがキャブレターに落ちてしまう事が今回のトラブルの原因だ。
タンクとキャブレターを繋いでいるのは本来ガソリンを供給しているホースと、
キャブレターの吸い込による負圧をコックに伝えるホースだけだ。
仮にコックのダイヤフラムに穴があいたり破れたりしない限り負圧を伝えるホースにガソリンが流れる事は無いが、
ここから流れ込んだとすれば致命的なトラブルにつながる。
本来ガソリンを供給する経路はキャブレターに内蔵されたフロートバルブが流入量を調整するが、
細かな異物を噛んだりするとガソリンが止まらなくなってしまう。
コックのダイヤフラムもキャブレターのフロートバルブもそれぞれを単体でテストする限り正常に働いている。
それこそ穴があくほどキャブレターを見ていて気が付いたのはフロートチャンバーに繋がる2本のパイプだ。
ここから空気を吹き込めばフロートチャンバー内の空気圧を高め、
メイン/スロージェットに繋がるエアジェットからガソリンが噴き出すが、
エアクリーナーの脇に添えたパイプは常に大気開放されている。
ここから空気が送り込まれる事は考えられない。
自分なりに様々考えた結果、
『編集長』の許可が必要だが極めて実験的な事をしてみようと考えている。
ガソリンの供給を完全に遮断できるコックを追加したうえでキャブレターの負圧をコックに伝えるホースを接続しないままエンジンを始動する事だ。
出来る事ならそのまま走ってみたい。
このホースを接続しない限りトラブルの原因はフロートバルブしか考えられなくなる。
そこでエアクリーナーをボックスごと一時的に外し、
エアクリーナーとキャブレターを繋いでいるインシュレーターをエアファンネルのように使えばフロートバルブが原因のオーバーフローはすぐに確認できる。
一般的な直落式のタンクコックと同じ使い方をする訳だが、
オーバーフローを防ぐためにキャブレターのフロートバルブだけを頼る事になる。
ただフロートバルブが完璧にガソリンを止められるバルブだとは思っていない。
メインジェットとニードルの隙間やベンチュリ部分に繋がるスロージェット、
内圧が大気開放されているフロートチャンバーの構造などを考えれば、
ガソリンが自然に気化した分だけフロートバルブはキャブレターにガソリンを供給し続ける。
キャブレターの負圧をコックに伝えるホースを透明なものに替えて走ってみる事も考えたが、
コックのダイヤフラムが突然に漏れ出したりしたら即座にガソリンの流れを止める事は出来ない。
ダイヤフラムにはスポイトで走行時同様に負圧をかけたまましばらく様子を見る事にした。
話は前後するが先週末、
ガソリンの残量計から出て来た錆は少なくなかった。
箱体の合わせ目から粉状の錆が出て来たので開けてみた。
外見はきれいだがこのタンクは長い間、
水が溜まった状態で放置されていた物だったかもしれない。
古いバイクに手を付ける度に、
新車として納車されてから何人のオーナーの手に渡り、
それぞれどんな乗り方をされてきたのだろうかと思う。
そんな事を考えているうちに今夜も日付が変わってしまった。