月の満ち欠けのように

憧 憬 の 轍

 

2023101日 月の満ち欠けのように

 

9月29日の中秋の名月は正真正銘の満月だった。

次に十五夜と満月が重なるのは7年後で、今年最後のスーパームーンと聞けば月を愛でる趣味など無くても夜空を見上げてみようと思ってしまう。

雲ひとつない夜空に月は眩しいまでに美しく輝いていた。 

記録的な低温、寒波が連日の話題だった昨冬から一転して記録的な猛暑だった夏が終わろうとしている。

 

 

 

10月最初の週末は忙しい週末だった。

それと言うのも次の週末に予定している恒例の1泊ツーリングに向けてバイクの整備だけでなく様々な準備をしなければならない。

このタイミングで少々大きな問題を抱えているのは『若葉マークのS🔰』のSUZUKI GSF250 Bandit(GJ74A)だ。

先週末のお散歩ツーリングの際にアイドリングが不安定になり、さらにはバッテリーまでアガってしまったとか。

このままの状態で1泊ツーリングに行くのは考えものだ。

考えられる原因は幾つか思い当たるが作業を始める前に解体作業中のKAWASAKI KSRⅡのエンジンを片付けなければならない。

クランクケースを割り、ミッションやクランクシャフトを抜き出してみると、左右に4㎜程の振れがあったコンロッドのビッグエンドのベアリングは7年前のトラブルと同様の状態だった。

 

 

クランクケースを割って


                     

 

 

ビッグエンドのベアリングはローラーが欠損している



 

 

7年前に修理した際に、コンロッドまで交換するかを悩んだ記憶がある。

純正部品は入手困難ではなかったはずだがベアリングだけで大丈夫だろうと考えていた。

ビッグエンドが同様の状態だと言う事はやはりコンロッドも交換するべきだったと言う事だろう。

 

 

ベアリングが破損していない状態


               

 

 

7年前の「戒めの部品」 ベアリングが木端微塵



 

 

時間があればミッションのギヤやベアリングの状態を確認したうえで部位ごとに袋に入れて保管するところだが、今日はそんな時間が無い。

急いで済ませなければならない訳でも無いのでGSF250のために作業場を空けた。

 

ほぼ予定通りの時間に『若葉マークのS🔰』はSUZUKI GSF250 Bandit(GJ74A)でやって来た。

取りあえず自走して来られたと言え、先週末の状態は聞いている。

まずはタンクやエアクリーナーボックスを外し、キャブレターから。

同時にチョークも気にかかる。

キャブレターを外し、フロートチャンバーを開けた瞬間、目に入ったのはフロートチャンバーの底に沈殿していた粉状の細かな錆だった。

タンクコックに付いているストレーナーはこの種の錆を止めることが出来ない。

フュエルホースにフィルターを追加する事にした。

『若葉マークのS🔰』のアニキ分の『スポカブ・ブラザース(弟)』が使うフィルターを探して八戸まで出かけている間に、キャブレターは全バラ、完全清掃開始。

 

 

不調の原因の多くはこのキャブレターだ 


          

 

細かな錆の粉が沈殿していた



 

 

 細かな錆の粉は4基のキャブレターすべてに溜まっている。

さらにフロートバルブに付いているストレーナーにも。

排気量250ccで45馬力を絞り出すこのキャブレターは作りが少々独特だ。

メンテナンスを怠ればすぐに不調をきたす。

そんな玄人志向のキャブレターを良好な状態で保つのは、『若葉マークのS🔰』にはまだ少々荷が重いかも知れない。

 

 

4基すべてに入り込んでいた粉状の錆


            

 

フロートバルブのストレーナーにも



 

 

アイドリングが僅かに安定しない原因までは分からなかったが、エンジンの始動性や吹け上りに問題はない。

次の週末に予定している1泊ツーリングの後は実質的にオフシーズンとなり、来春に向けてまた悩ましい日々が始まる。

このGSF250 Bandit(GJ74A)もジェネレーターやブレーキレバーをはじめ、今後の事を考えなければならない事が少なくない。

 

 

今回の1泊ツーリングで予定している走行距離は約500㎞。

何事もなく終わるとは思っていない。

後日、酒の肴になる程度の話であって欲しい。

後は好天を祈るばかりだ。