憧 憬 の 轍
2021年10月10日 不覚極まりない
ここ1週間のうちに震度4以上の地震が3回、
いずれも太平洋側でおきた。
日本で暮らしている以上地震とは縁が切れないのだろうが、
こうも頻繁に続くとやはり気にかかる。
津波や山崩れだけでなく老朽化したインフラの損傷も生活に大きく影響する事も忘れてはいけない。
既に朝夕はストーブが恋しくなるような日々。
「南」と言う方角に暖かさを連想してしまうのは北国で生まれ育ったからかもしれない。
目的地は約300㎞先だった。
高速道路ではないが自動車専用道路を約180㎞南下した時、
覚えた違和感は後輪が左右に振れているような、
あるいは滑っているようなものだった。
運よく一般道への連絡道が300mほど先だったので迷わず自動車専用道路を降りて後輪を確認しようとした。
そして大きなカーブを曲がりかけた時、
後輪の空気は一瞬にして抜け車体は横を向いてしまった。
転倒を免れたのは不幸中の幸いに他ならない。
そして潰れたタイヤを引きずるようにゆっくりと移動した。
ツーリングに出かける時は最低限度の工具と電球やヒューズ類、
ボルトやビスなども持って出かけるが、
今回はタイヤレバーやパンク修理の道具は持って来ていない。
空気の抜け方からパンク修理と言うよりチューブを交換しなければならない状態なのは明白だった。
見知らぬ街でこんなトラブルに対応してくれるバイク屋を探すなんて・・・、
天を仰ぐ、とは正にこの事だった。
仲間に電話をかけまくり、
次の週末までバイクを預かってくれる所を探そうと考えているとバイクを止めた国道の向かい側から一人の男性が声をかけてくれた。
実は彼もバイク乗りで近くに馴染みのバイク屋があると言う。
電話をかけてから10分もかからずに軽トラックで迎えに来てくれた。
若い店主も気さくに話してくれる。
どれもこれも偶然が重なった事だがこれを「幸運」と言わずして何と言えばいいのだろう。
もし後輪の違和感を軽視して走り続けていたら・・・
もし国道の向かい側にいた男性がバイクに興味が無かったり、
あるいはバイクが嫌いな人だったら・・・
もし携帯電話がつながらないような場所だったら・・・
もしも・・・、もしも・・・、もしも・・・
およそ1時間後、
再び走り出す事は出来たが目的地を変えて海を眺める事にした。
凪に揺れる牡蛎養殖用の筏を眺めながら、
見知らぬ人の好意や仲間たちの行動に感謝するしかなかった。
「ありがとう」なんて言葉ではなく、
もっと強く謝意を伝えたいが言葉が見当たらない。
閑話休題 Happy Halloween
毎日通る道端に気にかかる一軒の家があった。
大きなカボチャが並べられて今年もHalloweenが近いと思っていたが、
突然そこに黒装束の魔人が現れた。
人形だと気付くまで時間はかからなかったが、
風に揺れるその姿は一瞬、本物の人が立っているようにも見えた。
写真を撮らせてもらうために立ち寄ると彼女は魔女の制作に忙しそうだったが、
それでも気さくに、
そして明るく接してくれた。
「こんな時代だから、少しでも見る人に楽しんでもらえたら・・・」
言うまでも無く本来ChristmasもHalloweenも日本の文化ではない。
いつの間にかお祭り騒ぎの代名詞のようになってしまったが、
宗教的な意味を持つ行事だ。
大きなカボチャをくり抜いて蝋燭を灯したり、
玄関先に既製品の飾り付けをする光景をこれまで何度も観て来たが、
こんなディスプレイは見たことが無い。
「こんな時代だから、少しでも見る人に楽しんでもらえたら・・・」。
一番楽しんでいるのはそう言う彼女なのかも知れない。
今年のHalloweenに向けて半年がかりでカボチャを育てながら構想を膨らませて来たのだろうと思うと、
そんな人が近所に住んでいるだけで自分も楽しくなるような気がした。
On this year,I’ll not say “Trick or Treat”.So,I’m looking forward to next year. And I love her.