憧 憬 の 轍
2021年11月21日 二階から目薬
その影響で大量の軽石が沖縄に漂着したのは10月下旬の事だった。
青い海も白い砂浜も軽石に埋め尽くされコンクリートを流したようになってしまった。
これは自然災害であり、
誰にも責任を問えない事態だが、
海流と天候の関係で軽石が関東や東海地方にも流れ着く可能性が高いと専門家が予測した途端に国が動き出したような気がする。
沖縄だけでなく首都圏から遠く離れた地方(あるいは田舎)がどれだけ首都圏を支えているのか、
国会議員のバッジを付けた人たちには真剣に考えてもらいたい話だ。
浮かんでいる軽石だけでなく、
沈んでしまったものまで流れ去るのはいつの事だろう。
新しい作業場に持ち込むべきものはあらかた済ませた。
整理しながらの作業は思うように進んでいない。
入口のすぐそばに置いた「オモラシ君1号」ことKAWASAKI W1は移動する度にオモラシが激しくなっているのでオイルを抜くことにした。
このエンジンにはエンジンオイル、
クラッチオイル、
ミッションオイルと3つに分かれて入っている。
ガスケット類をすべて交換する予定だが、
マニュアル通りの量が入っていれば総量は約4ℓ。
ブチ撒けてしまったらオイルの海でのたうち回る事になりかねない。
まずは大本のオイルタンクから。
エンジンオイルの次はクラッチから。
ボルトが2本付いているがドレンボルトは下側。
上側にあるのはオイルチェックボルトだ。
クラッチからオイルを抜くためには車体を傾けなければならない。
さらに冷えたオイルは流動性が悪いので時間がかかる。
車両重量は約200㎏。
明日、いや明後日は筋肉痛になりそうだ。
そしてミッションオイルを抜く作業は車体の真下にあるドレンボルトを抜かなければならない。
寝板が無ければ床に横たわってボルトを抜かなければならない位置にドレンボルトはある。
オイルと言えば規定量の2倍以上のエンジンオイルを喰らわせたI氏の除雪機も手を付ける前にオイルを抜ききらなければならない。
ドレンボルトが車体の側面にありタイヤが邪魔だ。
面倒だが車体を傾けておくことにした。
やはり冷えたオイルは流動性が悪い。
「憧憬の轍」と言うタイトルで書いているが「轍」の字は「わだち」だけでなく「てつ」とも読む。
「轍を踏む」事の無いように気を付けているつもりだ。
「前車の覆るは後車の戒め」でなければならない。
そんな事を考えていると中原中也の「山羊の歌」にある「帰郷」の一節を思い出した。
「あゝ、おまへはなにをして来たのだと、吹き来る風が私に云ふ」
この11月が終わる前に終わらせたい事が山ほどあるが、
11月は既に10日も残っていない。
いつの間にか12月の事、
すなわち年末年始の事も考える季節だ。
初霜や初氷の便りも届いている。雪を見る日も近い。