夏は過ぎて

憧 憬 の 轍

 

20231015日 夏は過ぎて

 

日々の最低気温が10℃を割る事も珍しくなくなり、季節は一気に秋めいて来た。

狂ったように暑かった夏の面影は既に無いが、足早に過ぎる季節に気持ちが追い付かない。

天気予報の番組が今年の紅葉の見頃を伝えていた。

 

 

 

今年のバイクシーズンが完全に終わった訳ではないが、先週末の1泊ツーリングの後は実質的な冬支度に入る事になる。

朝夕の気温を考えれば晴れていても快適に走ることが出来る時間は短い。

電装系のトラブルのために100㎞程走ってリタイヤした『若葉マークのS🔰』のSUZUKI GSF250 Banditは単なる配線のショートだけで済んだようで、レギュレート・レクチファイは無傷だった。

替わって作業に入れたのは『サンちゃん』ことS氏のKAWASAKI ELIMINATOR250。

冷却水の交換とオイルが滲み始めたフロントフォークのオイルシール交換だ。

まずはウォーターポンプのドレンを開けて冷却水を抜く作業から。

タンクを外してしまった方がやり易いのだが、エンジンをかけないとウォーターポンプが回らないのでタンクは残した。

 

まずはラジエターのカバーを外して


             

給水口はタンクの下にある

 

今回のツーリングの先導役だった『編集長』のZEPHYRχのオドメーターは総走行距離が650㎞を越えていたらしい。

三陸道では平均的に80~90㎞/hで走っていた。

ELIMINATOR250のエンジンから出た古い冷却水は経路の錆などが一気に剥がれてくれたと思いたくなるような色だった。

ラジエターの洗浄剤を入れて排水に濁りが無くなるまで3回洗浄を繰り返した。

 

古い冷却水を排水する


                     

洗浄剤を入れて1回目

 

ラジエターにドレンコックが無いので排水のためにはホースを抜くかウォーターポンプのドレンボルトからしか抜くことが出来ない。

構造上、錆やゴミなどはウォーターポンプに集まるようなので効率は悪いが3回ともウォーターポンプから排水した。

洗浄剤は酸性なのでこれをきれいに洗い流す作業も同様にウォーターポンプから。

 

洗浄剤2回目


                          

洗浄剤3回目 かなりきれいになった

 

ラジエターの次はフロントフォーク。

センタースタンドが無いので車体ごとリフトで持ち上げてフロントフォークを外す。

こんな作業をする度に思うのはセンタースタンドがメンテナンススタンドとも言われる事だ。

さらにキャブレター車の場合は油面を一定に保つためにも、エンジンの暖気時はセンタースタンドを立てて行う事が望ましいと言う話も思い出す。

そうは言っても最初から無いものは仕方がない。

 

センタースタンドがあればなぁ・・・


               

オイルシールはほぼ予想通り

 

水も混じってフォークオイルはドロドロの状態 


       

抜き出したオイルシールとダストシール

 

当然のことながら外したフロントフォークは解体する。

古いオイルやヘドロ状に堆積物も洗い流して組み直す訳だが、トップボルトはねじ込み式ではなく独特な造りだ。

Oリングを併用した一種のプラグを細い鋼材のクリップで押さえている。

スプリングは決して柔らかくないので心配になりそうなクリップだ。

まぁ、これも「さすがKAWASAKI」と言うべきか・・・。

 

ねじ込み式ではない 


                      

 

軽く押し下げてクリップを外す



古いオイルはもとの色さえ分からない


             

シール類がこんなになるのも分かる

 

 

今回のツーリングの際に‘75 CB400Four も途中から変速機能に軽いトラブルを抱えていた。

いわゆるギヤ抜け、1速だけが入り難い。

シフトレバーを踏み込んでも気持ちよく1速に入っている時とそうでない時があった。

それでも2速から6速までは何の問題もない。

ミッション事態に問題があるような感触ではなかったので、シフトドラムの辺りだろうと思いながら、時には2速で発進していた。

シフトドラムやフォークはクラッチハウジングの奥にある。

シフトドラム自体に問題があるとすれば再びエンジンを降ろしてクランクケースを割らなければならないが、疑わしいのはシフトドラムセンターの摩耗だ。

純正部品は絶望的な状態だが、知る人ぞ知る大阪のカスタムパラノイア製の新品部品が見つかった。

純正部品よりも少し硬い素材で作られているらしい。

一般的にマニュアルシフトである以上、走り出す時には必ず1速に入れる。

そのため摩耗が激しい部分だとしても、改めてデリケートな部分だと認識しなければならない。

 

きれいな部品だ・・・ 

 

純正部品より精度が高いかも



 

 

抜き出した部品を見て、そして新しい部品と見比べると摩耗している部分がはっきりと分かる。

車種や走行距離や走り方にもよるのだろうが荒々しいい変速操作は避けなければならないと思った。

 

クラッチハウジングを外して


                   

 

この程度の摩耗でギヤ抜けが起こる



 

考えようによってはシフトドラムセンターだけでなくピンなども新品に交換すべきかもしれない。

ただそうなればシフトフォークも気にかかるところ、今回はこれで様子を見る事にした。

 

摩耗部分がはっきり分かる 


                  

 

シフトドラムセンター以外は既存部品を再利用



 

今回の作業は14日(土曜日)の午後からELIMINATOR250に手を付けて今朝も7時過ぎから。

時間的には比較的に余裕を持っていたが、やはり忙しかった。

しかしこの忙しさが楽しいなんて、興味の無い人には理解出来ない事だろう。

冬場の完全に乗れない季節には夜明け前から作業を始めていた頃もあった。

作業を楽しんだ分、日曜の夜は翌日からの事を考えて憂鬱になる。

その結果、酒量が増える傾向にあるのだが・・・。

 

 

八甲田山毛無岱周辺の紅葉が見頃を迎えているらしい。

今年の夏が暑かっただけに急激に下がった気温が一気に山の色を変えてしまったのだろう。

10月も半ばを過ぎてそろそろ大岳も岩木山も山頂付近が白く見える日が近い。

里に下りた紅葉はすぐに雪を連れて来る。

明日からはしばらくの間、小春日和を期待しながら過ごす事になる。