憧 憬 の 轍
2023年6月25日 梅雨空の向こうに
すでに梅雨入りしているとは言え、まとまった量の雨が降る訳でもなく曇天が続いている。
奄美・沖縄地方の梅雨明けが発表された。
個人的な感覚だがそれは本格的な梅雨が始まった事を意味している。
週末に梅雨の晴れ間が訪れる事を願って週間予報から目が離せない。
先週末、試運転がてらの「昼メシツーリング」の途中、オーバートルクで締め直してシリンダーヘッドカバーのボルトからのオイル漏れはとりあえず止まった。
しかし修理としてはやり直しだ。
問題のボルトはM6の80㎜。
シリンダーヘッドカバーの厚みが46㎜なので無駄に長いとも言える。
これまでに何度も修理した過程でネジ穴はヘリサート加工してあったが、80㎜のボルトに合わせた位置にコイルを入れてあった。
今回は実験的な修理だ。
まずは深い位置に入れたコイルを抜く。
さらにボルトは62㎜に切り詰め合わせ面の直下でボルトを受けるようにコイルを入れ直した。
整備マニュアルによれば締め付けトルクは1.0~1.4㎏/㎝。これを1.2㎏/㎝±0.2㎏/㎝と捉え、ヘッドカバーのボルトはすべて1.2㎏/㎝で締めた。
問題の純正のシーリングワッシャーはいつの間にかトンデモネェ値段になっていた。
某工具専門店で売っているワッシャーが20枚以上も買える計算になるがサイズも厚みも違う。
これでまた試運転が必要になった。’75 CB400Fourのオイル滲みの件も再検証が必要だし、とにかく晴れた週末を待つしかない。
梅雨が明けたら気ままなツーリングに出かけたい。
そう思って改めて工具や装備を点検していた。
チューブタイヤを使っている以上、タイヤレバーやパッチやエアポンプも携行しなければならない。
チューブレスであればシール材を詰めるための工具と接着剤があればタイヤを外す必要はない。
ただ環境問題が取りざたされるようになって接着剤に使われる溶剤も変わった。
それはわかりやすく言えば「最近のゴム糊はくっつかねぇ~」。
ノントルエンタイプとかエコセメントとか書いている接着剤が出回っているが、ひと昔のゴム糊に比べたら接着力は落ちていると思う。
それでも準備はしなければならない。
まして車中泊用の装備も整えなければならないのだから。
クルマはチューブレスタイヤなのでシール材と挿入工具、そして問題の接着剤を…。
新車当時から荷室の片隅でビニール袋を被ったままの「補修剤」は既に使用期限を過ぎているが、それでも12v電源のエアコンプレッサーがある。
常に時代は変わり技術は進歩している事を忘れていないつもりだったが…、知らなかった。
今やパンク修理用のシール材はスルメのようなゴムではなく、ゴム質の材料で作られたネジだった。
硬いゴムのスルメをタイヤにねじ込むためには専用のリーマーなどの工具が必要だったが、このネジに必要なのはドライバー(+)だけだ。1個ずつカプセルに入れられているのはネジの表面に塗られた透明な物質が接着剤になるからかもしれない。まだ1度も使っていないので何とも言えないが、期待感は大きい。
気ままなツーリングも車中泊にしても、何時になれば出かけることが出来るのか皆目見当がつかない。
それでもこんな事をしている時間が楽しいから不思議だ。
糸満市摩文仁の「平和の礎(いしじ)」に刻まれた24万人余りの名前をすべて読み上げる取り組みは昨年から行われ、今年も1日から続けられていた。
慰霊の日の23日、新たに刻銘された365人の名前が読み上げられた。
平和の礎は「沖縄戦でのすべての戦没者の氏名を刻んでいる」と紹介される事もあるが、実際は一定の基準に基づいて刻銘されている。
すなわち刻銘数と戦没者数は一致しない。
戦没者を弔う慰霊碑は世界中に数多くあるが、国籍・軍人・民間人を問わずに戦没者を弔うための慰霊碑は数少ない。
そして刻銘の追加を続けている例はさらに少ない。
西の彼方で続いている戦争だけでなく、アジアでも時に一触即発と言える自体が国境周辺で続いている。
「平和」とは単に争いがない事だけなのだろうか。
真に平和を願い、そして死者を弔う気持ちには敵も味方もない。