立冬の微熱

憧 憬 の 轍

 

20231112日 立冬の微熱

 

急激に気温が下がり、山間部や標高の高い地域では雪の予報も出された。

前日よりもいきなり10℃も下がるのだから身体も気持ちもついて行かない。

冬型の気圧配置がしばらくは続くとなれば本格的に冬の準備が必要だ。

この寒気は一時的なもので数日後に緩むらしい。

まずはクルマのタイヤ交換からか。

 

 

 

先週末、仲間の手助けもあって無事に完了した「V-Maxサルベージ大作戦」。

「こんなでけぇバイクに・・・」などと思っていたが年寄り共の、ではなく、失礼ながら自分よりもお年を召された方々がHarley-DavidsonやHONDAのGold Wingに乗っている事を考えれば、「何とかなるべぇ」と思ってしまうから始末に負えない。

アドレナリン出まくり、それこそアタマはV-Boostが効いている。

 

本格的に手を付ける前にパーツリストやマニュアルを用意するのは、これまでに幾度となく繰り返して来た失敗から得た教訓のひとつでもある。

インターネットを駆使して1996年型の日本仕様(3UF4)のパーツリストと1988年型のアメリカ仕様(2WE)のパーツリストを探し当てた。

それらをひたすらプリントアウトしているが、それぞれがA4で約130枚ずつ、安物のプリンターは悲鳴にも似た音を立てている。

 

安物のプリンターがブッ壊れそうだった


            

CLYMERのマニュアル また英語の勉強だ

 

さらに見つかった整備マニュアルはPDFで405ページ。

プリンターも心配だがインクや紙の事まで考えると結構な金額になりそうなので、CLYMERのマニュアルを買った。

自前のプリンターを酷使し、スペアのインクを買い、さらに時間をかける事を考えれば安いものだろう。

CLYMERのマニュアルを買うのはこれが3冊目で、写真や図解を多用しているのでわかりやすい。

書類と共に預かったメインキーは2本とも純正品で、『YSP SAPPORO-NISHI』のキーホルダーが付いていた。

1988年に製造、輸出されて日本に戻って来た日は定かでないが、車検証上の初年度登録は平成9年。

マフラーは社外品に換装されている。

複数のオーナーを経た車両なのは間違いないが、YSPが関係していたとすれば整備性は悪くないのかも知れない。

 

エンジン再始動に向けて点検を続ける中で、1988年式のアメリカ輸出用車両と判断していたが、実は1998年型である可能性が大きい事が分かった。

それは外装がカーボン調塗装の「カーボンブラック」が1997年のカタログモデルに存在したことや、カートリッジ式のオイルエレメントは1995年の変更点である事などからだ。

おそらくこの車両は1995年から2002年に製造された、いわゆる5型に間違いない。

VINコードの10番目の「W」について1988年と記した記事と1998年と記した記事がある事から始まった誤解を解くために、改めてVINコードについて調べてみた。

ISO3833の記載によれば「W」は1998年を指す記号だった。

しかしそれでは初年度登録年月が平成9年7月と記載されている車検証の内容と矛盾する。

なぜなら平成9年は1997年だ。

型式の「2WE」が年式を問わずに単にアメリカ輸出用という意味だとしても辻褄が合わない。

近々に製造元のYAMAHAの製品サポートに問い合わせてみようと思ったが、国内モデル専用らしい。

もちろん陸運局にも問い合わせるつもりだが、一般的に日本では「初年度登録の年」を年式と言うのに対しアメリカでは「モデル年式」の事を表すと言う。

さらに輸入の経緯などにこの謎の答えが隠れていそうだ。

 

カートリッジ式のオイルエレメント


                             

カーボン調塗装の外装

 

その他にも外見的な特徴としてフロントフォークのインナーチューブ外径(1990年の変更 →φ43㎜)、フロントブレーキキャリパー(1993年の変更 →4ポッド)、ディスクローターの外径(1993年の変更 →φ298㎜)など1998年型と合致する点が多い。

 

Fフォークインナーチューブ外径 φ43㎜


         

Fブレーキキャリパー 4ポッド

 

ディスクローター外径 φ298㎜ 


               

前後のフェンダーもカーボン調

 

 

曲がったブレーキペダルによって割れたクラッチカバーはパーツリストで見る限りクランクケースの一部を構成する部分ではなく、ある意味で装飾的なカバーだけだが、本体にまでクラックが及んでいれば交換は必須だ。

 

ケース本体にまでクラックは及んでいなかった


       

カバーのクラックはとりあえず修正して使う

 

この車種に限らずYAMAHA車は燃料のラインにフィルターを設けている車種が多いような気がする。

見る限りではフィルターに錆などは見当たらないが、細かな粉状の錆はこんなフィルターなど簡単に通りぬけてしまう。

その結果キャブレターのフロートチャンバーに沈殿したり、最悪の場合はジェット類が詰まる。

やはり気にかかるのはタンクの内部だ。

給油口からタンクの底は見ることが出来るがスコープを入れてみた。

 

スコープを入れて隅々まで



                 

タンク内に錆は無かった

 

 

前輪ブレーキのマスターシリンダーの蓋はビスが錆びていたが開けることが出来た。

フルードは比較的に綺麗だったが交換する事にした。

問題はクラッチの方。

錆びて固着したビスはショックドライバーを使っても回らないので皿部分をドリルで飛ばして細いエキストラクターを掛けた。

結果、指先でも回せるくらい簡単に抜けた。

クラッチのフルードは末期的な色で、部分的に固形化しかけていた。

 

クラッチのフルードは末期症状


                

ブレーキフルードは比較的きれいでも交換

 

エンジンの再始動には成功したが、走る事を考えればフロントフォークの事もドライブシャフトやデフの事も気になる。

用意したエンジンオイルはフラッシングオイル代わりの安物だし、次回のオイル交換時にはフィルターも用意しなければならない。

さらにラジエターも状態によっては洗浄が必要だ。

 

 

ところで暫らくご無沙汰だった『樵の巨匠』はすっかり水平対向エンジンにハマってしまったようで、いつの間にかガレージにはBMWR100の部品が散らばっている。

6月にオークションで手に入れた書類付のフレームに次々と買い漁った部品を組み続けていたのだった。

 

いつの間にか・・・


                         

タイヤは使いモノにならないけど

 

エンジンまであるじゃねぇーか!


                

部品がまだ少々足りないらしい

 

V-Maxも『樵の巨匠』のR100も来年の春から夏頃には公道デビューする予定だ。

KSR-Ⅱの事もあるのでなかなか忙しい冬になりそうだ。

 

 

以前は「立冬」と聞いても冬はまだ先の事だと感じていた。

ところが今年は立冬と聞いた途端に寒い。

夏もそうだったが突然に季節が変わったような気がする。

全国的にはまだ紅葉の季節かも知れないが、北日本は冬が早い。