憧 憬 の 轍

憧 憬 の 轍
 
 
2015923日 もの想う秋、それぞれの秋
 
 
 
 
連休最終日。見事なまでの秋晴れの空、そして真夏を思い出させるような気温。
 
バイクのためにあるような一日ながら、「どこかへ行こう」と言う気にならない。
 
 
 
編集長の友人から預かったTW200。バカでかいエアクリーナーや
 
ブッ太いマフラーに交換されている事から
 
キャブレターのセッティングが悪ければ
 
アフターファイアが出る事は簡単に予想が付く。
 
燃調の濃い薄いだけでなく二次エアーや吸排気系の詰まりや
 
バルブタイミングなど考えられる原因は数知れない。
 
 
各部の錆具合などから長い間雨ざらしにされていたようだ。
 
鍍金仕上げのタンクは見る影もないほど錆びているものの
 
内部は底に少々の錆が見られる程度。
 
アクセルが戻らないのはワイヤーやホルダーにも原因があるが
 
キャブレターが固着しかけている事が主な原因のようだ。
 
 
このキャブレターはTK、テイケイ気化器製のY24P-5A。
 
外側は後回しにしてベンチュリ部だけでもきれいにしないことに
 
はバラす意味がない。
 

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まずはキャブレター解体                        外廻りは後回し

 
最初にこのキャブレターを見たときから気になっていたのは、
 
チョークレバーの他に似たような赤いツマミがあることと
 
ダイヤフラムが付いていることだった。
 
赤いツマミは「高所走行時」の空燃比調整用のものだと分かったので、
 
動作の確認とエアジェットやバイパスの詰まりを掃除。

 
加速ポンプかと思ったダイヤフラムは正式には
 
「コースティングエンリッチャー」という機構。
 
スロットルを急激に閉じた時に混合気が薄くなり過ぎるのを
 
ある程度補正する働きをする。
 
混合気の濃度が急激に変わるとアフターファイアを起こす事がよくあるので
 
今回のトラブルの原因につながる部分だ。

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このデベソが固着して動かなかった                  固着解消!

  

 

コースティングエンリッチャーを開けてみると

 
ダイヤフラム自体にキズや破れは無く一安心。
 
しかしその奥の作動部分が開いた状態で固着しかけている。
 
ベンチュリ部にあるエアジェットから
 
クリーナーを吹き付けて動くようにはしたが、
 
他の部分のOリングやガスケット類と共に交換した方がいいようだ。

 
コースティングエンリッチャーにつながる
 
バイパスやパイプを追いかけてみると、
 
2本設けられているパイロットジェットへのパイパスのうち、
 
1本がコースティングエンリッチャーを経由している。
 
通常2本分の空気が供給されているが、
 
急激にスロットルを閉じた時に発生する圧力によって
 
コースティングエンリッチャーが働き空気量を減らし
 
混合気を一時的に濃くするようだ。(極めて個人的な見解)

 
 
フュエルホースやコースティングエンリッチャーの
 
エアホースも耐ガソリンの新品に替えたが、
 
エアベントホースまでは手持ちのモノでは間に合わなかった。
 
安物のビニルチューブでカンベンしてもらう事にしよう。

 
 
キャブレターの次はカムチェーンとタペットのクリアランス。
 
オーバーホールを終えたキャブレターを取り付けて
 
すぐにでもエンジンを始動してみたいところだが、
 
気になるところは先に確認しておきたい。

 
 
まずはクランクケースカバーのふたつの「覗き窓」を開けて
 
圧縮上死点を出して・・・。(“情死点”などとくだらねぇ冗談を言うのは誰だ?)

 
 
タペットクリアランスの規定値はIN 0.05㎜~0.09㎜、
 
EX0.11㎜~0.15㎜。IN側はほぼ規定値内だったが
 
EX側は約0.3㎜に狂っていたので、これも修正して今日の作業終了。

 

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チェーンテンショナー、初期型のみ手動                       カバーを外した状態

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エアベント以外は耐ガソリンのホース                     圧縮上死点はこのTマーク

 

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カムスプロケットにも上死点のマーク                   タペットクリアランスを規定値に修正