憧 憬 の 轍
2016年1月17日 やっと暖機運転が終わりました
阪神淡路大震災から早いもので21年。
壊滅状態の神戸の街の映像や時間を追って
増え続ける犠牲者の数に言葉を失った事も忘れられない。
早朝のラジオのニュースで神戸はもとより
東日本大震災の被災地でも追悼式が催されることを知った。
災害から得た幾つもの教訓を伝え続けるためにも
語り継ぐ事は大切な事だと思った。
エンジンはかかっていても今ひとつ回転数が上がらなかった
初期型XL125、なんとなく今朝は暖機運転終了! って感じかな?
ハーネスを仮付けしてみる。
「樵の巨匠」は古いテープを剥いで螺旋状の
コードクランプで纏めていたので作業は楽だ。
ボディアースの位置やコイルの位置を確認しながらテープを巻き直す。
ハーネスは言わば大動脈。
緑青だらけのギボシは銅線にも錆が及んで黒く変色しているので、
躊躇無く切り捨てて新しいギボシに替える。
ギボシにはハンダを施し通電性と強度を確保。
たった1本の配線が導通不良のために
長い時間を修理に費やした事がこれまでに何度かある。
電気は見えないだけに厄介だ。
はやくスタンドを治さないと・・・ ライトケースとブラケットがぶつかる
メインハーネスとハンドルのスイッチ類の接続部分は
ヘッドライトのケースに収まる。
預かった部品の中にあったケースは
底部にふくらみがあって配線類を収納しやすそうな形状。
しかしそれ以前に問題なのは
ライトケースやメーター類を取り付けるブラケットが変形している事だ。
フロントフォークのインナーチューブに
ピタリと当たるはずのクッションが浮いた状態だ。
このクッション材は注文した時点で
既にメーカー在庫18個と欠品寸前のものを手に入れただけに、
きっちりと付くべきところに付いていてもらわなければならない。
現物合わせと修正を繰り返して使える状態になったが
今度はライトケースが問題。
どうやらこの車種のものではないようだ。
配線を収納しやすそうに思えたケース底部のふくらみが
ブラケットの一部に干渉してしまう。
発売当時の写真などから察するに
このライトケースは後継モデルのXL125Sのもので、
初期型は底部にふくらみの無いシンプルな
砲弾型のケースが使われていたようだ。
ブラケット修正前 修正後
ライトケース廻りの作業は一時中断。
配線の位置を確認する目的でハンドルも仮付けしたので
スイッチ類も点検する。
予想通り古いグリスに付着した埃が
固化し配線を留めているプレートも錆だらけ。
虫の繭のようなものまで出て来て
小さな部品ながらやりがいのある(?)作業。
予想通りとは言え・・・ プレートは錆を落として塗装
車体と一緒に「樵の巨匠」から預かった部品には
後継モデルのXL125Sのエンジンまであるばかりか
車種不明の部品も多く含まれている。
共通する部品や流用できる物も少なくないはずだ、
と考えて部品をストックするのは自分も同じだ。
彼がスクラップの山の中からこのバイクを発見する前に
ヘッドライトはケースごと破損し、
そのためブラケットも歪んでしまった、
と考えれば辻褄が合う。
タンクを再塗装する時に見た「溶接とパテ補修の嵐」も
このバイクがスクラップになる運命だった事を物語っている。
夜になってからヘッドライトの事を調べ直すと
手元にあるのはやはり後継モデルのXL125Sのもので
ブラケットの形状も変更されている事が分かった。
初期型XL125はどうやら
エルシノア125に使われているライトケースと同型のようだ。
エルシノア(MT125ELSINORE)は1973年から1975年にかけて
オフロード・モデルとして知られている。
初期型XL125は1975年。
同型のライトケースが使われていてもおかしくない。
さらにメーター類やブラケットの形も良く似ている。
余談だがホンダは車名にレースのタイトルを用いるのが得意だと思う。
事実ELSINOREもカリフォルニアで開催される
”ELSINOREGrand prix”から命名したものだし、
XL250R/125RPARIS-DAKARは言わずと知れた
”PARIS-DAKARRALLY”から、
ELSINOREもPARIS-DAKARもBAJAもレースのタイトルだ。
さらにイーハトーブと名付けられたトライアル・モデルは
バイク好きなら外国でも通じる単語になってしまったのも
すごい事だと思う。
さらに余談だが以前、
米軍人から「Ninjashoe」を買いたいと言う相談を受けた事がある。
よく聞くと地下足袋の事だったのだが、
さらなる余談として、
最高級モデルが「KUMICHO-組長」、
次いで「総本部長」、
「若頭」、「伯父貴」、「兄貴」、「博徒」と続き、
最も安価なモデルは「CHIMPIRA-チンピラ」。
価格にも上下関係が反映されていて
「組長」1台で「チンピラ」が3台買える。
チンピラのスペルはCHINPIRAではなくCHIMPIRA。
いずれにしてもフレームにデカデカとYAKUZA
と書かれた自転車に乗る度胸は無い。