憧 憬 の 轍


憧 憬 の 轍



2016926日 秋の夜長は静かに過ごしたい・・・



 秋の夜長は読書したり映画を見たり、あるいは撮りっ放しで


未整理の写真を整理したりして静かに過ごしたいのだが、

悲鳴を上げた2ストロークエンジンはそれを許してくれない。
 


 昨日、十和田湖方面からSOSを発信した▽YAMANAKAKSR80


外見からは何も分からないので早速の解体検査だ。


昨日までの状態はキックレバーこそ動くが全く圧縮が感じられず、


マフラーからもほとんど排気圧を感じない。



かすかな希望的観測を込めてまずはキャブレターと


リードバルブ周辺を外してみる。


ードバルブには傷ひとつなくキレイな状態。


リードバルブがキレイであればあるほど

次に目にするであろう惨状が予想される。

シリンダーヘッドを外しシリンダー内部を覗き込むと


やはりピストン上部は傷だらけ。


細かな金属の破片が確認できた。


この時点では当初予想したように


ピストンリングの破損が原因だと思っていた。




イメージ 1  イメージ 2
キレイな状態だったリードバルブ                 シリンダーヘッドとピストン
 

 シリンダーを抜きピストンも外して当初の予想が外れたことを知る。


ピストンリングは一部固着しているものの破損箇所が見当たらない。


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ピストンリンリングは破損していなかった           ピストン上部は全周が削れている
 

 外したピストンとシリンダーヘッドには良く見ると


細かな金属片が刺さっている。


真っ黒なカーボンにまみれているのでただの傷だと思っていた。


 ピストンリングが破損した訳でもないのに


これだけの傷を作った金属片は何か? 


細かく砕けた破片以外は燃焼室内には何も見当たらない。


クランクケースの底に留まっているのか、


あるいは細かく砕けて排気されてしまったか?


 ピストンに刺さって残っている破片を抜き出してみると


薄い金属片のようだがすぐに思い当たる部品がない。


一応エアフィルターも付いていた以上、


エンジン内部の破片である事は間違いない。


 

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シリンダーヘッドとピストン                  ピストンに刺さっていた金属片
 

 この金属片がキャブレター内部の部品だとしたなら


リードバルブが無傷で済むはずがない。


吸気ポートから燃焼室に紛れ込んだ事は確かだ。


YAMANAKAが聞いた「カラカラと言う音」


が聞こえたのは一瞬だったらしい。


 原因となった金属片の出所はクランクケース内部以外には考えられない。


腰上部分を解体しても原因を特定できないとなれば、


事態はさらに最悪な方向へ進んでいるようだ。


腰下部分を解体するためにはフレームから降ろす必要がある。


今夜は時間の都合もあるのでクランクケース本体には手を付けないが


コンロッドに触れてみるとぐらつきが大きい。


イメージ 7  イメージ 8

左右に2㎜のぐらつき                     上下にも1㎜程度ぐらついている

 

 コネクティングロッド(コンロッド)が


これほど不安定な状態だと言う事は、


金属片が破砕したコネクティングロッドベアリングだと考えれば辻褄が合う。


ロッドとクランク本体の間に入るスペーサーも怪しい。

全てはクランクケースの中だ。


クランクケースを割る準備をして今夜の「臨床検査」終了。

 

 それにしても整備性の悪いバイクだ。


さすがKAWASAKI、オトコ・カワサキである。


KAWASAKI2ストロークと言えば云わずと知れたMachⅢ。


私のかつての愛車もピストンリングが破損して


燃焼室内を暴れまくった事があった。


シリンダーヘッドとピストンに残った傷は


今回のKSR80の数倍激しいものだったが


ピストンとリング交換だけで復活した。


さすがオトコ・カワサキ! 満身創痍の“男KAWASAKI”だ。