憧 憬 の 轍
2016年10月30日 少し早め、春への期待
つい数日前まで紅葉真っ只中だった八甲田も稜線を白く彩っている。
晴れた日には空の青とのコントラストがきれいだ。
太古の昔から繰り返されてきた季節の輪廻。
今年もバイクの季節が終わる。
さらに近々にパパになるE氏のDTもエンジンが焼き付いたとかで、
2st軍団全滅のまま今季は終わりを迎えようとしている。
そんな中、サンちゃんことS氏の伝手によって
XLR250Rを譲ってもらえると言う話が舞い込んだ。
この話を聞いて目つきが変わったのは▽YAMANAKAだ。
XLR250Rと言えば過積載軍団3号車のヒロさんことT氏が、
XLR250R-BAJAと同型のバイクだ。
サンちゃんの話を聞く限りではMD20型を予想していたが、
ガレージから出てきたのはMD22型。
BAJAとの違いはヘッドライトまわりだけだ。
MD22だぜぇ~! いわゆる“ゴッツリ”。きょうもハイテンションです。
カラーリングから判断して、おそらくはMD22型の初期型と思われるが、
リアブレーキのディスクを見て
初期だろうが末期だろうが構っていられない▽YAMANAKA、
やっぱり脳ミソは2stのままだ。
ヒロさんことT氏のBAJAと林道ツーリングを目指す、
らしい。
『林道ブラザース』と言う新しいニックネームを与えようかとも思ったが、
兄弟ではないので今後は『林道1号』と『林道2号』と呼ぶ事にしよう。
予定より早めに帰ってきたので早速車両の点検。
明らかにノーマルではなかったマフラーはRSVだし
レバー類はショートタイプに替えられている。
RENTHALのハンドルってノーマルだっけ?
前所有者は女性と聞いている。
彼女がこれらのパーツを自分の好みで選んだとしたなら
どんな女性なのだろう?
そんなことも考えながらシートやサイドカバーを外した。
早速各部の点検開始 早く排気音が聞いてみたい・・・。
「しばらく動かしていない」とは聞いていても、
具体的に何年くらい動かしてないのかが気になるところだ。
自賠責のステッカーから判断して
最長で5年から6年と考えなければならない。
エンジンのオイル滲みは気になるところだが、
内部に固着は無いようなので一安心。
「林道2号」の悩ましくも楽しい冬の始まりだ。
エンジン細部の点検は後に回して
ブレーキや駆動系を見るとタイヤは明らかに交換が必要だ。
「林道2号」とは言え林道ばかりを走るわけではないのだから今後、
タイヤの選択は重要課題だ。
ブレーキは予想していたよりも状態が悪かった。
レバーの戻り具合から予想はしていたが、
結晶化しかけた古いブレーキフルードでマスターバッグは満たされていた。
ブロックタイヤって舗装路では寿命が短いんだよね 色と言い堆積物と言い、ブレーキ全バラ決定の瞬間
このMD22型、
XLR250Rの系譜を辿れば1975年に発売されたXL250にたどり着く。
1978年にフロント23インチの特大ホイールと
2軸バランサーを備えてXL250Sとなり林道ブームさえ巻き起こした。
サスペンションがPRORINK(モノサス)のXL250Rが発売されたのは1981年。
この時点での型式はMD03だった。
その後XLX250を経てXLR250Rとなる。
XL250R(MD03)の頃と比べてみれば
全てが見直されて現行のXRに繋がっていると言っても過言ではない。
おこがましくもMD03型のXL250Rのエンジンを
2度にわたり全バラした経験から言わせて貰えば、
このMD22型に至っては細部まで見直された末の
完成形と言えるような気がする。
RFVC(Radial Four ValveCombustion Chamber・放射状4バルブ方式燃焼室)。
1983年に発売されたXLX250R(MD08)以来採用されている技術だ。
これによって最高出力22馬力だったXL250R(MD03)に比べ
XLR250R(MD22)は28馬力を得ている。
250ccで6馬力の差は大きい。1,000ccに換算すれば約24馬力の差に相当する。
加えて車重はほとんど同じだ。
前所有者の女性は「大事に乗ってくれる人なら・・・」
と言って快く超安価で譲ってくれたが、
かつて特攻隊長の異名を持つ「林道2号」がどんな走りを見せるのか、
来春が楽しみなのは自分だけではないと思う。乞う、御期待!!!