アナログと言われようとも

 

憧 憬 の 轍

 
 
 

2017610日 アナログと言われようとも

 

 

 ツーリング用の地図の話。

 

かつて“ツーリングライダーのバイブル”

 

と言われた旺文社のツーリングマップル

 

地図としての精度は決して良いとは言えず、

 

加えて地図上に書かれた案内文はアテにならない。

 

むしろ普通の地図をタンクバッグに入るサイズで、

 

耐水紙で作ってくれればそれだけでよかった。

 

その唯一の評価点とも言うべき耐水紙版は2014年版以降作られていない。

 

そんな不満に満ちた事を前にも書いた記憶がある。

 
 

耐水紙版廃止の理由を旺文社は

 

「水性ペンで書き込みができないと言うクレームに答えた」などと言っているが、

 

雨にあたることも想定してツーリングに出かけるのなら、

 

水性ペンではなく油性ペンを使えば済む事で水性インクのマーカーの使用などは論外だ。

 

カーナビやモバイルでの地図検索が一般的になって地図帳の売れ行きが落ちている昨今、

 

コストダウンを余儀なくされる中での判断だったと理解しているつもりだが、

 

やはり耐水紙で作られた地図帳が欲しい。

 
手元にある2011年版は書き込みだらけ、
 
さらに東日本大震災によって閉鎖を余儀なくされた施設に✖印を付け、
 
ついには付箋紙だらけになってしまっていた。

 

 

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満身創痍の2011年版 表紙とリングは作り直した                      やっと見つけた2013年版

 
最後の耐水紙版ツーリングマップルR東北2013をこの4年間探してきた。
 
某大手通販サイトでは201511月現在、17,800円で売られていた。
 
当時2年前の地図なので、1,780円と勘違いして購入しそうになった。
 
取り扱いショップにメールで「価格は間違いではないか」と問い合わせたところ、
 
返ってきた答えは「価値のあるものは古いモノでも高価です。13,000円でいかがですか」。
 
実にフザケタ話だ。
 
それ以来同サイトを定期的にチェックしてきた。
 
20163月には6,700円になり、
 
つい先月3,300円になった。
 
そして5月末、ついに1,100円に。
 

 

1,000円以下になったら買おうと思っていたが
 
似たようなことを考えている輩はいるもので、
 
3冊のうちの1冊が売れてしまったので購入を決めた。
 
まぁ、これが適正価格だべ? 
 
所詮は4年前の地図、
 
様々な情報を油性ペンで書き込むことを前提としての購入だった。
 
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2011年版には直接書き込んでいた                            綴じ直すためのリングも用意した 1リンク切除

 

雨の中で地図を広げ、

 

行先を確認する作業はおっくう極まりない。

 

さらに目的地が宿ではなくキャンプ場なら予定を切り上げて帰りたくもなる。

 

ロングツーリングを経験した者ならこんな事は1度ならず経験してきたはずだ。

 

 

今後耐水紙で作られた地図帳が販売されることは無さそうなので、

 

地図に直接書き込むのは最小限度に抑え、

 

透明なフィルム状の付箋や用途別に色分けした付箋を多用することにした。

 

閉鎖された施設が再開された時の事を考え、またそれを期待して。

 

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透明フィルム状付箋紙                                       ¥100ショップで見つけた

 
地図で網羅されていないキャンプ場や安宿や
 
共同浴場などの情報を書き込むにあたっては最新の情報でなければ意味がない。
 
かつて✖印を付けた施設についても調べなおすと再開されている施設が幾つもある。
 
後継者不在のため閉鎖を余儀なくされた温泉宿などについては残念なことに変わりはないが、
 
災害の影響で閉鎖されていた施設が再開されているのは喜ばしい限りだ。
 
それでも料金は軒並み改定されている。
 
時代、
 
時の流れと言ってしまえばそれまでだが、
 
自炊できる湯治宿は激減している。ツーリング中に体調が悪くなったり
 
悪天候に見舞われたりした際の“駆け込み寺”として押さえておきたい。
 
キャンプ場によっては格安のバンガローを備えている所もある。
 
さらに共同浴場や湯治場も忘れてはならない。
 
そこで地図やガイドブックでは知り得ない情報を得ることも珍しい事ではない。
 
決して出版元である旺文社の悪口を書きたい訳ではない。
 
地図としての精度や東北版の担当者に不満はある。
 
それでも地図帳を耐水紙で作ると言う発想は
 
ツーリングライダーの誰もが望んだものだったと思う。
 
災害のために閉鎖された施設の再開を願うと共に耐水紙版の復活に期待したい。
 
 
 
 
 
閑話休題 予言のような
 
電話の受話器のコードを見つめるだけで
 
そこに交わされる会話を読み取る特殊な能力を持つ女、ユウコ。
 

作家村上龍のファンならピンとくる話だと思うが小説「ライン」は1998年に発表された。

 

もう20年近く前の小説だが、

 

携帯電話に表示される「LINE」のサムネイルを見る度に思いだす。

 

「ライン」は誰にでもオススメできるオモシロイ小説ではない。

 

はっきり言って気の滅入る本だ。

 

コインロッカー・ベイビーズ」のように

 

社会的な負の要素をブチ壊すエネルギーが「ライン」にはない。

 

そしてこの小説は「私には他人というものがいない」と言うセリフで終わる。

 

顔すら見えない「他人ではない人」が増えている。