1980‘s Graffiti 「あどはだる~」


憧 憬 の 轍




2018220日 1980s Graffiti 「あどはだる~」

 


 津軽弁の「あどはだり」は、

「もう一度」とか「おかわりしたい」とか、

要するに「跡を引く」と言う意味。

例えば絶品とも言えるくらい美味しいラーメンを食べた後に、

「いゃ~、あのラーメンだばあどはだる

と言った具合に使う。




昨日の夕刻、喪服姿のO氏が赤いヘルメットを携えてやって来た。


「これから通夜に行かなければ・・・」

と言って置いて行ったのは元祖SIMPSON Model30

先週末に再塗装を終えた復刻版M30Jeb’sのレプリカ、

オリジナルのModel 30が揃ってしまった。

これを「先週末のあどはだり」と言わずして何と言うのだ!
 
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3つ揃って“Three SIMPSONs”てか?             


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当時の広告 モデル10\89,000モデル30 \58,000

 

 いずれのヘルメットも持ち主は1950年代末期の生まれで


Model 30が一世を風靡した頃は20台前半。


まさしく「あこがれ」だった。


T氏もO氏も内装がペッタンコに潰れてしまって使えなくなっても大切に保管してきた。


 3つ揃って・・・と書いて思い出したのは


KAWSAKI乗りの「鬼殺しのチュウ」もSIMPSONを愛用していること。


近々に4つ揃えて「SIMPSON祭」か?

 

SIMPSONがヘルメットの生産を開始したのは1979年。


数々の独特なデザインのヘルメットを世に送り出しているが


Model 30ほど話題の多いモデルは無いかもしれない。


1980年代、Model 30は生産を終了し、


MONZAM2の名称でライセンス生産していた時期がある。


日本での販売価格は約35,000円。


その後再びSIMPSONから再販され価格は何と75,000円!


国産のAraiSHOEIは単色なら20,000円程度で買えた。


時代は空前のバイクブームに沸いていた。


Jeb’sのレプリカについても詳しい資料が無いが、


調べてみると様々な話題と共に当時、


上野にあった某バイク用品店の名に辿り着く。


この店の広告はバイク雑誌で何度も見た記憶がある。


MONZAJeb’sもヘルメットでは有名なメーカーだ。

ライセンスや製造の経緯については知る由もないが

40年も前のデザインが今でも支持されている事だけは確かだ。

 

せっかく3つ揃っているので相違点を比較してみる事にした。

よく違うと言われるのはアイポートの形状と顎のラインだ。

元祖SIMPSON Model30に対し

NORIX製の復刻版をM30

Jeb’s製レプリカをJeb’sと表記する。

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右:Jeb’s 左:Model 30                      


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右:Model 30 左:M30


Jeb’sのアイポートはModel30に比べるとやや丸みを帯びている。


シェルの形状自体が違うのかモールの貼り付け方の違いなのかは分からない。

M30は明らかにアイポートが広く作られている。

これは日本のSG規格に合わせるための寸法との事だ。

次に顎のラインを比べてみる。

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右:Model 30 左:Jeb’s                      


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右:Model 30 左:M30



Model 30の角ばったラインに比べるとJeb’sM30もラインが緩やかだ。

M30に関してはスモールシェルのためラージシェルと細部の寸法が違うらしい。

ラージシェルのM30の方がよりModel 30に近い形とのことだが、

残念ながら持ち主の頭は中身ごとジュニアサイズだ。

 

 

外見的な比較をしていてModel 30のシールドと


Jeb’sのシールドがまったく同じものだった事に気付いた。


共におなじくRX-1FC-34などが読み取れる。

 
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Model 30についていたシールド                

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Jeb’sについていたシールド
 
 

上の写真からも分かるようにModel 30のシールドはサークリップ留で


Jeb’sのシールドにサークリップはない。


本来付いていたようにも見える。


O氏によればシールドは一度買い替えたとの事だ。

 

相違点は他にも多くある。


マニアックな愛好者たちはNORIXの復刻版さえ許さない勢いで


80年代当時の元祖とも言うべきModel 30に拘っているようだ。


オークションに出品されて150,000円とか170,000円とか・・・。

 

様々な部分を比べてみて思ったのは


Jeb’s をニセモノ扱いするなら復刻版のM30も同じだと言う事。


内装についてM30は全くの別物で“今のヘルメット”だ。


各部を取り外して洗濯出来るんだから!。


場合によっては交換部品だって手に入るんだから!。

 

あえて写真は載せないがModel 30の内装もJeb’sの内装も


加水分解が進んでスポンジに弾力はない。


ヘルメットのリペア専門店にModel30の見積もりを依頼した。


返信内容によってはJeb’sもまったく同じ作り方なので期待が持てる。


もし受け付けて貰えなくても自分の手で再生すればいい。


かつて抱いた「あこがれ」に正直であるために、


そしてそれを大切にするために。そう言う事でしょ?


 やっぱり1970年~1980年代は自分たちにとって「あどはだってる」時代だった。  

 

 

Three SIMPSONs」は「♬見てた はずよ」のThe Three Degrees

引っ掛けたつもりだったが、分かってもらえたかな? 

まぁ、無理だべな・・・。