憧 憬 の 轍
2019年3月3日 ざわめき
比較的暖かい日が続いたおかげで雪解けが進んでいる。
予報によれば明日から天気は少々ぐずつくが、最高気温は10℃程度まで上がるようだ。
このまま春が来そうな予感に気持ちも上向く。
雪の溶けた土手には早くもフクジュソウが芽を出しているらしく、咲けば鮮やかな黄色の花は残雪に映えて美しい。
フクジュソウは「福寿草」とも書き春の到来を祝う花とも言われるが、実は毒草だと知って少し残念な気がした。
CA105Hにエンジンを載せる準備。
その前に硬化しているプラグのケーブルを交換しなければならない。
コイルごと取り外してみるとケーブルだけ交換できないタイプだったので切断して新しいケーブルをつないだ。
プラグキャップも割れて使い物にならない。
最近は外国製のカラフルなケーブルも多く出回っていて思わず手を伸ばしてしまうが、一般的な日本製のケーブルよりもひと回り太い。
そのため日本製の汎用ジョイントに入らず表皮を削らなければならないので選んだのは迷うことなくNGK=日本特殊陶業。
既存のケーブルはパリパリに硬化
ケーブルもキャップもNGK
タンクやエンジンをフレームに戻す前にバルブギャップの調整をする。
横型エンジンのため搭載後はEX側のキャップが真下を向く事になるので実に作業がし難い。
もしかしたらスーパーカブはフレームを先に設計し、それに合わせて横型エンジンを作ったのではないかと思いたくなる。
1本のメインチューブにプレス形成した鋼板を組み合わせただけの、実に単純な構造のフレームはこれ以上簡略化出来ない。
さらに車体の前側をレッグシールドで覆う事を前提としているとなればキャブレターやエアクリーナーの位置関係にも、水平に近いシリンダーにも一種の必然性のようなものが感じられる。
載せる前にバルブギャップの調整
OHVだったエンジンは後にOHCとなったがレイアウトもフレームの基本構造も変わっていない。
それはある意味で“特殊な形”ながらひとつの完成形だからかもしれない。
これまでにも何度かスーパーカブに手を付けた事は あったが今回ほど深く考えた事は無かった。
最終的には車体を山吹色に再塗装し、錆だらけのリムやスポークは新品にしてピカピカの1台にする予定だが、今回はこのままの状態でとりあえず走らせることを目的としている。とは言えエンジンの始動にさえ足りない部品が多い。
何と言ってもマフラーが無い。
キックレバーもシフトペダルも無い。
さらにウインカーは元々付いていない。
レンズだけを付けてみたが配線もリレーも無い。
「とりあえず」と言う事でC100用のマフラーとエグゾーストパイプを用意したがステップに当たってしまう。
一度取り付けたステップを外し何とか取り付けてみたが、マフラーにキックレバーが干渉する位置関係だった。
EXパイプとステップは最悪の関係
ステップが無くてもエンジンは始動できるか・・・
この車種の主要な部品は既に入手困難なものが多く、オークションで探してもスクラップ同然のものやトンデモナイ高値で取引されている事が珍しくない。
しかしそこで諦めないからこその『metamorphoses』だ。
「日本に無いなら海外はどうだ?」 大魔神・O氏の目がキラリと光る!
そう言われると思って実は密かに海外のオークションや通販サイトを見ていた。
ある所にはあるんだな~これが。
組み込み済みのピストンリングはタイから送ってもらったものだったし、送料を含めても日本の某オークションサイトの半額程度だった。
今はまだ送料を軽減するためにも入手先を絞り込む作業中だが、その情報をメールで連絡したところO氏は変身寸前の大魔神状態に。
これも一種の『metamorphoses』な訳だが、寒風の中をオープンカーで走り回る彼が振りまく熱量で溶けている雪も少なくないような気がする。
雪解けが進むと様々な虫が騒ぎ出す。
半年も先の1泊ツーリングのためにコテージを予約したりルートを検討したり、自然界の虫たちよりも先に冬眠を知らない虫たちが既に騒ぎ出している。
フクジュソウが土手に咲いたらバッケ(フキノトウ)を摘みに行こうと思っている。
山菜や野草に疎いので間違ってフクジュソウの葉や芽を摘まないためだ。
今年は本格的な春が来る前にバッケの天ぷらが食べたいと思った。