憧 憬 の 轍
2019年6月23日 雨音を聞きながら
昨日(22日)は夏至、北半球で最も日の長い日だった。
“日が長い”と言う事は日の出から日の入りまでの時間が長いと言う意味だが、今年、日の入りの時刻が最も遅いのは6月28日だ。
ただし日の出の時刻も約2分遅い。
そんな1日ごとに秒単位で変わっていく季節を実感する事は出来ない曇天が続いている。
CA105Hの作業は“試乗用仮設スペシャル”で一段落。
近々に一度オーナーの『大魔神・O氏』の元へ帰す。
次に戻ってきた時はフレームの塗り替えだけでなく、可能な限り新品部品で組み直す予定だ。
2か月前は4台体制でパニック寸前だった作業場も今では「プロジェクト・C92-R」用のフレームと部品が埃を被っている。
前輪の処理は相変わらず良い方法が見つかっていない。
エンジンだけでもそろそろ手を付けようかと思った。
2017年11月にこのエンジンを入手した
シリンダー以外はサンドブラスト済み
このエンジンはCB93用のセンターカムチェーン式。
某マニアが部品取り用に持っていたものをオークションで落札した。
その時点ですでにトンデモナイ状態で放置されていた事は予想できたが、実物が届いた時、「このエンジンを再生できるのだろうか」と思わなかったと言えば嘘になる。
エンジンオイルが残ったまま放置されていたおかげでギヤやクランクなどに錆は無かったがピストンは固着し、セルモーターやコンタクトブレーカーなどは完全にただの“錆の塊”だった。
ボーリング加工に出す準備を
新品のピストンは1.0㎜オーバーサイズ
1964年発売のCB93は1967年にCD125と共通のサイドカムチェーン式のエンジンが採用される事になる。
センターカムチェーンのこのエンジンに希少価値を認める理由はそのあたりにもあるようだ。
センターカムチェーンでこそCB93と言う人もいる。
コンタクトブレーカーを解体した時。
ベースプレートの錆の下に「CB93」の打刻を見つけた。
これまでに見て来たプレートの打刻はメーカー名や意味不明な数字とアルファベットばかりだった。
もしかして専用設計か。
そんなことを考えながら、絶対にこのエンジンを再生しようと思った。
エンジンを解体した時、ほとんどのビスは固着が激しく取り外しにエキストラクターを多用した。
何とか回せたものも錆だらけ。
年式から考えて旧JIS規格の部品が使われている可能性もある。
組み立てる前に準備しなければならない事も少なくない。
クランクも解体の準備
ミッションも油洗の準備
C92や初期型XL125のようにクランクケースのサイドカバーを磨いてみたいと思っていたが素地の状態があまり良くない。
出来るだけオリジナルに近い状態に塗装するつもりだが、予定通りに作業が進むとは思えない。
梅雨入りが発表されて1週間になる。
『悪友のKEN』いや『わらしべのKEN』もSR500の車検を取ったがその後天気に恵まれていない。