七夕の短冊


憧 憬 の 轍



201977日 七夕の短冊


 

梅雨前線が停滞する現象はこれまでにも何度もあったはずだが、こんなにも大規模な避難指示や警告が発令されたことがあっただろうか。


地震や大雨のニュースを日常的に見るようになったような気がする。


もちろん、自然災害と無縁な場所なんて何処にもない。


幾つもの災害が残した教訓は生かされているだろうか。

 

 

 





先週、バッテリーが無かったので後回しにしていたスクーター、HONDA TODAY AF67


いつも整備用に使っている軽自動車用のバッテリーを充電し直し仮設電源にして整備開始。

 

フュエルインジェクションのバイクに手を付けるのは初めてだ。


5年ほど動かしていないので、先週末プラグホールから潤滑剤を吹き込んでおいた。


何をするにもカウルに邪魔されるのがスクーターだが、たかがプラグ1本抜くだけでこんなに苦労するとは思わなかった。



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フレームが邪魔で作業は難航                          


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即席の“秘密兵器”でやっと外れた

 


ステップ後方にプラグ用の窓があったので開けてみるとプラグキャップは見えたが微妙な角度。

カウル内側のフレームとプラグホールの隙間にはやっと手が入る程度しかない。

この車種専用のプラグレンチがあるのかもしれない。

 

長期放置していたインジェクション車の不調についてはこれまでに何度か聞いた事があった。


ほとんどはフュエルポンプやインジェクターが原因らしい。


5,000㎞程度しか走っていないスクーターなのでポンプは作動音が聞こえれば問題ないだろうが、インジェクターについては目詰まりのしている可能性がある。


まずは「5年もの」のガソリンをすべて抜かなければならない。


給油口から抜けるだけ抜いて、その後フュエルポンプを外す事にした。



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結局こんな状態に・・・                      

 
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タンクとフュエルポンプ

 


 

フュエルポンプまで外したのは古いガソリンを完全に抜き切りたかっただけでなくポンプやフィルターも見ておきたかったからだ。

普段イジクっているバイクは直落式ばかりなのでポンプ自体が珍しい。

もしもポンプが故障したら分解なんかしないでアッセンブリー交換になるんだろうなぁ・・・。



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抜き出したフュエルポンプのユニット             


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交換部品で出るのはパッキンだけ?

 


新しいガソリンにインジェクターをクリーニングする効果があると言う添加剤を加えた。

この種の添加剤はタンクの水抜き程度にしか考えていないが、けっこう高価な部類の添加剤が作業場のストックにあった。


エンジンが始動しなければインジェクターを外して噴射孔まで見なければならない。少


々の目詰まりはポンプの圧力が正常なら解消できるはずだ。

 

シリンダーに潤滑剤を吹き、エンジンオイルの量も確認済みとは言え、セルモーターは小刻みに回す。


10回ほど繰り返してもエンジンが始動しなかったのでプラグを抜いてみた。


なんとなく湿り方が少ないような気もする。


それにしてもプラグが脱着しにくい。

 

 

30年くらい前の事だが、いわゆる“若気の至り”で某四輪車のターボエンジンにインジェクターを追加した事がある。


試験的に噴射させた燃料の勢いに驚いた事を思い出す。


ところでインジェクターのクリーニング剤ってPEA(ポリエーテルアミン)だったかな・・・? 


そんなことを思い出しながら作業もバッテリーも小休止。


コーヒーブレイクの後、気を取り直してセルモーターを回すとエンジンは始動した。



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イマドキのスクーターのヘッドライトは常時点灯      


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もっとも気を使うのがカウルの脱着や取扱

 


エンジンは無事始動したがアイドリングが安定しない。

キャブレターならパイロットスクリューを回してみるところだがPGMなので手の付けようがない。

インジェクターの噴射孔が詰まり気味なのだろうと考え、少々ブン回しているうちにアイドリングも安定した。

それにしても静か! さすが4ストローク

 

 

5,000㎞程度しか走っていないのでインジェクターまで外さずに済んだのは当然かもしれないが、49ccに対応するインジェクターのノズルチップも見ておけば良かったかもしれない。

 

原付までフュエルインジェクションが当たり前の時代、ひと昔前のバイクには付いていなかったセンサー類が増えている。


制御しているのはPGMだし、どれもこれも苦手な電気系の部品ばかりだ。


これからは故障の程度にもよるが部品代は高くつきそうだ。


とは言え古いバイクばかりイジクっている身には直接関係ないような気もする。

 

 


天気予報に雨傘のマークこそないが何時降り出してもおかしく無いような空模様だ。


この季節に東から吹く風は低温と湿度をもたらす「ヤマセ」だ。

 

日本海に面した地域と太平洋に面した地域の天気が逆なだけでなく気温も10℃近く違う。


若い頃なら雨が降っても「カッパ着て走ればいいべ」って言えたが、そんな無謀な元気は既に無い。


それでもバイクに乗ってどこか遠くに行きたい気持ちの本質的な部分は変わっていない。

 

先週末にフルフェイスヘルメット2個分+αの容量のリアボックスを付けた初期型XL125 を見ていると体力任せに朝から晩まで、1㎜でも遠くまで走ろうとしていた若い頃を思い出す。


悩みの種は限られた積載能力だった。


シートの後部にリュックサックに詰めた荷物をゴム紐で括り付け、荷崩れを気にしながら走った。


荷物をコンパクトに、さらに軽くするために役立ったのは登山をした経験だった。

 

 

素材が金属であれ樹脂系であれ、パニアケースが現代の主流。


転倒時のダメージも軽減できる。


この初期型XL125もサイドバッグやケースを付ければ1週間程度のキャンプツーリングなど楽にできるはずだ。


そしてさらなる積載を求めてヘッドライト上にもキャリアを取り付ける事になった。



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こんなモンでいいのかな?  



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速攻で溶接、塗装

 


初期型XL125が売られていた1970年代、若者は皆バイクに乗って旅に出なければならないのかと、思いたくなるほどバイクのカタログには旅を連想させる写真が多かった。

国鉄のキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」の影響で個人旅行やひとり旅をする女性が増えた時代でもあった。

 

このキャリアに何を括り付けるのか、多少は雨に濡れてもかまわない物を載せるべきだろうと考えるのは実体験から言える事であって、見た目の“遠くへ行けそう”な雰囲気とは別のものだ。

7日間の予定で出かけたツーリングの4日間が雨だったり、走り出して15分後に雨が降り出したり、信号で止まったらクラッチのワイヤーが切れたり・・・。


そんな経験がどこに何を積むかを教えてくれた。

 

タンクから抜いたガソリンで沸かした湯をカップ麺の容器に注ぎ、かじかんだ指を温めながら待つ3分。


テントを揺らす風に時々かき消されるラジオの音声。 小さな電灯の下で開いた地図。


やがて襲う猛烈な睡魔に逆らう事もなく1日が終わる。目覚めた時に雨音が聞こえない事を祈って眠った。


  とにかく“バイクに乗って遠くへ”行ってみたかった。