雪虫のいない冬

憧憬の轍

 

2019年11月17日  雪虫のいない冬

 

11月も半ばを過ぎ、午後5時を回る頃には足元が見えない。

 

冬至までおよそ1ヶ月、これからさらに日が短くなると思うと憂鬱だ。

 

気が滅入るが、春に向けてのメンテナンスを怠らないように冬が来るのだと考えれば少しは前向きになれるような気がした。

 

 

 

新しいカムシャフトを組み込んだXL125K2の再始動をこの週末に予定していた。

 

天気さえ良ければ試運転もしてみたかったが、エギゾーストパイプのガスケットが届いていない。

 

昼過ぎまで待ってみたが、まだ地元の営業所に届いていないようだったので予定変更。

 

XL125K2もさることながら、この週末に片付けてしまいたいのは2台の除雪機だ。

 

1台は編集長から、もう1台は日頃、仕事関係でお世話になっているI氏から持ち込まれたものだ。

 

両方ともエンジンがかからないらしい。

 

当たり前の事だが除雪機は除雪以外に使い道が無い。

 

春、雪が消えた頃に役目を終え、再び雪が積もるまで出番は無い。

 

そのためおよそ10ヶ月近く放置されてしまう。

 

タンクやキャブレターに残ったガソリンが劣化し、点火プラグも煤だらけで、始動性が悪くならない方がおかしい。

 

 

 

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I氏の除雪機


                           

 

 

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編集長の除雪機



 

どちらもプラグとキャブレター以外に原因は考えられない。

 

それ以外の原因なら白旗を揚げてお持ち帰り願わなくてはならないが、こんな時は速攻でバラしてみるに限る! 

 

たかが除雪機とは言えコンパクトに作られている。

 

エンジン本体に辿り着くまでに外さなければならないカバー類が樹脂製のカウルで覆われたスクーターのようだ。

 

I氏の除雪機はまさに予想通り。

 

中古を譲られたとの事だがタンクの中に残っていたガソリンは何時のものか分からないくらい劣化していた。

 

そればかりか水飴状に固まりかけてタンクの底に溜まっていた。

 

 

 

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ビンテージはワインだけにしてほしい


            

 

 

 

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タンクの底から水飴~ 

 


タンクの底から給油ホースも、キャブレターまで“昔ガソリンだった”水飴状のもので覆われていた。

 

キャブレターのフロートチャンバーを外すとメインジェットまで。

 

ここまで放置された機械を見るのも久しぶりだ。

 

 

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フロートチャンバーもこの状態


                 

 

 

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プラグは完全に死んでいた



 

 

タンクのキャップを明けた瞬間に嗅いだ匂いでピンと来てはいたが、それでも完全に固形化していなかったのでタンクも供給ラインもキャブレターも洗浄して何とかなった。

 

最近ホームセンターで「ガソリン劣化防止剤」なる商品を見かけた。

 

効果については不明だが長期使わない機械には使ってみる価値がありそうだ。

 

I氏の除雪機の再始動に成功して次は編集長の除雪機。

 

どちらも国産ではないので交換部品が必要な状態なら再生はほぼ諦めなければならない。

 

編集長の除雪機もキャブレターを解体してみたがI氏の除雪機と同様にガソリンが固形化しかけていた。

 

 

 

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フロートチャンバーを外した状態


                

 

 

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チャンバーとフロート



 

 

フロートチャンバーを外そうとした時、何かにぶつけて潰れたような跡が気になっていた。

 

フロートはこびり付いたガソリンのカスを取り除くと角が付いて潰れていた。

 

さらにフロートには穴が開き、フロート内部にガソリンが入っている。

 

接合部分のハンダを溶かして解体し、穴を塞ぐしかないが重量が増すため浮力に影響し油面が変わってしまう。

 

単純な構造のキャブレターなので燃調に影響する。

 

出来れば新しい部品が欲しい。

 

その旨を伝えると編集長はそこまでして治したいとは思っていないとの事だったのでスクラップ決定!

 

 

劣化したガソリンの匂いが着ていた衣服や髪の毛にも染みついているようで鼻につく。

 

いつもの週末よりも少々早めに作業場を閉め、温泉でさっぱりして今夜は早めにレギュラー(発泡酒)の栓を開けた。

 

日々の最低気温は毎日少しずつ下がり、次の週末あたりは氷点下と予想されている。

 

日没も日を追うごとに早まって、この冬の雪の量や寒さを考える季節になった。