憧 憬 の 轍
2020年1月29日 わからないから面白い
暖冬、少雪、相変わらず春先のような日が続いている。
営業を見合わせたままのスキー場や雪不足のために中止になったイベントも少なくない。
そんな中、北海道東部では流氷が観測される季節だ。
現在までの観測によれば流氷は順調に南下していて、
平年値よりも大きく成長しているらしい。
網走や紋別ではイベントの関係者が流氷の接岸を待ち望んでいる頃かも知れない。
流氷は読んで字のままに“流れる氷”だ。
海面が平らに氷結するのではない。
-20℃以下の気温の中で厚みを増した氷の塊が重なり合う。
その景色と氷が擦れ合う音は、
じっとして春を待てと言っているようでもある。
CS92のエンジンはC92と基本構造が同じなので、
6年前にC92を再生した時の記録やパーツリストに目を通した。
参考にしたパーツリストは復刻版でC92、
CⅡ92、CⅢ92共通となっていたがイラストと実物が違っている部分が幾つかあった事も思い出す。
実際、何度か修理された形跡があったので、
その過程で違ってしまった可能性もある。
CS92のエンジンの最高出力は15psとされているが、
これには諸説があるらしい。
名車と名高いCB92も15psでC92のエンジンがベースになっている。
C92もCS92もエンジン型式は同じC92Eと打刻されている。
クラッチを外した時に気になったのはプライマリードライブギヤとベアリングの間にプレートが入っていた事だ。
クランクシャフトスラストプレートというらしい。
C92~CⅢ92共通のパーツリストには載っているがC92のエンジンにはなかったと記憶している。
またパーツリストではローラーベアリングとなっているが、
ベアリングはすべてボールベアリングだったと思う。
ただC92のエンジンは“煙突付き”の初期型だったので、
発売後すぐにマイナーチェンジを受けたのかもしれない。
クランクケースの分割はエンジンを逆さまにして下側のケースを外すことにした。
C92の時は腰上をバラした後だったがケースの上下を貫通しているボルトの関係で逆さまにした事を思い出した。
合わせ面にあふれ出た古い液体ガスケットを出来るだけ除去してからコツコツと下側のケースを叩くしかない。
合わせ面やオイルシールやベアリング周りに塗られたシール材の除去に手間がかかる。
このエンジンもクランクケースの合わせ面にガスケットは無く、
液体ガスケットを使うように指示されている。
パーツリストには「アジモジット」の名でパッキン剤としてリストアップされているが、
この黒いパッキン剤の事かどうかは分からない。
僅か3.5psとは言え1950年代後半から1960年代前半において3.5psの差は大きかったと思う。
その差の理由が知りたくてCS92のエンジン腰下を穴のあくほど見ている。
CB92のエンジンはクランクシャフトの中央部分にもベアリングがあるらしいが、
そんなものは見当たらない。
キックスターターのギヤの色(材質?)が違うくらいしかC92のエンジンとの違いが見つからない。
下側クランクケースに製造年月日と思われるスタンプが残っていた。
古いガスケット材を除去し、
クランクケースを仮合わせしてみる。
ボルトを軽く絞めこんだ状態で問題のカウンターシャフトのオイルシールを挿入する部分を測ってみた。
オイルシールの寸法は20×47×10だが何度測っても47㎜を僅かに超えている。
これを製品誤差と言って良いのか?
クランクケースに加工を施すことは不可能ではないかもしれないが、
コンマ数㎜のためにどれだけの時間と費用がかかるのか、
オイルシールを特注した方が安くつくかもしれない。
大量の液体ガスケット剤を絡ませて組み直すことも考えたが本来オイルシールは“叩き込む”ものだと思っているのでシール全体に圧力がかるようにしたい。
オイルシール自体の外径をシールテープで増し、液体ガスケット剤併用で組み込んでみた。
シールテープの素材はテフロンなの耐熱性も問題ない。
ランクケースを合わせた状態でオイルシールを叩き込むとテープが見事にめくれてしまうのでカウンターシャフトを外し、
オイルシールを取り付けた状態でクランクケースに挟み込んだ。
2013年6月~およそ1年かけて再生したC92の事は「月光仮面になりたくて」に記録している。
それでは諸君!
小雪の舞い散る頃に『再生プロジェクト その2 続・月光仮面になりたくて』でまた逢おう!
その日まで さらばぢゃ!!!
2014年5月6日付けの記事、最終話を読み直すと続編をその年の冬に再開するような事が書かれている。
このC92再生にあたっては当初、
フレームやフェンダーを再塗装しようと言う話だった。
結局古びた塗装をコンパウンドで磨く事になり今日に至って再塗装はしていない。
あれから7年近い時間が過ぎ、今度はCS92で「続・月光仮面~」か。
この頃は古い石油ストーブの話題でブログも脱輪気味だったが、
今回は少々本来の路線に戻したつもりだ。
しかし、『大魔神・O氏』と『樵の巨匠』の燃え滾る炎がそれを許さない。
「Operation-California in snow(雪が降るカリフォルニア大作戦)」
は既に決行され、もうすぐ4台目が届く。
Pennsylvaniaから“雪の降るCalifornia”へ。
そして『編集長』のAladdin♯15はどうなるのか?
それにしてもバイクばかりではなく、
ストーブ、オーディオ、時計、クルマ、鉄瓶と皆多趣味だ。
次回もまたストーブの話題になるかも知れない予感と共に、
今週末の作業終了。
ところでC92とCS92の3.5psの差の謎についてはまだ何もわかっていない。