憧 憬 の 轍

 

2020年9月11日 厄

 

二百二十日(にひゃくはつか)。

 

立春から数えて二百二十日目の日。

 

二百十日と同じく台風が襲来する時期でもあり農家にとっては厄日とされてきた。

 

ここ数年、

各地で発生している台風や大雨などの自然災害の前に、

古くから言われて来た事にはやはり根拠があるのだと今さらながらに思う。

 

9月11日と聞いて2001年のアメリカ同時多発テロ事件や2012年の尖閣諸島国有化なども記憶に新しい。

 

9月は天気や自然環境だけでなく、

いろいろなもののバランスが変わる時期なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

大きな宿題を抱えてしまった『編集長』のZEPHYRχ。

 

カムカバーを固定している12本のボルトの3本に規定トルクがかからない。

 

カムシャフトを押えているホルダー(キャップ)のネジ山が崩れかけている。

 

ヘリサートで新たにネジ山を作るしかないが、

ホルダーの1個にクラックが入っていた。

 

 

 

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欠け落ちる前に見つかってよかった


             

 

 

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もう少し堅牢な造りでもいいと思う



 

 

おそらくこの1個はネジ山が崩れてトルクがかからなかったのではなくクラックが原因だったようだ。

 

早速パーツリストを開いて見たが単品で入手する事は出来ない。

 

“シリンダーヘッド・コンプリート”

要するにシリンダーヘッドごとの部品供給となっていた。

 

そこで某金属加工業者にTIG溶接を依頼した。

 

アルミニウムの融点は660℃、

熱伝導も良いため歪みが心配だが、

こればかりは信じるしかない。

 

 

 

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この部品のクラックは結構多いとか・・・


           

 

 

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華奢な造りは軽量化のため?



 

 

マニュアルに書かれている通りにカムシャフトの焼き付きを防止するためモリブデン系の潤滑剤を塗布して組み込んだ。

 

『サンちゃん』ことS氏のKSR80ばかりでなくこのZEPHYRχも満身創痍だ。

 

それでも「漢KAWASKI」、諦める訳にはいかない。

 

改めて考えてみれば作業場に集まるバイクの多くは古傷や持病を抱えている。

 

それでも1か0かしかないデジタルにはない面白さがある。アナログ万歳だ!

 

 

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焼き付き防止の潤滑剤を塗布


                 

 

 

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あとはカバーを付けるだけ



 

 

本来、『編集長』のZEPHYRχが抱えた問題はカムカバーから突然一部が飛び出してしまった樹脂製のガスケットだった。

 

ガスケットを入れ直す過程でカムシャフトホルダーのクラックが見つかった。

 

前回、このガスケットを交換するにあたり用心のためにとシリコン系の液体ガスケットを併用したのが良くなかったのか?

 

ZEPHYRχのカムシャフトカバーとシリンダーヘッドの間に使われる樹脂製のガスケットは、

カタカナの「コの字型」の断面で、

シリンダーヘッドの縁に嵌まるように作られている。

 

ただシリンダーヘッド中央部のカムチェーン周辺だけは「L字型」だ。

 

その部分のガスケットが押し出された原因はシリンダーヘッド内のブローバイガスの圧力しか考えられない。

 

 

 

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ハイ、カムカバー搭載完了 


                  

 

 

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マニュアルはシーラントの塗布範囲を指定している



 

 

HONDAのCB系のエンジンの多くはシリンダーヘッド頭頂部からブローバイガスを抜いている。

 

対して KAWASAKIのZ系のエンジンは伝統的にクランクケースからブローバイガスを抜き、

セパレーターを介してエアクリーナーに循環する。

 

シリンダーヘッド内に溜まったブローバイガスをクランクケースに送る経路を考えるとこのZEPHYRχに使われている樹脂製のガスケットはウイークポイントと言うべきかもしれない。

 

ガスケットの「L字型」の部分にだけ少々の接着効果が期待できる合成ゴム系の液体ガスケットを入れてみた。

 

結果は走らせてみなければ分からない。週末の天気予報に並んだ雨のマークが恨めしい。