憧 憬 の 轍
2023年5月14日 立夏を過ぎてから
すでに5月も半ばとなり2週間予報に傘のマークが増えた気がする。
それは清々しい初夏の前の梅雨が近い事を意味している。
東北地方北部では梅雨が明けてから秋風が吹くまでの時間は決して長くない。
その短い夏を楽しむための用意が必要だ。
5月3日の「春一番ツーリング」の後、‘75 CB400Fourはメインシャフト付近から僅かなオイル滲みが見られた。
走行中、停車する度にエステルオイル特有の匂いがしていた。
「古いエンジンに高品質のオイルを入れると漏れる」と言う話は以前から聞いた事があったが、まさにそれかも知れない。
クランクケースの合わせ面に塗布した液体ガスケットが不十分だったと思われるが、今さらエンジンを降ろして液体ガスケットを塗り直している時間はない。
そこでエンジンオイルに混ぜて滲みを留めるケミカル剤に頼る事にした。
オイルが漏れたり滲んだりしている部分に外部から吹き付けるタイプのシーリング剤もあるが、使用後のレビューを見ると一長一短のようだ。
このNC81は某オイルメーカーが開発し、その後OEM生産されているらしい。
箱には日産自動車株式会社とかNissan Motor Co.,Ltdと書かれている。
‘75CB400Fourのオイル量は全量交換で3.5ℓとマニュアルに書かれているが、それではレベルゲージのアッパーレベルを超えてしまう。
オイル量が多すぎると古いバイクはクラッチの切れが悪くなる事もあるのでゲージの8~9分目程度にしている。
NC81の使用方法には6~10%の添加割合と書かれているので200cc程を入れてみた。
約7%程度の添加割合になるが100~200㎞程度走ってみなければ結果は出ない。
入れた直後は漏れや滲みが一時的に増えると言う話もある。
とにかく走ってみなければ何も分からない。
『樵の巨匠』のガレージでは出戻りのKAWASAKI Z400FXがイグニッションコイルの交換を終えてエンジン再始動させていた。
不安定だった2、3番の点火が安定したエンジンはアイドリングを1,200rpm程度まで下げても止まりそうな気配はなくなった。
キャブレターはエアクリーナーボックスが外されているのでマニーホールドだけで固定されている。
それが気にかかっていたのでステープレートを吊り下げるようなステーを作った。
エンジンが一段落し次は前後のタイヤ交換。
センタースタンドが無い車体はホイストで完全吊り下げ状態に。
水の引かれた水田に逆さに移る岩木山の写真を新聞で見た。
田植え前の風のない日にしか見られない光景だ。
山頂付近はまだ残雪を抱いている。
二十四節気の立夏を過ぎる前から日が長くなったと実感していた。
暦の上では既に夏、夏至に向かってさらに長くなる。
夏へと向かうこの時期には暖かさが増すだけで根拠のない期待感がある。
やがて山が色づき秋風が吹く頃に感じる一抹の寂しさは、この期待感の裏返しなのかもしれない。