憧 憬 の 轍
2023年7月23日 真夏日の風
昨日、仙台管区気象台は東北地方北部の梅雨明けを発表した。
九州地方より早い梅雨明けは26年ぶりらしい。
ここのところ東北地方では大雨によっていくつもの災害が起きていただけに、晴れていても空模様を気にかける日が続いていた。
昨夜の痛飲を引きずって天気が悪ければ昼過ぎまで寝ているところだが、朝から急上昇する気温と夏の匂いがそれを許さない。
とにかく何処かに走り出さなければならない衝動に駆られるように「OHMACHI BASE」からは修理中のバイク以外のすべてのバイクが走り出していた。
シフトレバーのシャフト周辺のオイルシールやプラグから滲んでいたオイルを止めるために、エンジンオイルにNC81を混入した’75 CB400Fourのその後の状態を確認したい。
効果が現れるまでにある程度の走行が必要なのは当初から知っていた。
そこで往復200㎞程の「昼メシツーリング」、今回も北へ向かう。
昨夜、「明日はapriliaで行きますよ」と言った『チャレンジャーのタカシ』の言葉を冗談だと思っていたが、チャレンジャーはどこまでもチャレンジャーだった。
本来低速で走る事を前提に作られている競技用のトライアル車で、まともに座る事も出来ないまま走るのだから。
『特攻隊長』がどんなバイクに乗っても『特攻隊長』であるように『チャレンジャー』もまた車種を選ばないチャレンジャーだった。
ただ問題は混合仕様の2ストロークエンジンに容量3.7ℓのタンクだ。
休憩の度に燃料の混合と給油に忙しい。
そして昼メシは「明香園」。
いわゆる街中華が主なメニューの食堂だ。
注文したのはもちろんレバニラ炒め定食。
美味いレバニラ炒めを探す「昼メシツーリング」はもう少し続けるつもりだ。
『特攻隊長』は自らの流儀に立ち返ってチャーハンだった。
バイクに乗らないとバチが当たりそうな週末だったが、『樵の巨匠』は股関節を痛めて静養中。
とは言っても大人しく寝ている訳が無い。
勢いで(おそらく酒の勢い)落札してしまった古いBMWの書類付フレームに次々に部品を組み込んでいる。
今回はインナーチューブが曲がったフロントフォークを格安で落札したとかで、ジャッキを使って修整用のプレス機まで作ってしまった。
ジャッキは許容重量4tだが枠に使ったC型チャンネルも鉄製の作業台も変形してしまった。
それでもインナーチューブは簡単に修正できない。
当然だがインナーチューブには強い靭性が求められる。
この暑さの中でフロントフォークと格闘する者もいれば、フラッシャーをコンパクトにする事に拘る者もいる。
『特攻隊長』は2週間前に変えたばかりのフラッシャーを更に小型なものに替えていた。
高輝度LEDの防水仕様らしいが、一見してフラッシャーには見えない。
夏になると連日のように水難事故のニュースが伝えられる。
そしてバイク事故のニュースも増える。
登山に興味の無い人が冬山登山を「自殺行為」と言いたくなるのは分からないでもないが、日常もまたそれ以上の危険に満ちている。
山や海での事故に遭わないためには山や海へ行かなければいい。
同じくバイクの事故に遭わない最善の方法はバイクに乗らない事だ。退屈な人生に満足出来るならそれが最良の生き方かもしれない。