憧 憬 の 轍
2023年1月5日 道のりは長いのか遠いのか
生存率が急激に低下すると言われる72時間を時間すでに過ぎた現地では切迫した状況下で救助活動が続けられている。
停電や断水、そして寒さ。
陸路が寸断された事によって滞る物流。
そんな中でも立ち止まる事など許されない時間が流れている。
VMX12のスイングアームやデファレンシャルを塗装。
下塗りの塗料の硬化を待つ間に『編集長』のガレージを覗いて見ると、KAWASAKI ZEPHYRχのピストンリング交換をはじめとしたエンジン腰上のメンテナンスが着々と進められていた。
シリンダーヘッドを外す前にカムシャフトとシムの間隙を確認中だった。
KAWASAKIの伝統とも言えるDOHC2バルブエンジンは排気量399ccで46psだったが1996年、Z系エンジン初の4バルブ化によって最高出力は53psを得た。
実走行距離約50,000㎞。
これまでシリンダーにまで手が付けられた形跡はない。
ピストンやバルブに堆積したカーボンは決して多くない。
またシリンダーヘッド内部のオイルスラッジも少なく、オイルにも気を遣って来た事が覗える。
カムやピストン側面に気になる傷やスレは見当たらないが、はっきりした事はまだ何ひとつ言えない。
一方、脳ミソが水平対向状態になっている『樵の巨匠』も集めた中古部品を前に仮組を繰り返している。
十分に使えるような物もあれば傷んでいるものもある。
そればかりか合わないものもある。
これまで国産車ばかりをレストアして来た。
国産4社に関してはある程度は納まりに共通点のようなものがある気がするが、外車は考え方も基準もまったく違う。
以前、『大魔人・O氏』のDUCATI 900ssの電装系やメーター類の交換を手伝った事があった。
各部の造りが国産車と全く違う事に驚いた事を思い出した。
ある意味このBMWも同様で、さらにマイナーチェンジを繰り返していた時代の車両のため作業は迷路を手探りで歩いているようなものだ。
例えばダブルディスクのフロントブレーキ、マスターシリンダーから伸びるホースを分岐するセパレーターがフュエルタンクの下に付くなんて予想もしなかった。
探している部品がメーカー欠品だったり純正部品があまりに高価な場合、当然だが中古部品を漁る事になる。
その結果、必要な部品だけでなく周辺の部品が一緒に手に入る事は珍しくない。
まったく使いモノにならないゴミのような部品まで送られて来たり、ありがたいオマケが付いて来たりする事もある。
かなりマニアックな知識がない限りオークションサイトに掲載された写真だけから的確な判断をする事は難しい。
それでもパーツリストのイラストや取り付け位置の寸法などをもとに部品を集めるしかない。
親切に解説されたマニュアルがあれば助かるがBMWの場合、和訳された物は多くなく、さらに高価なものばかりだ。
『樵の巨匠』のガレージから「OHMACHI BASE」に戻り作業の後片付けをしながらFMラジオのニュースで能登地方の地震と羽田空港の事故の続報を聴いた。
航空機事故に関しては乗客乗員とも全員無事だった事が海外のニュースでも奇跡的と報じられているらしい。
しかし地震の犠牲者の数は今朝のニュースで聴いた数よりも増え、安否不明者の数から今後さらに増える事が予想された。