細雪

憧 憬 の 轍

 

202336日 細雪

 

深夜、乾いた細かい雪が降っていた。

雪はこの冬の最後の抵抗かも知れない。

相変わらず不順な天気が続いている。

それでも月の半ばには暖かくなるようだ。

観測史上最速とか、最大とか、最長とか・・・。

それはまるで東日本大震災後に耳にタコができるほど聞いた「想定外の~」と言う、ある意味で言い訳がましい言葉に似ている。

 

 

 

バイクのレストアを始めたばかりの頃は外した部品の管理がおろそかで、組み立てる段になって部品を探し回った事がよくあった。

その後、部位ごとに箱や袋に入れるようになったが、久しぶりに部品を紛失したと思った。

VMX12のジェネレーターカバーを戻すにあたり、ジェネレーターのページのシャフト1(右下写真 15番)が見当たらない。

さらにカバーを外した際にも見た記憶がない。

早速この部品を注文し、疑問に思っていた部品の用途を調べてみた。

自分なりに様々な資料も漁りながら、多くの分野の質問を受け付け、読者が情報を提供するサイトに質問を入れた。

 

せめてこの断面図があれば・・・

 

画像は借り物です     

 

1990年型 日本仕様のパーツリストの15番



 

サイトに質問をして即時に返ってきた答えはAIによるもので、「※この回答はOpenAIのGPTで作成されており、最新の情報や完全な正確性などを保証するものではありません。」との注釈付きだった。

そして実は大きく的外れなものだった。

すなわち誤った情報が即時に伝えられた訳で、その後、同様な疑問を持っていた読者から寄せられた幾つかの回答によって部品の用途やパーツリストのイラストが逆向きに描かれている事も分かった。

上の左側の写真は読者から提供された 『The Venturers』と言う海外のサイトのもの。

この断面図を最初に見ていれば部品を紛失したとは思わなかっただろう。

手元にあるCLYMERの整備マニュアルでは「Oil Wire」と表記されている。

用途を考えれば「Shaft1」よりも現実的だ。

『The Venturers』のイラストではマグネットホイールを押えているボルトにオイルが通る穴が開いているが、修理中のVMX12(1998年型2WE)のボルトに穴は開いていない。

結局は自分の手でエンジンをバラし、また組み立てたからこそ生まれた疑問と答えだ。

 

CLYMERのマニュアルでは「Oil Wire」となっている


    

 

YAMAHA純正部品 シャフト1



 

VMX12は本来輸出専用車で国内販売された際には仕様が大きく異なっていた。

そのため現在国内で走っているVMX12の多くは一度輸出されたものを逆輸入した車両らしい。

1985年の初期型から2007年の最終型まで22年に渡り基本的な構造やデザインは大きく変わっていないが幾度となくマイナーチェンジが行われて来た。

そう考えればイラストの部品の向きが逆なのも御愛嬌か・・・。

 

我が国が世界に誇る4大バイクメーカーにケチをつけるつもりは毛頭ないが、パーツリストのイラストや表記に紛らわしい点がある事はこれまでも話題に上っていた。

HONDAのパーツリストではビスやボルトなどは径や長さまでが明記されているが、他の3社のものでは見た事が無い。

さらにマイナーチェンジによって変更された(おそらく・・・)部品についてもイラストや品番表に分かりやすく反映されていないと思う。

パーツリストは各社それぞれによって、ある一定の基準に則して編纂されたものだが、読み解くまでに時間がかかる。

 

 

先週末、部品をなくしたかも知れないなんて言えずにいる側で、『スポカブ・ブラザース(弟)と『特攻隊長』はBANDIT250のジェネレーターカバーを再び外し、奇声と共にエンジンオイルを抜いていた。

『若葉マークのS🔰』は所用で来る事が出来なかったが・・・。

 

点滴タンクまでぶら下げて・・・


                 

で、オイルバットを満たしているのは何?

 

オイルバットを満たしているのはガソリンの混じったエンジンオイル。

何が起こっていたのかを『若葉マークのS🔰』は理解できるだろうか。

その原因と対応策を考える事が出来ないのなら、バイクに乗る事も含めて今後の事も考えなければならない。

そんな苦言を誰かが口にしなければならないのかもしれない。

 

朝起きて南側の窓から外を見ると樹氷や霧氷のようになった庭木が見える。

その枝に積もった雪を見て季節を感じている。

一般的には望ましい事でないかも知れないが、咲いた桜に積もる雪が見た